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鷹槻れん

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#シングルマザー
水羽凛
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鷹槻れん

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#御曹司
鷹槻れん

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少し前までは、同じ会社にいるのに姿を見かけても気軽に声を掛けることすら出来なかったのだ。
それが今日からは、仕事という大義名分のもと、堂々と晴永のそばにいられる。
そう思っていたからか、つい晴永の横顔をじっと見つめてしまっていたらしい。
「……なんだよ」
「えっ?」
突然声を掛けられて、瑠璃香は目を瞬いた。
「いや。さっきから俺の顔見てるから」
「み、見てませんっ」
「見てただろ」
「見てません!」
反射的に言い返してから、ハッとする。
晴永も同じだったらしい。
二人はほぼ同時に周囲を見回した。
幸い、近くにこちらを気にしている人はいない。
「……危ねぇな」
晴永が声を潜める。
「……はい」
瑠璃香もこくこくと頷いた。
昨日までは同じフロアにいても、こうして晴永と言葉を交わす機会自体がそれほど多くなかった。
けれど、今日からは違う。
一緒にいる時間が増えるということは、それだけ気を抜きそうになる機会も増えるということだ。
(これから毎日、こんな感じなのかな……)
嬉しいけれど、少し困る。
何しろ目の前にいるのは、夜になれば電話越しに甘い言葉と低音イケボで瑠璃香を蕩けさせてくる恋人なのだ。
それが、会社に来た途端、何食わぬ顔で〝新沼社長補佐〟として見ろという方が、無理がある気もする。
とはいえ、会社ではそう割り切るしかないわけで――。気を緩めるわけにはいかない、と改めて痛感した瑠璃香である。
藤井田令嬢との婚約解消を公表したばかりの晴永と、その直後に彼の専属秘書となった自分。
瑠璃香と晴永の関係を知る人間がごくわずかである以上、余計な憶測を招くような振る舞いだけは絶対に避けたかった。
そのために今、自分たちは同じ家で暮らすことすら出来なくなっているのだから。
「小笹さん」
不意に後ろから名前を呼ばれ、瑠璃香はビクリと肩を揺らした。
振り返ると、藤代有馬がこちらへ歩いてくるところだった。
「おはようございます、藤代さん」
「おはようございます。――新沼社長補佐も」
「あ。ああ、おはよう」
「ちょうどよかったです。小笹さん、今日から改めて、新沼社長補佐のサポートをよろしくお願いしますね」
「はい!」
背筋を伸ばす瑠璃香に、藤代がいつもの穏やかな笑みを浮かべる。
「研修中にもお伝えしましたが、当面は新沼社長補佐のスケジュール管理を中心に、会議資料の準備、来客対応、各部署との連絡調整などをお願いします」
「はい」
「もちろん、最初からすべて一人でこなそうと意気込む必要はありません。私もおりますし、秘書課の皆もフォローします。分からないことや判断に迷うことがあれば、遠慮なく聞いてください」
「ありがとうございます」
研修中にも何度も言ってもらった言葉だけれど、改めてそう言われると少しだけ肩の力が抜けた。
「それと――」
藤代が晴永へ視線を向ける。
「新沼社長補佐も、小笹さんが慣れるまではあまり無茶な要求をなさらないように」
「俺がいつ無茶な要求したんだよ」
「さあ?」
「おい」
しれっと返す藤代に、瑠璃香は思わず吹き出しそうになった。
けれど、ここで笑っていいものか迷い、慌てて口元を引き締める。
「……小笹さんも笑っていいところだからな、今の」
「えっ。い、いえ、私は何も」
「絶対笑いそうになってただろ」
「なってません」
「なってた」
「なってませんってば」
「お二人とも」
藤代の声に、二人は同時に口を閉じた。
コメント
2件
ん?AIの寺島さん? 「笑っていい」のセリフははるながさんじゃないかな?
読み終わりました! お互い見てるのバレバレなのに「見てません」って言い合うの、もうラブラブすぎてにやけました😂 しかも藤代さんが「笑っていいところだからな」ってフォロー入れてくれるの、良い秘書課の空気だなあと。思わず笑いそうになる瑠璃香さんの気持ち、すごく分かります。会社での秘密の関係、これからどうなるのか楽しみに読んでますね🌷