テラーノベル
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驚いたことに、白銀のリングを揺らすような派手な雷撃は飛んでこなかった。
「――ッ!」
閃光も、雷鳴の轟音もない。
ただ、視界からエレナの姿が「消えた」。
(……なるほどな)
俺は懐の消音拳銃(サイレンサー)に手をかけながら、冷徹に思考を巡らせる。
大雑把な魔族どもなら、広範囲を吹き飛ばす派手な雷撃魔法を撃ち込んでくるところだ。だがエレナが使っているのは、体内に流れる微弱な電流を極限まで操作し、脳の伝達速度と筋肉の反射神経・運動神経を数千倍へと跳ね上げる『生体加速』の術式。
無駄な魔力の放出がない。ゆえに**詠唱の隙(スキ)すらない**。
純粋な物理速度と反応速度のみで、一瞬のうちに俺の首を刈り取りにきている。
「——そこか」
**ガギィンッ!**
背後から迫る音なき一撃。俺は振り返りもせず、外套の下から引き抜いた耐熱セラミック製のナイフで、エレナの放った短剣を受け止めた。
金属と金属が擦れ合い、火花が散る。
「……嘘でしょ!?」
至近距離。エレナの瞳に驚愕の色が走る。
無詠唱、かつ音速を超えた不意打ちの初撃。それを俺が「見てから」ではなく、彼女が踏み込む直前の**軸足の重心移動と空間の歪み**から先読みして完璧にガードしたからだ。
「派手な大技に頼らないのは評価してやる。だが……」
俺はナイフを支点に滑らせ、コンマ01秒の『局所遅延(ディレイ)』を発動。エレナの踏み込んだ右足の爪先だけ、世界の時間を一瞬だけ鈍らせた。
「っ! なにこれ、体が——!?」
超高速で動く肉体にとって、コンマ数秒の踏み込みのズレは死に等しい。
全身のバランスが狂い、エレナの超高速の軌道がわずかに歪む。
「速度を極限まで上げようが、お前の脳が次の着地点を認識する瞬間には、必ず『0.1秒の隙』が生まれる」
俺は左手で懐から滑らせた超細鋼線(アースワイヤー)を、彼女の足元へ音もなく放り投げた。
体内の電流を極限まで高めている状態の肉体。そこに、俺が足元に滑り込ませた特殊伝導ワイヤーが触れた瞬間——
**パチバチチチッ!!**
「あッ、ぐうっ……!?」
エレナ自身が体内に溜め込んでいた莫大な生体電流が、ワイヤーを伝って地面(リング)へと一気にショートして放出された。自慢の超高速を支えていた電流が逆流し、彼女の全身の筋肉が激しく硬直する。
「……言っただろ。アースさせてやるって」
体勢を崩し、膝をついたエレナの額に、俺は静かに消音拳銃の冷たい銃口を押し当てた。
静まり返るコロシアム。
無詠唱の超速組み手から、わずか数秒での完全な詰み(チェックメイト)。
「……勝負ありだ。それと、最初の『賭け』だが」
俺は引き金から指を浮かせ、盛大に本日何度目かの欠伸を噛み殺した。
「負けても勝っても付き合う気はない。俺が欲しいのは、180倍の払戻金だけだ」
「……うぅ~……冷たすぎるよ、クロード……っ」
膝をついたまま、不満そうに頬を膨らませるエレナを見下ろし、俺は静かに拳銃をホルスターへと収めた。
n a ♡︎︎ *
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蒼月
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グリルタ
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コメント
1件
えぇ〜!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!!! 第20話、もうヤバすぎたんですけど!!!!!😭💥💥💥 エレナの超高速戦闘、めっちゃカッコよかったのに、まさかクロードが「軸足の重心移動と空間の歪み」から先読みしてガードするなんて…!?!?!?!?!?!痺れたわ✨ しかも「局所遅延」って、相手のタイミングを0.1秒だけズラすチート技!? それで超高速のエレナがバランス崩すところ、想像しただけで鳥肌たったよ…!!🦅💦 最後のアースワイヤーで電流ショートさせるのも、伏線回収?最初の「アースさせてやる」って台詞がここで生きてくるの、マジ構成美しすぎじゃない!?!?!?!? そして「180倍の払戻金だけが欲しい」って、クールすぎて頭おかしくなるわ…!!!!🔥🔥🔥 次の話、絶対読みます!!毎日更新待ってます!!!!!✨