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「今日はお父さんの誕生日プレゼントを買いにきたんだよ。先に紳士服売り場に行ったから……。ねえ、良かったら、姉さんも何か買って一緒にお祝いしない? 久しぶりにみんなでケーキを食べて……」
「そんなのいいわよ。家族ごっこなんて面倒だわ。今さら私がお祝いしたってパパは喜ばないし」
「そんなことないよ。お父さん、涼香姉さんがなかなか帰らないから心配してるんだよ。だから、私のところに来るより、お父さんに会いにいってあげて。もちろん、お母さんだって喜ぶから」
「だから、そういうのはいらないから。それより琴音、龍聖さんの会社はどこにあるの? 役職はまだ無いのかしら?」
家族の話をスルーして、興味津々に聞いてくる。
「ちょっと待って。龍聖君は涼香姉さんより年下だよ? まさかまた会社に挨拶に行くとか言わないよね?」
もうあんな恥ずかしいことは絶対に止めてほしい。
「さあ、どうかしら? それにしても、あんな長身のイケメンが琴音の友人だなんて驚きね。スーツがすごく似合ってた。あのスーツ、品があったし、間違いなくハイブランドよ。履いてた靴もきっとそうだわ。ちょっと待って」
おもむろに制服のスカートから携帯を取り出し、何かを調べ始めた。
まさか――
「何してるの?」
「黙って」
しばらくして何かを見つけたように目が輝いた。
「嘘! やだ、本当? 鳳条 龍聖って、あの鳳条グループの一人息子なの!?」
バレたと思うと胸が痛くなった。
龍聖君は有名過ぎて、ネットの情報で見つけ出されてしまった。あまりにも便利になり過ぎた世の中をちょっとだけ恨みたくなる。
「涼香姉さん、声が大きいよ。みんな見てるよ」
「琴音、こんなすごい情報、なぜ黙ってたの? 隠すなんてひどくない?」
音量は下がらず、私の忠告は完全に無視された。
「な、なぜって……」