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泡沫
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紫倉 紫
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아 오 _ 🐷🐶
土曜日、彩花がいつも通り早朝に来た。時間の都合上、まず朝一に深く愛し合い、お互いを確かめあった後で一緒にシャワーを浴びる。そして一緒に朝食を取ってから二人でお弁当を作り、ダンジョンへお出かけして十五層まで潜り込む、というサイクルで今日も進む。
「で、今の所ケンタウロス装備は籠手だけなのよね」
「うん、前に出たやつをそのまま残してあるからそれだけ。今日何回か倒してみて、何が出るかが気になるところだな」
朝食のバタートーストとちょっとした野菜、そして野菜に添えられたマッシュポテトの粉と茹でたマカロニをマヨで和えたサラダを食べながら今日の探索の相談をする。
「そういえば彩花もそろそろ親に扶養家族から抜けてると言っておかないと、色々まずいんじゃないか? 直接顔を合わせて会いに行けとまでは言わないけど、夏休みまでにその相談だけしていて、夏休みに帰った時にちゃんと説明しておかないとな」
「一応伝えてはいるわよ? でも信じてないから、口座の中身を見せてそれで稼いでるからって納得させるつもりではあるわ。多分現物を見ても……というか、会わない間にレベルが上がってるから娘だと認識されないかもしれない。どうしよう? 家に帰ったらあなた誰? とか言われないかしら」
「俺の爺ちゃんの場合は普通に通じたから大丈夫だとは思うぞ。流石に派手に整形したわけでもないのに娘を見分けられない親は……とくに母親はいないと思う」
「ならいいんだけど。でも、どちら様? って言わせるぐらい美人になったって思われるのも悪くはないわね」
「そんな美人と食事してる俺は幸せ者だなあ。ああ、今日もご飯が美味しい美味しい」
「ちょっと投げやりな食事をとるのはやめてほしいわね。ちゃんと味わってほしいわ」
「はいはい、朝から夫婦漫才ご馳走様」
アカネが諦めた顔をしながら、今日の朝食の少ない神力……これは省力で作った朝ごはんだからだろうが、それを吸い上げると、俺の部屋に戻っていった。
ああだのこうだの言いつつも、無事に食事は終わって昼食作りに入る。食材は最近はパスタ以外にも色々仕入れているし、今日は朝のうちに炊飯しておいてほしいと彩花に言われているのでご飯も炊けている。
「しかし、こうなるとマジックバッグ的なものが欲しくなるな。存在しないんだろうか」
「まじっくばっぐ? 」
「この手の読み物ではよくある奴だ。バッグの中身の空間が拡張されていて、重さや軽さに変化が無いようにされていて、口から入る物なら規定量まで、例えば一トンなら一トンまでの物は何でも入る……みたいなやつ。それがあれば重さを感じることもないまま、背中の軽い戦闘ができるし荷物の量に心配することがない夢のアイテムだ」
「ああ、四次元ポケットね」
「……そう説明すれば早かったな。まあ、あったとしても超高級品か、存在を隠匿させられるのが関の山だろうな。そんなものがあったら万引きも密輸もし放題だ。でもパスタを入れておけるのは便利でいいかもしれないな」
「パスタから離れなさいよ。毎食学食でもやっていける御身分なんだから」
彩花に注意されるが、最近はパスタも週3ぐらいまで落ち着いているんだぞ。週21食パスタだった過渡期に比べればなんということはない。
そんな彩花と今日は二人でお弁当を作って十五層参りだ。十五層へ到着したら早速お弁当を食べた後、ケンタウロスの素材集めとマジックミサイルのスキルスクロール集めに奔走することになる。ほどほどの時間になるか、荷物が一杯になったら帰る予定ではあるが、そこまで出にくい装備であるかどうかは実際に通ってみないとわからないところだ。
でも、そんなにお高い装備ではなかったので、各部位とスキルスクロールが同じ値段ぐらいだったことを考えるとそこそこ落ちるのかもしれないな。まあ、リアルラックに期待していこう。
弁当を作る彩花はなんだか楽しそうだな。デートとしては血なまぐさい……実際は黒い霧に変化するだけだから血なまぐささは感じないのだが、そんな環境に女子大生らしさを前面に押し出した映える昼食でも作っているんだろうか。俺も手伝う部分は手伝うが、残念ながら二人で並んで同時に調理ができるほどこの部屋は広くない。手伝えることは手伝って、後は彩花にお任せだ。
さて、スマホの充電も済ませたし、後は……機嫌良さそうな彩花でも録画しておくか。カメラを構えて彩花が調理する様子をじっと見守る。
すると、彩花のサービスなのかどうかは分からないが、スカートのすそをちらりとまくり上げてアピールをし始めた。これでは他人に見せられない動画が出来てしまうだけではないか。それとも、一人寂しい時はこれを見て我慢するか発散しろ、ということなのだろうか。
いけなくはない……いや、むしろその見えている部分の柔らかさなんかを知ってる分だけ逆に燃え上がるというか……いかん、さっきスッキリしたばっかりなのにもうムラムラしてきた。タイミングが悪かったな。これも彩花が悪い、彩花が下着をちらつかせなんてしなければこんな気分にはならなかったはず。帰りにも一回愛し合おう。それがいい。
しばらく待つと二人分の弁当が出来たらしく、それぞれのバッグに詰め込むと、装備に着替えて早速潜り込む。
「あ、待って私も行くわ。十六層以降を作る準備をしておかないとね」
今日はアカネも来るらしい。でも、前に十三層は通りたくないって言ってなかったっけ。その前にワープして逃げるつもりかな?
