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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
第4章 『愛するが故に犯してしまった罪
破った約束』
〜護る為に嘘を吐く〜
第2話 仮面をした少女
翌朝――。
コンコンッ。
『起きて下さい、主様!大変なんです!』
『ちょ、ちょっと待ってて。直ぐに行くわ。』
私は部屋の扉を開ける。
『こんな朝からどうしたの?』
『すみません朝早くに。フロントへ来てください。』
『分かったわ。』
『百合菜様も一緒に…。』
『ごめんなさいね、百合菜ならまだ寝てるのよ。』
『そうですか……。では麻里衣様だけで… 。』
バタンッ。
フロントにて。
『きゃー!!!』
『何があったの、ベリアン!』
『あ、主様!来てくれたんですね…!』
『これは一体…。』
フロントの床に倒れているのは中年の男性。
血の量から察するに既に亡くなっている。
『そんな……。』
『し、死んでるの…?』
周りにいた宿泊者の貴族達の顔が青ざめる。
『皆さん落ち着いて下さい。私達は悪魔執事です。この方は主様で探偵です。』
『た、探偵?それなら安心だわ…。』
『……胸を一突き…これが致命傷になったみたいね。凶器は…。』
『凶器はこれだと思います。』
フロントの方が私に渡す。
『波刃ナイフ……?』
『どうかしたんですか?主様。』
『いや、なんでも…。この方はこのホテルの関係者ですか?それとも宿泊者ですか?』
『は、はい。このホテルの料理長です。名前はトワイハネル・アグリさんです。』
『料理長ですか…。目撃者はいるんですか?』
『は、はい。あちらに……。』
『…ん?お前…!!お前が料理長を殺したんだ!!』
『え…!?主様が…!?』
『俺は見た!お前がその凶器のナイフを持って立ちすくんでるところ!俺が声をかけたら逃げたじゃないか!』
『失礼ですが主様はそんなことしません!この方は探偵で今までも沢山依頼を解決して……』
『いいや、間違いない!その証拠にその仮面を俺は見た!』
彼は私の仮面を指さす。
『っ…。』
『はっきりと見た、お前は仮面をつけていて殺された料理長の懐でナイフを持って立ちすくんでいた。そして、俺が声をかけたら逃げたんだ!』
『それは本当なの!?貴方探偵じゃなかったの…?人殺し!!』
『みなさん落ち着いてください、主様は――。』
『お前は黙れ悪魔執事!貴族の駒がワシらに偉そうに指図するな!』
『そもそも執事なら主様を庇うのは当たり前よね?貴方たちも共犯なんじゃないの?』
『そうだ!お前達も一緒に殺したんだろう!』
『っ、黙って聞いてればお前ら…っ。』
『……ハナマル。』
『っ、主様…。』
『執事たちは関係ありません。捕らえるなら私だけにして下さい。』
『主様!!』
『今はこうするしかないわ。ごめんね、ベリアン。』
『憲兵、こいつを捕まえろ!』
『は、はい。』
『待ってください!』
ユーハンが私と憲兵の間に割って入る。
『主様が人を殺すなど有り得ません!こんな残忍なことをするような方ではございません。どうか信じてください。』
『お前まだ庇うのか!』
『……ユーハン。』
『あ、主様…?』
『憲兵様。この人達の気が済むのなら私は牢に喜んで入ります。ですが私と約束して下さい。執事と私の妹のことは一切傷付けないと。』
『…分かった。連れて行け。』
『はい。』
主様は憲兵に連れてかれる。
『主様――!!』
数時間後。124号室。
『え……?お姉ちゃんが!?』
『はい…料理長を殺害した容疑をかけられ憲兵に連れてかれました…。』
『そんな…っ。なんで…!だって、お姉ちゃんは…っ。』
『主様が人を殺すなんて有り得ねぇだろ。あんのクソ貴族……っ。』
『っ…。』
『…みんな、今はとにかく主様の誤解を晴らすのが先だよ。私達だけでこの事件を解決するんだ。主様を助けよう。』
『ルカス様……。っ、はい!僕、主様を助けたいです。』
『私もです。あの方がいないと屋敷は静かで退屈です。それに…主様が2人いてこそデビルズパレスですから。』
『ナック…。』
『百合菜様。我々と一緒に主様を助けましょう。』
『…うん…!』
私は頷いた。
一方その頃。
『……。』
『落ち着いてるな。麻里衣。』
『フィンレイ様…。えぇ。信じてますから。みんなのこと。』
『健気なものだな。……私にだけ真実を話してくれてもいいんじゃないか?』
『…どういう意味でしょうか。』
『君が犯人じゃないのは分かってる。あの凶器のナイフを調べれば分かることだ。それに君は…その瞳で人の心が読める。それを駆使すれば弁明なんて……。』
『…その通りです。この私の瞳で犯人が誰かなんて分かります。でも、貴族達の怒りを沈めるにはこれが手っ取り早かったんですよ。貴族達の思いに答えるのが下位の者の役目。私が牢に入ることで妹の百合菜や、執事のみんなが危険に晒されなければそれでいいのです。』
『……自己犠牲か。』
『えぇ。手出しさせません。妹の百合菜は…執事達は私が守るんです。』
ヴェリス ホテルにて。
『では、手分けして捜査に当たろう。』
『はい。まず、1階の執事のみなさんはこのホテルのレストランの従業員の方に聞き込みを。私達3階の執事と主様はフロントに戻りもう一度事件現場を細かく捜査しましょう。』
『あぁ、任せろ。』
『一刻も早く主様を助けるぞ!』
『では、2階の執事のみなさんは殺害された料理長の関係者に聞き込みをお願いします。』
『了解しましたっす!』
『あぁ。』
『地下の執事の皆さんは目撃者である彼に聞き込みをお願いします。』
『ふふ、尋問ですね、分かりました。』
『聞き込みだってば。』
『別邸の皆さんは伝書鳩で随時麻里衣様に連絡をお願いします。』
『わかった。ユーハン、行くぞ。』
『…はい。』
『ユーハンさん、必ず主様を助けましょう!』
『シロ、俺達も行こう。』
『…あぁ。』
こうして主様の容疑を晴らすため、それぞれ動いた。
次回
第3話 捜査の中に生まれる違和感
コメント
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えーとつまり疑いが晴れるまで牢獄って事、、えー優しすぎる頑張れ!!プチさんも頑張ってね