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もうすぐお邪魔する時間だ。
あまり着飾って行くのも変な期待をしていると思われそうなので、さっき会った格好のまま、鏡を見て失礼がないかだけ確認する。
とりあえず歯は念入りに磨いておいた。
手土産は…とキッチンを見回したが、気の利いたものも無いので特に持たなかった。
ちょっとお茶するだけだし、と心で言い訳をする。
階段を上がり部屋の前に着く、ここだよな…一呼吸置いてインターフォンを押す。
扉の向こうでとっとっとっと足音がして直接 玄関が開いた。
「いらっしゃいませ!簡単にしか片付けてないので恥ずかしいですが、どうぞ!」とさっき会った姿のままの奥さんが招き入れてくれた。
「お邪魔します」と挨拶をして上がらせて頂く。もちろん靴を揃えて置くのも忘れない。
間取りはうちと同じだな、と思いながら失礼にならないよう、それとなく見回すと家具なんかはかわいいもので揃えられていた。
リビングに通されたので、失礼してソファに腰掛ける。
「片付いてますね」お世辞でなく本心だった。
もしいつかお返しにお招きするとしたら、うちは相当頑張らなければ…
「そうですか?ありがとうございます❗」
素敵な笑顔だな。
「奥さんは仕事はしてないって言ってましたが家事以外には何をしてらっしゃるんですか?」
「そうですね~テレビを見たりお昼寝したり?本当にいつも暇なんです。パートでもしたらいいんでしょうけど…」
確かにこの辺りは住宅地で、手近に働くところを探すのは大変なのかもしれない。
「はい、どうぞ」
深く前にかがみ、ローテーブルにコーヒーと白い…チーズケーキ? を置いてくれた。
それほど深くない谷間が見えてしまい、ついでにブラをしていないこともわかった。
今見たものを心のアルバムにしまうと、今のは不可抗力、と言葉にせず言い訳した。
「すみません、頂きます」このすみませんはそっちの意味ではない。
「お砂糖とミルクは?」
「ブラックで大丈夫です」
これくらいの距離感の人に招かれることはそうないので、こんなやりとりが新鮮だ。
奥さんは自分のマグにだけミルクを入れて戻ってくると、斜め向かいに座った。
ソファが沈み、もう少しでパンツが見えそうだったが…惜しい。
せっかく出してもらったので一口頂く。
「美味しい」甘すぎず若干の酸味が爽やかだ。
「あまり知らないんですけど、この近所のお店ですか?」
「いいえ、作ってみたんです」
「へぇ!すごい!売ってるものかと思いました。チーズケーキなのに白いんですね」
「ふふ、レアチーズケーキって言うんです。うちの人、食べても感想も言わないんで、ほめてもらえて嬉しい🎵」
「お料理上手なんですね。旦那さんが羨ましいな」
「上手かはわかりませんが好きなんです、お料理」
奥さんは話しやすく、にこにこ明るい人だった。