「ちなみに十三層は通らないわよ。その前に十五層に直接ワープして次を作るわ」
「そうか、武器の試運転も終わってるから見せ場はないぞ? 」
「一応、十五層と十六層以降の接続点の確認はしておかないといけないからね。後はまあ、下準備はしておかないといけないわね。できるだけ大学ダンジョンと同じ構造がいいと思うから、十六層以降は大学ダンジョンの基準にしていこうと思うわ」
十五層までは駅前ダンジョンが参考になっていて、十六層以降は大学ダンジョンが参考になるというちぐはぐなダンジョンになるが、まあいいか。困るわけではないし、後三年半は大学ダンジョンでお世話になるんだし、その間に拡張される分については大学ダンジョン参考で行けるはずだ。
そのまま十層でアカネと別れると、シャドウウルフの試し切りをしながら奥へ向かう。
「もうその刀に慣れた感じ? 」
「【剣術】のおかげかな。なんだかんだレベル20近くになっているし、よほど変な形や重量バランスをしてなければ体に馴染んでくれている。便利でいいな、やっぱり基礎はおろそかにしてはいけない」
「私も【剣術】のおかげで新しい剣に体が馴染んでいるのかしら……? だとしたら2、30万円分の価値はあったってことね」
「彩花は14ぐらいまでは覚えたんだったか……? 俺は確か16までは覚えたから……実質60万の刀ってことになるのか。まあ、探索の報酬をそのまま経費に替えてスキルを覚えたから問題がないっちゃないんだが」
十一層のホブゴブリンももう慣れたもの。スピード差がありすぎる相手に手間取ることもなく、それぞれお互いに一対一で戦っても余裕をもって戦い終えることができる。今のところ問題になるのは十三層のうるささとサラマンダーの蒸し暑さぐらいか。強くなったもんだなあ。
十二層に入り、スケルトンメイジ達から行きがけの駄賃に三枚ほどスキルスクロールを受け取ると、そのまま十三層へ行く。今日はうるささを抑えるために、耳栓を用意してきた。その代わり彩花とのコミュニケーションに問題が発生するといけないので、できるだけ周囲には気を配りながら近い音が発生したらできるだけ早めに対処する、ということを心がけて探索を続ける。
やはり、耳栓があってもうるさいものは仕方がないが、多少頭痛みたいなものがマシになった分だけ耳栓の効果はあったな。100円ショップで売ってるイヤホンカバーだけのものを耳に差し込んだだけだったが、それだけでも音量の低下は可能らしい。これなら100円イヤホンを耳からぶら下げておくだけでも効果はあったかな。また次回何か考えることにしよう。
さて、十四層、ここからちょっとモンスターが硬くなるところ。というか、面倒くさい意味では十三層よりも面倒くさい。トレントの攻撃手段である蔓を切り払っても再生してまた伸ばしてくるため、確実に倒せる雷魔法か火魔法で焼くか、マジックミサイルで物理的につぶすか、切り刻みに行くかと、いくつか選択肢が取れるのが救いか。
とにかく、三本ほどある蔓が巻き取って持ち上げようとしたり鞭のようにしなりながら襲ってきたり、それぞれの攻撃方法で向かってくるのでこっちとしては攻撃方法は一つに統一してほしいと願いたいところだが、それはさておき、もう少しで十五層だ、ここで気合を入れて抜けて、十五層のケンタウロスを一回倒したらご飯にしよう。
それまでにはこのトレントエリアを抜けなければ、昼食が遅くなってしまう。朝割と早くから来ていたが、イチャイチャしていたのと昼食作りで結構時間を使ったからな。そろそろお腹も空いてくるころだし、これもトレントが中途半端に硬いから悪いのだ。
そう思い、全力で斬りに行く。新しい烏丸はやすやすとトレントの蔓を斬り裂き、そのままの勢いでトレントの胴体に刺さり、そのまま横に切り裂くように抜き放つ。切り口と同じ形で黒い霧がトレントからあふれはじめ、トレントはしばらくして黒い霧を吐き切ると消滅した。後には……魔石と樹液。ここで樹液が出たのは美味しいな。
「樹液が出るのは美味しいけど、できれば帰りにまとめて出てほしかったなあ」
「贅沢言わないの。樹液のかかった甘いパンケーキを楽しめないことに比べれば数十倍マシよ」
「じゃあ、はい。お持ち帰りで」
そのまま樹液は彩花が持ち帰ることになった。これで俺の荷物が少しだけ軽くなったな。後はケンタウロス戦の後のお弁当で更に軽くして、昼からの周回行動をしっかりやっていこう。ケンタウロスはまだ落としたことはないが、馬肉も落とすらしいからな。数が落ちれば今夜は焼肉パーティーと行こう。楽しみだな。
コメント
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土曜の朝のイチャイチャから弁当、ダンジョン探索まで、すっかり二人の日常になっていてほっこりします。ケンタウロス装備集めに樹液の収穫、そして今夜の焼肉パーティー予告も美味しそうでした。アカネの十六層以降の設計や耳栓アイデアなど、世界の仕組みが少しずつ広がっていくのも楽しいですね。次は何が出るかな。