テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
1件

すち視点
義兄ができた。それもまた無愛想な。
でもどうでもいい。弟たちを守れたら俺はそれでいい。でも、どうしても引っかかる。
朝ごはんを初めて見るような、少年のような顔をしていた彼は顔や腕に怪我をしていた。
昨日はなかったケガだ。多分義父がやったのだろうと経験から悟るが、それにしても多い。
もしかしたら、彼は悪い人ではないかもしれない。そんなことが頭をよぎる。なぜなら、あんな罪悪感をもろ出しにして朝食をたべないと言った彼が忘れられないからだ。
みこと「すちにぃ?」
すち「ああ、ごめんごめん。ご飯にしよっか」
みこと「うん!!」
まぁとにかく切り替えないと。俺はひとりじゃないから。
らん視点
朝食は食べると吐くからいつも食べない。というか、食べるという動きがめんどうだからやらない。
早々に支度を済ませ、学校に向かった。特にやることもないけど家にいるよりはマシだ。
そういえば、学校が新しくなるけど場所は大丈夫なのだろうか。置いてった俺が言えることじゃないけど。
まあ何とかなるだろ。そう思って学校についた。
学校について、席に着いた。やることもないので外を眺めているとクラスメイトが騒ぎだす。
女子1「ねぇ、桃瀬くんなんかまた怪我増えてない?」
女子2「ほんとだ。やっぱ喧嘩とかしてるって噂ほんとなんだね。」
女子1「まじ関わりたくないんだけど。」
女子2「聞こえるってば笑笑」
十分きこえてるつーの。まあこのように俺は嫌われている。訂正も面倒だからこのままいつも過ごしている。
高校に入ってからいじめはない。いじめをしたところでって感じだな。
俺は反応がないから面白くないらしい。じゃあ、やるなよって感じだけど。
だって、時間の無駄だし汚れるし良いこと何も無いから。
そんなことを考えてると先生に呼び出された。
先生「桃瀬、ちょっとこい。」
らん「はい」
先生の後に続くとひとつの空き教室に着いた。
そこには義弟がいた。
忘れていたが、ここは小中高一貫校。義弟全員がいても不思議じゃない。
だが、わざわざ会うほど暇では無い。
らん「なんの用すか」
先生「そう、急かすな」
関わりたくないと思った途端にこれだ。本当に厄介だ。
先生「お前義兄なんだろ?学校案内とか任せたぞ。どうせお前、授業いないんだから。」
らん「っ」
うるさい。ほんとにうるさい。俺のせいで受けてない訳じゃないのに。
いるま「お前に教えてもらうことはない。」
らん「・・・・」
生意気だな。いかにも兄弟しか素を出せないタイプだな。
らん「お前らが聞きたくないことはわかった。でもこれは先生に頼まれたことだからな。お前らの意思は関係ない」
そう、言い放つともう何も言わなかった。それが一番いい。楽だから。
一通り話終わったあと、各自の教室に向かった。俺もそそくさと向かい、その日の授業を終えた。
今から殴られると思うと本当に足が動かない。でも行かなきゃもっと殴られる。
面倒だと思いながら帰っていた。家に着くと、見慣れた靴がバラバラに置いてあった。いや投げ捨ててあった。
俺は、息を飲み、リビングへ向かった。
やっぱりそこには、父がいた。ソファを大の字で何とも怠惰な姿でテレビを見ていた。
機嫌がいいのだろう。機嫌がいい日は殴られない。そう確信した。
ところが、リビングに入ったところで父は口を開いた。
父「おい、今日は気分がいい。殴らせろ」
らん「は、?」
なぜいいなら殴るんだよ。サンドバッグの意味分かってんの??
困惑といらだちが混ざり頭でぐるぐると考えていると、間髪入れずに殴ってきた。
待つなんて言葉は父にはないからだ。
らん「ぐっっ」
父「なんだ?その反抗的な態度。まだ分かってねぇんだな。立場がよお”」
らん「い”っ」
人間ってほんとに痛い時、痛いなんて言えないんだな。そんなしょうもないことを思った。
今何を言ったって無駄なことは知ってる。だから少しでも逃げようと思った。痛いことから。
古傷は何度も殴られてるからあんまり感覚はない。でもそれ以上に殴られている事実がきつい。
耐えれない訳では無いが、疲れる。すごく。
30分ぐらい殴られた時、玄関から音がした。
あの兄弟が帰ってきたのだ。なんとタイミングの悪いことだ。
父「あ?ああ、帰ってきたのか。」
心做しか笑っている気がする。新しいサンドバッグを喜んでいるのだろう。
何ともクズな事だ。暴力に縋らないと生きていけないのだ。
いるま「ただい、ま?」
驚いた顔で紫髪のやつが言った。それはそうだろう。今の俺の顔は醜い。血だらけで傷だからけ。そして、しつこく殴られているのだから。
父「おかえり、みんな。ニコ こっち来てくれるかい?」
俺の服を掴みながら気持ちの悪い声を出しながら言った。
いるま「っ・・・・」
父「早く来いや!!!」
あーあ。短気はこれだから困る。すぐにキレる。すぐに力が強まる。
こさめ「何が起こってるの、、?」
いるま「来るな!!!!」
緊迫した状況で、ひたすらに弟を守る姿は素直にかっこいいなと思った。
でもやっぱり待てない父は紫髪を殴りにいった。
父「なんで言うことが聞けないんだよっ!!」
いるま(もう無理だっっ)
俺の力はもうとっくのとうに尽きたはずなのに。関わらたくないはずなのに。なんでだろう。分からないのに体は動いた。
ああ、でもひとつだけ。紫髪のやつと俺が重なって見えたことは理解ができた。
ボコっ
いるま視点
帰ってそうそう、怒鳴り声が聞こえた。何かあると思い、そうっと行ったつもりだった。
でもリビングが空いていたから見てしまったんだ。
あの義兄が殴られているところを。
咄嗟の判断で見に行きそうなこさめを止めて、すちと一緒に上にあがらせた。
こさめに謝らないとな、と思いながらも今は目の前の状況で手がいっぱいだった。
すると、間髪入れずに殴りかかってきた。ああ、義父はこんな人だったのか。なぜいつも当たりが悪いのか。
そう思いながらも怖くて目をつぶってしまった。殴られる怖さは知ってるから。
いるま「痛く、ない?」
殴られると思って頭を腕で覆い被せたのに、そこに痛みはなかった。
あんなに覚悟をしたのに、全く痛くなかった。大の大人がそんな力が弱い訳じゃない。
そんなことは知っている。でも、ではなぜか。
答えは簡単だった。義兄が、俺にかぶさっていたからだった。