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コメント
1件

ありがとうございます🙇♀️🙇♀️🙇♀️🙇♀️こういうの大好きですムフフフフフ
akn「 」
fw『』
「あ、飲み物持ってくるからふわっち座ってて」
『ありがとー、』
キッチンの奥の方へと飲み物を取りに行った明那に言われて、大人しくソファに座る。
カフェでこんな話は気が進まないということで、あれから明那の家へと移動した。
にゃんちゃんと戯れていると、明那がお茶を持って戻ってきたのが見えた。
向かいに座ろうとする明那をさりげなく呼び寄せると、案外あっさり隣に座ってくれる。
「なんか、いきなり呼んだのにこんなもんしか出せんくてごめんな?」
申し訳なさそうにする明那に「全然ええよ」と軽く返しながら、最初に何を言うべきか思考を巡らせる。
けれど、俺が何かを言う前より先に明那が口を開いた。
「さっきの話の続きなんやけど、相談に乗ってもらう前の前提として言っとかんといけないことがあるんよ。… その…、言いにくいんやけどな、…?」
『うん?どしたん?』
突然言いにくそうに口籠る明那の言葉に耳を傾ける。
そんな俺のもとに、予想を遥かに超える答えが返ってきた。
「男…なんよね。…俺の好きな人。」
『…は?』
ピタリ、と今までいつも以上に働いていた思考が一時停止する。
男。 人間の性別の一つで、生物学上明那と同じ性別にあたるそれ。
つまり、俺と同じ。明那は、生物的に一般とされる異性ではなく、同性を好きになったということだ。
その事実が、俺の心を大きく揺らした。
それと同時に、俺の中の黒い何かが溢れる。
面と向かって明那と恋バナをすることなんて今までほとんど無かったが、ずっと明那の恋愛対象は女性しかいないのだと思っていた。それは明那から直接聞いた明確な事実ではないものの、俺の中ではもうそれは事実として固まっていて、揺るぎないものだと勝手に思い込んでいたのだ。
それに、男が好きだなんて明那の口から聞いたこともない。 それなのに、明那は今同性である男に恋をしている。
同性も明那の恋愛対象になるなんて、そんなの知らない。知れるわけがない。
────────それなら、何で俺じゃダメなん?
そんな思いが今にも口から飛び出してしまいそうだった。
今まで明那は女性しか恋愛対象に入らないのだと、そう思っていたからこの気持ちも伝えなかったのに。
男でもいいなら、絶対に俺の方がいい。そう言いたくなる気持ちをグッと押し込む。
だって、明那はそんなことで好きな人を決めるような人間ではないから。
男。
女。
そんな一つの区切りで相手を判断するなんてこと、彼がするわけない。
そんなことはとっくに分かり切っているけれど、その事実が余計に苦しかった。
嫉妬、憎悪、妬ましさ。
明那の「好きな人」への思いが様々に入り混じり、頭がクラクラする。
けれどなんとかこの場は保とうと、ハリボテの笑顔を貼り付けた。
『そうなんや。最近はそういう人も結構おるよな』
「…変って言わんの?」
『んはは、変なんて思うわけないやろ?人を好きになることに性別なんて関係あらへんよ』
だって、俺も明那のこと好きやし。
心の中でつけ足しながら明那の目を見つめる。
「…ありがと」
明那は軽蔑の目を向けられていないことに安心したのか、不安そうだった顔が笑顔に戻って、ちょっとだけ泣きそうになっていた。
その安心し切ったような笑顔に、チクッと罪悪感が走る。
ごめん明那。俺、明那の恋を応援できない。
むしろ邪魔してやる、なんて考えていたことは口を裂けても言えなかった。
明那が俺にどれだけ勇気を出して相談してくれたのかなんて、この顔を見れば一目で分かってしまう。
だけどそんなのも、今の状況ではかえって逆効果だった。
泣きそうになる程こんなにも勇気を出してくれた明那の気持ちを踏み躙る俺が嫌だ。
だけど今の俺に、その恋を応援するという余裕も気持ちも無かった。
こんな親友でごめんな。
そう心の中で何度も謝りながら、泣きそうになっている明那の頭を笑いながら撫でる。
心の中では、もう俺の思いは決まっていた。
きっと俺が邪魔なんてすれば、明那の恋は更に叶わなくなるだろう。
その時は絶対に俺が明那を慰める。そう決心して、改めて明那の嬉しそうな笑顔に視線を戻した。
こちとら何年も前からこの男に恋しているのだ。ぽっとでの男なんかに明那を取られてたまるものか。
こうして俺一人の身勝手な作戦は幕を開けたのだった。