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『一つ聞いておきたいんやけど、明那はその好きな人に告白するつもりなん?』
「っは!?」
俺がそう聞くと、明那は一瞬で顔を真っ赤にしてあたふたと視線を彷徨わせる。
その反応が愛おしくてそのまま眺めていると、今まで恥ずかしさ一色だった明那の顔が、何かを思い出したかのように暗くなった。
「告白…は、したいけど、今告白したところで絶対振られるから…」
「絶対」とやけに強い言葉で言い切った明那に少し驚く。
こういうのって少しは相手も自分に好意を抱いてくれているかも、とか期待するものでは無いのか?それほどまでに強く言える自信はどこから来るのだろう。そう疑問に思っていると、それに答えるように明那が話し出した。
「ぶっちゃけ、脈はゼロなんよな」
『えっ、そうなん?』
いつもよりちょっぴり悲しげに見える明那の笑顔に、驚きの声が漏れる。
想いを伝えたわけでも無いのに、なぜそこまで言い切れるのか。
『でも…、告白した訳やないんやろ?まだ分からへんやん』
「ん〜…そうなんやけど。でもなぁ。その人、俺が好きな人がいるから応援して欲しい、とか言っても笑顔で「応援する!」とか言い出すし、アプローチも今まで何回もやってきたつもりだけど、全スルー。なんか、いやでも脈なしって分かっちゃうっていうか…」
『え、あ、それは…確かに』
思ったより具体的な内容に戸惑いつつ、それは脈ナシかもなぁ、なんて納得してしまった。
好きな人ができたと言って笑顔で返されたなら、確かに脈ナシだと思っても仕方ないのかもしれない。
と、それより俺はその今までやってきた“アプローチ”とやらの方が気になる。
『ちなみに、アプローチって具体的に何したん?』
「え?んー、まあ例えば…ベタに、接触を増やしてみたり、会話の中で相槌を増やしたり?…あと、相手のことをよく褒めるのもやったかも」
なるほど、明那は意外とこれまで好きな人を振り返らせるため努力してきたらしい。
それはそうとして、接触を増やすとか…明那の好きな相手とやらが羨ましくて仕方ない。俺だったらめちゃくちゃ嬉しいだろうに…。…と、いけないいけない。また同じようなことを考え始めていた。
気を抜くとすぐに相手への嫉妬が溢れてきてしまうので、気を紛らわすためにまた口を開く。
『一つ考えがあるんやけど、さっき接触を増やしたっていったやんな?その接触を更に増やしてみるってのはどうやろ。極限まで近づいたら、相手もちょっとは意識してくれるんちゃう?』
「え、これ以上接触を増やす…?いや、それは…ちょっと俺の心臓の方が持たないと言いますか…」
『でも、明那は好きな人を本気で振り返らしたいんやろ?やったらこんくらいせんと』
「ん、あ、え、そ、そうなんかな…」
明那は顔を再び真っ赤にして、恥ずかしそうにふにゃりと笑う。
こんな可愛い顔をさせるとか、ほんまに明那の好きなお相手とやらはどんなやつなのだろうか。
この顔を見せたら流石にそいつもイチコロやろ。絶対見せたくない。
と、そんなことを思う俺が何故明那と好きな人を逆に接触させるようなアドバイスをしたのか。
というのも、こんなことをしたのにももちろん訳がある。
明那の好きな相手がもし本当に明那のことを恋愛対象として見ていないなら、大袈裟に接触されてもそこまで嬉しくないはず。むしろ迷惑とまで感じるはずだ。これが成功したら、相手の明那への好感度も大幅に下げることができるだろう。今回はそこを狙う。
万が一にも相手が明那に少しでも恋愛感情を抱いていたなら一発アウトだが、ギリギリを見定めることにした。
これで成果が無しなら、相手は本当に明那のことを恋愛対象として見ていないということになる。
どうか俺にとっていい方に行きますようにと心の中で願いながら明那の言葉を肯定した。
『そうに決まってるやろ』
「…分かった。ふわっちが言うなら試してみる」
何かを決心したかのような顔で俺を見つめる明那。
と、それと同時とも言える時間に、明那のスマホが音を鳴らした。
「…ごめんふわっち!俺もうちょいで収録あるみたい。相談はまた次の機会でもええ?」
『もちろん!いつでも相談乗るで〜。それよりはよ収録急ぎ』
スマホを確認した明那はすぐに立ち上がって俺にそう言う。
「じゃあまた連絡するな?今日はほんまに相談乗ってくれてありがとう!俺まじふわっちのこと大好きやわ!」
その言葉に顔が赤くなるのを感じていると、突然唇に柔らかい感触がした。
ちゅ、なんていう可愛らしいリップ音を鳴らした後、明那は部屋を逃げるように去っていく。
暫くはその場に動けずにいたが、やっとキスされたのかと気付いた頃には明那はとっくに家にはいなかった。
ただずっとその柔らかい感触だけが俺の唇に居座っていて、明那が俺にしたことを改めて考えると、やっぱり信じられない。
立ち続けられなくて、その場にヘナヘナとしゃがみ込む。
あの時の俺は絶対にとんでもなく真っ赤な顔をしていただろうなと、そんな自信があった。
『は、……??』
コメント
1件
最高です大好きです💓💓続き楽しみです🫣