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引っ越し先は、部屋が二つ。
俺と涼ちゃんの分だ。
その間に、キッチンが付いたリビングがある。
リビングを抜けた先に、水廻り。
トイレやらお風呂やら洗面所やら…。
一階はだだっ広いフロア。
「フェーズ2に向けて、二人にはダンスも覚えてもらおうと思います!」
そんな訳で、レッスンフロア。
ダンス以外にも、元貴はやらせたい事があるみたいだけど、それは追々と言う事で。
今、お互いの部屋の前には荷物が積み上がっている。
それ以外にも…。
「なぁ、洗濯機って二台もいらなくね?」
「だよねぇ。一台処分かなぁ。」
『かなぁ』じゃなくて、処分だよ。
「冷蔵庫は一台なのは?」
「僕、処分しちゃったから。古かったし。」
俺ので二人分入るんだろうか。
「あ、食器は?」
「とりあえず、そのまま段ボールでリビング置いとけば?」
ソファやテーブルも二つあるのは、ご愛嬌。
それもリビングにまとめて置いておく。
とりあえず、自分の部屋を片付けなきゃ、今夜寝る所すらない。
天気のいい内に洗濯もしたい。
楽器類は元貴が預かってくれてるのが、救い。
「…こんなモンかな。」
段ボールを潰しながら、部屋を眺める。
荷物が少ないのもあって、割とすぐ片付いた。
残ってた洗濯物を抱えて、部屋を出る。
「…やっぱり。」
向かいの部屋の段ボールは、減る気配がない。
こうなる予感は、してた。
「片付け…」
遠慮なく開けたドアの向こう。
服の山に囲まれたソイツはへらっと笑った。
「これ、どうしたらいいと思う?」
「しまうの?洗濯?」
「んー、どっちだっけ?」
「お前以外に分かるかぁー!」
もう嫌だ、この同居生活。
まだ初日なのに。
「もういっそ、全部洗濯しちゃえ。」
そんなこんなで、外には洗濯物が並んでいる。
初日なのに、山のような。
「これ、いるの⁈いらないの⁈」
「いるぅー!捨てないでー!」
なんで俺が手伝ってんだよ。
てか、ゴミは処分してこいよ。
冷蔵庫は処分出来たのに、他はなんでしてこないんだよ。
「この段ボールは?」
「あ、それは開けなくていいよ。そのまま仕舞うから。」
一つだけ、黄色のガムテープが貼られた段ボール。
涼ちゃんはそれを大事そうに抱えて、クローゼットの一番下に仕舞った。
「何が入ってんの?」
「僕のね、大事。」
ふふっと笑った顔は、少し寂しそうで…。
「これは⁈」
視線を逸らした俺は、別の段ボールに挑む。
「多分…ゲーム?」
「中身くらい書いとけー!」
とりあえず、べりべりと剥がすガムテープに、訳の分からない八つ当たりをしておいた。
「終わった…。」
「終わったねぇ、ありがとう。」
二人分の片付けで疲労困憊。
涼ちゃんはあれだ、片付けが絶望的にヘタだ。
どうして、そこに、それがあるんだ、ってのが山のようにあった。
服の山から食器は出てこないと思う、普通。
「もうこんな時間だね、洗濯、乾いたかな?」
「乾いてなかったら、一階に干しとこう。」
「晩ごはんは?」
「もうどっか食べに行こうぜ。」
作るの、面倒い。
今日くらいは勘弁して。
「じゃあ、お礼も兼ねて、僕が奢るね!」