まだ続かせます。
湿度の高い部屋。
ドロドロと溶け出す体温。
部屋中に響く下品な音。
身体中を、無数の手がいやらしく這う感覚がする。
身体は、いや、頭さえ。もう既に機能はしていないようだ。
なんで、こうなったんだっけ_____?
「……………。」
首が締まるような感覚と共に、目が開いた。最悪の目覚めだ。
音を立てないように、静かに起き上がってみると、身体中が気持ち悪く汗ばんでいた。
心臓の鼓動が異様に速い。
(ひどい悪夢だった。)
今はそう思う他ない。
ネオンの光る、耳障りな街からここに来て、もうしばらく経った。あそことは比べ物にならないほど、平和で心安らぐ生活だ。
こんなに幸せに暮らせているんだから、このくらいの天罰が降っても文句は言えない。
「天罰、か………。」
鼻につく甘い錠剤と誰かの精液の混ざる匂いの代わりに、優しいコーヒーの香りが部屋を包む。
窓を開ければ、爽やかな風が髪を揺らした。俺は窓の淵にそっと手をかけた。
(ここで……、)
泣きながら抱きしめられたのが、まるで随分前のように感じる。それでも、あの温かい感覚は、まだ身体に残っていた。
はじめて、
はじめて、ふれた。
「………ん、」
「あ……ごめん、起こしちゃった?」
ベッドの方を向いてそう声をかけると、彼は気怠げにむくりと起き上がる。
「んん、だいじょぶ……。」
「………れ、みなとくん、今日は早いじゃん……?」
「ぁ〜……。」
さっきのあれは、夢だ。だけど現実に、この間まで毎日のように俺が経験していた事でもある。
自ら求めて、犯されて、それで救われた気になって……。今更ながら反吐が出る。
「……怖い夢見た、って言ったら、慰めてくれる……?」
それでもまだ、こうして誰かの愛を求めてしまう自分にも、つくづく愛想が尽きた。
「…………いいよぉ。」
「ほら、おいで。」
「………。」
貴方も、さ。
こんな俺に優しくしないでよ。
貴方の優しい言葉だって、まだ疑ってしまっているのに。
また、また捨てられるんじゃないか、って。
心の中で、蟠りが残って仕方がない。
俺には、都合がいいだけの愛がお似合いなのかな。
ぎゅ。
「……なぁ、」
「……、人って、そう簡単に変われないのかなぁ………。」
「………そんなことないよ。」
「たとえ変われなくても、俺がずっと大好きでいるから。」
「………、」
「……ね、そんなに泣かないで?」
やめて。
やめてよ。
また、俺が期待しちゃう前に。
優しくしないでよ、あきな。
to be continue…
コメント
8件
めっちゃ好きすぎる…😇😭
あぁあ....😭😭好きです...😇
頭ではダメだって言ってても本能は求めてるこの感じ、凄い好きなやつ、癖です