それから数日後、
すまない先生は灰色の髪を高めにひとつに結び、ゆらゆら揺らす。
そして、まだ真新しいドアの前に立つ。
ゆっくり息を深く吸い、そして、吐く。
ドアに手を伸ばし、ドアを開けた。
「おはよう!すまない!」
✵✵✵✵✵
あの後、すまない先生は自分が元々いたところを買い、銀さん達によって綺麗に整備され、真新しい建物へと変わった。
何故“学校風”にしたのか、銀さん達にも分からなかった。
けれど、すまない先生も銀さん達も変えることはしなかった。
✵✵✵✵✵
「おはようございます!すまない先生!」
みんなの挨拶にすまない先生は一瞬違う映像が浮かぶ。
自分は教壇に立ち、目の前には生徒が。
すまない先生はゆっくり頭を振りかぶり、目の前の“銀さん”達を真っ直ぐ見つめた。
「──さぁ、今日の授業は・・・──」
何千、何万年も1人で生きていた“英雄”は例えまたみんなが居なくなっても、また世界が滅びと再生を繰り返しても、また、自分が過去の自分と同じように記憶を自らの手で消し去ろうとも、今、この一瞬だけは大切にしたいと思った。
いつか来る“世界の終わり”まで。いつか来る“本当の死”まで。すまない先生は生き続ける。どんなに辛く、苦しくても、また“生徒”達と再会出来ると信じて、すまない先生は今日を生きるのであった。