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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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空っぽになったまま、 ここに居続けるつもりか?……お前は何のために生まれてきた?……いつまでそこにいるつもりなんだ? ここには誰もいないぞ……。

それに、ここへ来る道だってわからないはずだ。……どうして、こんなところにいる?……ここは、どこだ?……私は誰なんだ?…………?…………!……そうだ、思い出したぞ!……私は……あぁっ!?……頭が痛いっ……うぅっ……ぐわあああっ!!……。

はっと我に返った時、彼はそこにいた。……そこは暗く、寒かった。

自分がどこにいるのか、すぐにはわからなかった。

しばらくしてようやく、かすかに記憶がよみがえってきた。

(……僕は確か、あの時死んだはずだ)

少年の思考は混乱し始めていた。

(……ここはどこなんだ?)

暗闇の中で彼は考える。

(そもそも、僕は何をしていたんだったっけ?)

彼の頭の中には霞がかかったように、記憶の一部が欠落しており、思い出そうとするたびに強い頭痛が襲ってくる。

(痛ッ!)

思わず声が出そうになるが、なぜか不思議と声を出すことはできなかった。

(なぜこんなにも頭が痛いんだろう?……そうだ、思い出せないなら考えなければいいじゃないか)

彼は無理矢理に自分の疑問を押し込め、 再びペンを走らせ始めた。

この先にあるものを確かめるために。……。…………。………………。……………………。………………………………。

そして……

すべての謎を解く鍵となるであろう最後の一枚をめくった時、 彼の手は再び止まった。

そこにあったものは、 想像を絶するほど異様なものだったのだ。

「……なんだこれ?」

それは、真っ黒に染まっていた。

インクを落としたように塗りつぶされていたのだ。

紙全体に広がった漆黒の染み。

そしてその上に書かれた文字。

かろうじて読める程度の、黒い滲みのような字だった。

“私の望み”……それだけしか書かれていなかった。

他のページと同じように。

しかし、ただひとつだけ違っているところがあった。

他はすべて白紙だったが、たった一ヶ所、 裏返しになっていた箇所だけは違ったのだ。……そこにあったのは、”空白”だけだった。

全ての文字が、きれいさっぱり消えていた。……。…………。………………。

彼が呆然としていたその時、背後で物音が聞こえた。

振り向いた瞬間、彼もまた固まってしまった。

そこに立っていたのは、あの少女だったからだ。

相変わらず、表情のない顔つきで立っている。

だが、今回は今までとは違う雰囲気をまとっていた。

「……あの」

思わず声をかけたが、返事はない。

少女は無言のまま近づいてきた。

表情のない顔でこちらを見つめると、 そのまま目の前を通り過ぎていく。……すれ違いざまに聞こえたのは、 少女の声だったように思う。……どうせ誰も来ないしね。

あなたも好きにしていいよ。……わたしはただの飾りだから。……別に構わないけどさ。

あなたの話って退屈だし。……どうすれば良いかわかんなくなるし。……じゃあね。

少女はそのまま歩き去っていく。……あれは本当に、少女だったのだろうか? いつの間にか現れた少女……

そして、突然の別れ……。

少女が去った後に残るのは、 無機質な沈黙だけ……。

ここには、きっと意味があるはずだ。

でなければ、これほどまでに深い孤独はない。

だが、どれだけ探っても答えは出ない。

ここにいる者たちは、本当に生きていると言えるのだろうか……? こんなにも、空っぽなんだ。……ここは、いったいどこなんだろう? 私は、なぜここにいるんだろうか?……あの塔は何を意味している? この先にあるものは……? どうして私は、この場所を知っている?……わからないことが多すぎる。

まるで霧の中にいるみたいだ。

だが、ひとつだけわかることがある。

それは……私が、まだ終わっていないということだ。

たとえ、この身が朽ち果てようとも、 私はまだ……存在しているのだ。

ならば、私は進むしかないだろう。……どうやら、ここで行き止まりらしい。

これ以上先は進めそうもない。

それでも……諦めずに歩き続けた。

やがてたどり着いた場所は……

巨大な歯車が幾重にも重なり合う、 機械仕掛けの装置だった。

複雑な回路図のような紋様……

無数の文字盤と針。

その奥底に隠されたものは、 あまりに複雑すぎて理解ができない。

おそらく、これは人の手で造られたものではないだろう。

だが、明らかに何らかの意図をもって作られたものだ。

おそらくは、あの塔を作った者たちと同じように……。……ただ、それだけのことさ。

私は、私自身のことをよく知っている。……私が生み出したものなんだからね。

そうだ。私の中にあったモノ。

それを形にしただけに過ぎないんだよ。

だから、私にとっては、あれらはすべて我が子であり……

同時に、敵でもあるのかもしれない。……どうにも、複雑な心境だよ。

君だって、そういう経験はあるんじゃないかな?……自分のことなんて、自分以上にわからないもんだし。

特に君は、他人の感情に敏感だしね。……もっとも、それは君の優しさでもあり、弱さだとも言えるけど。

優しいことは悪いことではないよ。

むしろ素晴らしい資質だと私は思うけれどね。

それに……

弱いということは、必ずしも欠点ではないはずだ。

人は皆、弱くて当たり前じゃないか。

そもそも完璧である必要などどこにもない。

だからこそ、私たちはこうして生きているわけだろう?……なら、悩む必要はないんじゃないのかな。

大切なのは、自分がどうしたいかという気持ちだと思うよ。……少なくとも、私はそれで救われたんだから。

まあ、あんまり難しく考えすぎないことだよ。……そっちの方が、かえって楽になれることもあると思うし。……ほら、また眉間にシワが寄ってるぞ。

たまには息抜きすることも覚えなさいな。……うん。やっぱり笑った顔が一番いいよ

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