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一日目、レイブが『反射(リフレクション)』で狩って来たボアを、三者は絞り、その生体エネルギーである魔力を直接、ガツンッと吸収して石化の恐怖、プラス生還の喜び、所謂(いわゆる)スリルを充分に味わったのであった。
その楽しみ方が残虐な方向に変化して行くのに時間は必要では無かった様だ……
四日目の昼、レイブは岩窟の入り口で大きな声で告げる。
「おおいっ! ギレスラ、ペトラっ! 見てみろよ! 遂にマッドベアーを生きたまま捕獲出来たぞぉ! なははぁ! これ、生きたままで絞り切れば今までより多くの魔力、『生命力』が得られるんじゃないかなぁ? どう? どぉうぅ?」
『グギャァーグギャァー! イキガイイネ♪ ウ、ウマソウダネ~♪』
『本当、美味しそうだわぁ! ねえ、ねえ、レイブお兄ちゃん、ギレスラお兄ちゃん! 早く絞ってみましょうよぉっ!』
「だね、うふふふ」
『バフォーバフォー! バフォバフォォ……』
子供とは残酷なものだ……
洋の東西を問わず興味や関心の赴くままに時に大人が眉を顰(ひそ)めざるを得ない選択を容易にしてしまう、それはそうなのだがぁ……
レイブとギレスラ、ペトラのスリーマンセルは、自分達なりに強くなろうちゃんと成長しよう、そう思った結果、酷く残忍な方法を選んでしまった様である。
死んだモンスターから得られる魔力、『生命力』は些(いささ)か物足りない!
干し肉よりはマシだが、正直大差ない…… ふうぅ~、どうしたものかぁ……
生きてる時ほど生命力を感じないんだよなぁ~、ん? 生きている時ぃ?
っ! あ、あ、ああ、そうか、そうかぁ!
なんだ簡単じゃんっ!
そんな子供的に短絡的な考えが辿り着いた帰結はこうである。
――――殺さないで連れてきた生きてる奴から絞れば良いじゃなーい♪
ぶるるっ……
私から見れば残酷過ぎる、それは流石に駄目じゃんっ! って話だが、何度も言うが、価値観も死生観も違う時代で、ましてや分別も怪しい子供たちだけの判断なのである。
それから三日、目を背けたくなる様な光景が延々と繰り返されたのである。
少しだけ話させて貰えば、生きたまま地獄を感じるモンスターの声、せめて殺してくれぇー! そんな風に感じる絶望の声と、同時に周囲に響き渡るスリーマンセルの低く残忍な笑い声……
うめき声の横で血や生気を啜り上げる汚らしい舌なめずりと、うめき声が止んだ後で、小さな舌打ちと共に奏でられるズルズルといった何か重そうな物を引きずるような音。
そして、
『ツギハ、オマエダァ、ハハハハハァァァァッ! ガッガッガアァァァ!』
その声に続いて聞こえるモンスターらしい意味不明ではあるが恐怖に包まれ誰とも無く救いを求める弱々しい声……
そんな物には一切構う事無く響いた声は、
「ギューだっ! はははっ、ギューっだっ!」
『格好良い! レイブ兄ちゃん、もっともっとギューってやってぇっー!』
であった。 ………………モンスターだけど、うん…………
う、うん! ゴホン、ゴホゴホ…… 兎に角、そんな感じで数日を過ごしたレイブ、ギレスラ、ペトラの三者、スリーマンセルは規格外、というかこの時代の魔術師見習いには考えられないほどの成長を遂げていたのである。
ついでにモンスターに対する残忍性も群を抜いてしまったのであるが、これはワザワザ言うまでも無いことだったかもしれない。