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2章:生と死。
10話:変わり者。
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
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「あれほど言ってるのになんで止めないんだ夏希…。」
「…、」
「仁男さん、なにかあったんですか?」
「あぁ秀蘭さん、シュウさん。おかえりなさい。こちらの話ですので大丈夫でs」
夏希さんがその場から逃げるように、どこかへ行ってしまった。
「あ!夏希!」
場がシーンとする。
夕方。数日間フーアイタンにいることにした私たちは、今日も孤児院に泊めさせていただくことにした。私は泊めさせてもらうならと料理を手伝おうと、庭の井戸へ来たところだった。
「…あれ、夏希さん?」
彼女は井戸に腰掛けていた。
「…!秀蘭さん。えっと…、さっきはごめんなさい。」
朱く輝く瞳をこちらに向け、まるで天女みたいな彼女の声は初めて会った時とは反対に優しい声色だった。
「…。聞いていいことか分からないんですけど、何があったんですか?」
あ、また変なタイミングで聞いてしまった
だけど彼女は優しい微笑みのまま、自然と話してくれた。
「わ、…。、、わ。私、忌子なんだ。」
その出された言葉に驚きを隠さなかった。
「周りは孤児院の子供達や…私をバカにしてくるんだ。私、そいつらが許せなくて、よく言い合いになっちゃうんだ。」
井戸の水を眺めながら
「じぃちゃん…。ごめんね…」
あ、そっか。この人、夏希さんは本当に心から優しい人なんだ。そんなことを小さくでもはっきりとした呟きで感じた。
「…。仁男さんと夏希さんって仲良いですよね。なんかお互いに思っているというか…」
「あぁ、じぃちゃんと私は本当の血は繋がってないの。」
「え、そうなの?じゃあご両親は?」
「……。殺させたわ。私が五つ、六つの時くらいに。」
「あ、ごめんなさい」
「いいのよ…!…私が忌子だからって王様が気味悪がって…」
「母さん!父さん!わたしイヤだよ!」
「…夏希よく聞いて。夏希は王様の言う通り変わり者なのかも知れない。でもな、父さん、母さんからしたらとても大切な娘だよ。」
「母さんたちは夏希を信じてる。だから母さん、父さんの命を懸けて夏希の命で…夏希の未来を生きてほしいの。」
「イヤだ、いやだ!!
(雨、あめ、どしゃぶりのあめ。全部流されちゃいそうな雨。かあさん、とお、さん…)
「そこのお嬢さん、お母さんとお父さんは?雨の中危ないよ」
「…。…、…んだ」
「え?」
「死んだ。私のせいで、私が変わり者だから!なんで!みんな、みんな!」
(みんな、大嫌い…!)
「…そうか。」
老人は夏希を抱きしめる
「!」
(あったかい。ぎゅーってされるの。)
「大丈夫、大丈夫だから。今日から私たちは家族だ。私が君のおじいちゃんになってあげよう。大丈夫だよ。」
「じ、じぃちゃん。ありがとぉ」
「それが私とじぃちゃんの出会い。最悪かもだけど、唯一の救いだったのかな」
…なんて辛い過去なんだろ。彼女は愛されていたのに。やっぱり大人って残酷なのかな、
彼女の顔をみるとそんな風に感じてしまう。でもこの人は、夏希はきっと…
「…あ、ごめんなさい。こんな話…」
「夏希は…!ご両親のこと大好きで、ご両親も夏希のこときっと大好きで。だからこそ、色んなことと戦って、本当にすごいよ…!」
「!」
「ご、ごめん。思ったこと全部言っちゃって、なんか変かも。」
「…、っはは!ありがとう秀蘭」
「あのね、夏希、私もね…感生の子…忌子なんだ」
「…!そんなんだ。あ、私たちいつのまにかタメ口になってたね」
夏希はクスッと笑う
「た、確かに。あ、でもそれなら私たち…」
息が合い、少女たちは笑みを浮かべた。