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今ぼくはチョコレートを買いに来ている。明日がバレンタインデーだからだ。スピードワゴンにほろ苦い星型のビターチョコレートを、エリナには甘いイチゴ味の赤くて丸いチョコレートを、そしてディオには━━━━━━━━━━━
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今日はマヌケのJOJOに呼び出されている。このディオが今日がどんな日なのか知らないとでも思っているのか。ベタすぎる展開に反吐が出そうだ。だが、ちょうど良い。JOJOに慈悲チョコ(今年も女子からチョコ貰えないよねざまぁっていうチョコByなち)を渡そうと思っていたのだ。これで酷いよディオ〜ッ!とみっともなく泣きじゃくらせるためだ。だがチョコレートは1級品のカカオのチョコレートで手作りだ。断じてJOJOが可哀想など思ってはいない。
たったったと足音が聞こえる。あのマヌケが来たようだ。胸が高鳴るのは今からするイタズラが楽しみだからだ。JOJOはこのディオに想いを寄せているようだが、オレはもちろん恋心など抱いていないのだ。絶対にそうだ。
「ディオ!待ったかい?」
「そんなわけないだろう。誰がJOJOなんかに時間を割くというのだ?」
嫌味たっぷりに言ってやった。今すぐに泣いてもいいのだぞ?JOJO。
「それなら良かった!」
どうしてそんなに嬉しそうなんだ。
「今日はバレンタインデーだ!君にプレゼントがある!」
来た。本題だ。
「これ、!」
渡されたのは、ハート型のミルクチョコレートとマフラーだった。なんとどちらも手作りだ。どうして分かったのかは言うまでもない。形が少し汚くて明らかに不器用なヤツが作ったと分かるからだ。
「本命、チョコなんだけど…」
予想外だった。てっきり店でテキトーに買って渡してくるのだと思っていた。
あまりに長い間固まっていたからか、JOJOは不安げにこちらを見てきた。そうだ。今日はJOJOをけなして遊ぶためにクソ寒い中外出したのだ。声を振り絞って罵倒の言葉を口にする。
「なんだこの汚いチョコレートは?文字通りクソだな。」
この時、どうしてか心がズキッとした。
「、ッ!」
JOJOが涙をこぼして泣いている。わめかない。目を見開いて静かに泣いている。
またズキッとした。
「そっ、か!だよね、!ごめんね。」
「僕もう帰るね、!」
その時、反射的にJOJOの腕を掴んでいた。
「おい!何もそんなに泣く必要は無いだろう!…誰も嬉しくないとは言っていないだろう、!」
何を口走っているのだ!?瞬間、顔が熱く火照っていく感覚がした。目頭から水が出てきた。
「ッ!?」
JOJOは驚いて、目を見開いて、真っ赤になっていた。あぁ、JOJOにだけはこんな姿は見られたくなかった。
どんどん口から嗚咽が出てくる。
なんと、このディオともあろうものが泣いていた。
「ディ、ディオ!どうしたんだい!?嬉しくないとは言っていないって、!それにどうしてそんなに泣いているんだ、!?どこか痛むのか!?」
JOJOから問い詰められる。この鈍感のマヌケが。
そうだ。オレは、このディオは、JOJOのことが好きだったのだ。
「ん、むぅ!?」
また突然だ。JOJOからキスをされていた。長い間、唇を奪われていた。
「ぷはっ、はぁっはぅっ」
みっともない声を出してしまった。もう羞恥心はマックスに到達していた。きっと今の顔はゆでダコのごとく赤いのだろう。
「ねぇ。ディオ。僕は君の事が好きだ。君もそうなのか?」
「なっ、!」
壁ドォンをされていた。いつの間に、どこでこんなことを覚えてきたのか。このマヌケは無駄に背が高い。
そうだ。チョコレートを渡そうとしていたのだ。本当は慈悲チョコのつもりで用意していたのだが、一応手作りだから、本命に見えるだろうか。今なら間に合うだろうか。
「、JOJO」
チョコレートを渡してしまった。
「!ディオ!」
瞬間、JOJOは嬉しそうにぱぁっと顔を輝かせる。それだけで鈍感なコイツに伝わったのだろうか。
「ほ、本命チョコだ。有難く受け取りやがれこのマヌケがッ!」
本命チョコであることを補足した。顔を赤くしながら罵倒しても効かないだろう。
JOJOはふふっと笑って愉快そうだ。
このディオともあろうものがこれからもJOJOなんかに振り回されることになるのだろうか。