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このまま殺してやろうか

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このまま殺してやろうか

1 - このまま殺してやろうか

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2025年04月23日

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俺は緑まちこ、という1人の生徒に恋をしている。本当はいけないことなんて分かっている。

でもこの衝動は俺の中だけでは留めておけないんだ。



俺とまちこが初めて出会ったのは入学式の時だった。

初めての高校教師としての仕事。

散々だった。

クソみたいな生徒にクソみたいな教頭、 新米という立場の俺に人権などなかった。

そんな中、俺に声をかけてくれたまちこ。


「せんせーの授業、分かりやすいから好きだよ」

そう笑って言った彼女。

女神だと、思った。


それから毎日少しずつ話すようになった。

聞けば彼女もまた、イジメられてると言うじゃないか。

俺達はお互いに傷を舐めあいながら少しずつ少しずつお互いの距離が縮まるのが分かった。


「せんせー!聞いて!」

今日も花が咲く…いや花にも勝る笑顔で俺を見るまちこ。

俺達の仲は彼女が2年になっても続いた。

むしろ深まった、と言っても過言じゃないだろう。

この頃から俺はまちこが欲しくて仕方がなかった。

もちろん教師という立場で彼女と付き合うなんて出来ない。

お互いが相手を思っている… それだけで俺の心は救われた。


そんな俺達を邪魔するやつがいた。


今年のクラス替えでまちこと同じクラスになったアイツ。

教室の隅で、ひとりで本を読んでいるような、居ても居なくても変わらないような地味な男。

ソイツと彼女がよく一緒にいるのを見かけるようになった。

俺に優しく微笑みかけてくれた彼女は今や、陰キャ男の隣で幸せそうに笑っている。

いや違う、どことなく嫌そうな顔をしていないか?

許せなかった。

散々俺を「せんせー!」と慕ってくれたのに、泣きながら頼ってくれたのに。


アイツのせいでまちこは俺から離れた。

もう一度心を戻すにはどうしたらいい?



「…嫌、離して」

誰も通らない細い路地裏で無理矢理その細いカラダを組み敷く。

ジタバタと暴れる彼女の手を俺のネクタイできつく縛った。


「せんせーやめて…っ」

嗚呼、まちこは涙を流す姿さえ美しい。

白い頬に真珠の粒が零れた。

柔らかい若葉色の髪が頬に張り付く。

俺はまちこの白いブラウスを力任せに引き千切った。


ぶちぶちと繊維の裂ける音、ぶつんとボタンが弾ける音…それ以外に彼女の啜り泣く声しか聞こえない。

世界にふたりっきりになったみたいだ。

小刻みに震える彼女の脚の間に割って入ればまるで俺とまちこが愛し合っている瞬間かのように錯覚した。

そのまま下着だけを身に着けた彼女を見つめる。

純白のブラジャーは彼女の白い肌によく似合っている。

女のブラジャーなんてまともに触ったこともなくて初めはカチャカチャと金属が触れる音だけだったが、やがて上手く外せたのかブラのホックを外れた。


「やだ…助け」

泣き叫ぼうとする彼女の花弁のような唇を手で押さえつける。

いくらここに誰もいないと言っても、流石にこの状況では俺が悪いということになってしまうんだろう。


しかし実際は俺達は愛し合ってるんだ。

彼女が口にしなくても分かる。

俺はまちこの顎を握り潰すように口を塞いだ。

くぐもった声すら可愛いまちこのスカートの下に手を伸ばしたその瞬間。


「誰の女に手ぇ出してんだよ」


ガァンと大きな破裂音と同時に眼の前が真っ赤に染まり、鉄の匂いと据えた脂の匂いが充満する。

ズキズキと尋常じゃない頭の痛みが俺を襲った。

震える手て頭の後ろに触れるとヌル、と何かに触れた感触がした。


「あ、血、血が、痛い…っ!!」

「聞いてんのかよこのクソ教師…!!!」

「辞めろボビー殺す気かよ!!」

「キャメさんそっち抑えて!!」


声の主を見れば、あの男・・・だった。

俺からまちこを奪った張本人が鉄パイプを持って立っている。

周りの3人の男が必死でソイツを止めようと抑えている。

そこで俺は彼に、鉄パイプで殴られた事を知った。


「殺してやる!コイツがまちこに、俺の彼女になにしたと思ってん!!!」

血走った眼が俺を捉える。

ふーふーと荒く息をするソイツに俺は途方もない殺意が湧く。

「何が殺すだよ!!俺からまちこを盗ったのはお前だろ…!!俺の、俺だけのモノなのに!!!お前の方こそ殺してやる」


白井裕太!!!


「はい、そこまで」

アイツの金魚の糞のひとり…確かキャメロンとか呼ばれている男。

ソイツが俺とアイツの間に立った。

「今の最初から最後まで撮ってるから。アンタは警察行き」

「ま、待ってくれ…ほんとうに俺とまちこは、愛し合って」

俺の横っ面が殴られる。

目の前が真っ暗になる瞬間最後に見えたのはアイツの憎しみに燃える瞳だった。


「まちこ、って呼んでいいのは俺だけやから」


死ねやお前。







みっともなくよだれを垂らして倒れている、死んだ方がマシなクソ教師を見下ろす。

だらしなく肥えた体、脂ぎった皮膚、地肌が透けた薄い髪。

そんな奴がまちこを触った。

「…」

俺はぐり、と彼の股間を強く踏みつける 。

このまま殺してしまおうか。

「ボビーもうすぐ警察来るって」

大通りの方へ向かったニキが声が少し遠くで聞こえた

「おー今行くわ」

まちこを静かに抱き直すとニキの方へ向かう。


後ろはもう振り返らなかった。

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