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またまたネシア様からお借りしたイラストをサムネに使用させていただいています 🥹
「は? 今日こんなんしか稼げてないの?」
バサバサッ…と虚しく落ちる、札束。その次にドサドサッ…と目の前の男が膝をついて崩れ落ちる音。
「もういい、要らない。早く出ていって」
アタシがそう告げると男は嫌だ嫌だ、なんて嘆いてアタシの膝に掴まって動かなくなる。…あぁもう面倒くさいなぁ。アタシの言うことは絶対、アタシの生きていける金はお前が稼ぐって言ったの誰だよ。泣いてしがみつくなみっともない。
「…うっざ はやく出ていけつってんの聞こえない?」
アタシより身長高いはずなのに泣いてアタシの膝に掴まっているせいで、アタシがわざわざ視線を合わせなきゃいけないのもめんどくさい。しゃがんで視線を合わせてデコとデコを合わせて睨みつけながらそう言う。
「…わか、った…わかったから…ッ…出ていく、出ていくから…ッ!!」
ようやっとそう言ってくれて、アタシもそっ。なんて伝えて荷物をまとめて出ていくそいつの背中をやさしーから見送ってあげた。
バタンッと閉じられたその部屋は先程とは違う人気のなくなった静まり返った部屋。
「はぁーあ、つまんな」
冷蔵庫を開き、エナドリを取り出してごくりと飲み込む。そのままそこにかけてあった上着を取り出してアイツが出ていったその扉からアタシも出ていく。
夜の街は昼よりもガヤガヤギラギラしていていつまでも慣れない。
そんな夜の街を歩いているとき、一際別な雰囲気を漂わせた男がアタシの横を通る。
「…ねぇ、おにーさん 今ひま?」
「……え、俺?」
風で揺れる赤い髪と赤い瞳がアタシの瞳には美しく映る。…欲しい。ってふと思ってしまった。アタシのものにしてみたい。
「おにーさんさ、アタシに着いてこない? …ふふっ、だいじょーぶ。なんも怖くないよ」
「……なに、いって…」
彼が言葉を次ぐ前に、腕を引っ張り今さっき歩いてきた道を引き返す。なにも喋らず、彼が抵抗しても舐めないでよね。アタシがどれだけの男を相手してきたか、そのためにどれだけ鍛えてきたか。…今度は失敗しないように、次こそは必ずアタシのものにしてみたいから。
「ちょ、ほんとにやめてくださ…!」
「うるさいなぁ、その可愛いお口、塞いじゃうよ?」
彼の唇に指を当ててその後にアタシの唇に指を当てる。それにゴクリと唾を飲み込む彼を見てまた愉快に笑ってやると観念したとでも言いたげに目を逸らしてきた。
家につけてぱちんと電気を付けると、まぁまぁな広さをした部屋にびっくりしたのかわぁ、だなんて声を漏らしていた。
「…お名前は?」
「教えるわけないじゃないですか、…そもそも貴方から教えてくださいよ」
ふーん、警戒心強めの子なんだぁ、可愛いなぁ…なんて思いながら簡単な自己紹介をする。名前、年齢、出身ぐらいまでは教えてもいいかな。…でも全部は教えないよ、だっていついなくなっちゃうかわからないからね。
「…りぅ、らです…今年24の上京したて田舎出身者です。」
真面目な子なんだろうなぁー、アタシが先に教えたらまんま同じことを教えてくれた。バカだなぁ、嘘かもしれないのにね。まっ、アタシはそういうの嘘つかないタイプだけど
「りうらくんね、ねぇりうらくんアタシといっしょにここに住まない?」
「お金とかはりうらくんに頑張ってもらうしかなくなるけど、家に帰ったら可愛い女の子がおかえりって迎えてくれてお金さえくれれば料理もしてあげられるし、洗濯だって無償でしてあげられるよ」
今度こそ優しく、なにか気に食わないことがあったら癇癪起こしてしまうアタシとはもうおさらばするって決めたんだから。優しく出迎えてりうらくんが頑張ってくれればこっちだってそれなりのお返しをしてあげる。等価交換ってやつ。
「…帰ってもいいですか」
「だーめ、お願い。アタシ生活に困ってるの。」
「ね?人助けだと思ってさ」
さっきの男みたいに泣いて縋り付いたり、なんてはしないけどすこーしだけ可哀想な子犬に見えるように仕向けてみる。…ほら優しい優しいりうらくんは助けようかすごい葛藤してるお顔。
「…大丈夫、家事はしっかりやるよ。生きるのが下手っぴなアタシだから人間関係があまりうまくいかないことだらけなだけ。」
そうぽつりと呟くアタシの声を自分でも聞いたことなく、びっくりなくらい寂しくて、悲しそうな声をしていた。
続く