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(あれ?話した通りに動いてない。)
(何してんの?)
扉を少しだけ開けて、中を覗く。中には、白髪に深い青色の目をした男と赤髪に黒メッシュを入れた赤色の目の男が立っていた。
思わず、体勢を変えると床がミシッと立て、白髪の男が後ろを見ると扉の隙間に短剣を投げる。
「誰かいるの?盗み見るのはよくないんだけどなぁ〜。」
(危ない…!!もうすぐで目が刺されるところだった。)
(し、仕方ない。)
扉をゆっくり開ける。
「返して。」
「ふふっ。それは無理やなぁ、あんたがついて来てくれるんやったら返したる。…多分。」
「約束して。」
「…分かった分かった。神にも悪魔にも閻魔様にも誓うから。」
「ミリー!ダメだ!」
「ちょっとぉ〜黙っててくれるか?」
笑顔でヒューゴのお腹を殴る。
「ゔぐっ!?」
「……。」
(暗くなって。)
ミリーが両手を組み、目を瞑って唱えると周りが急に暗くなった。
「は!?おい、魔力弱いんじゃないの!?」
「…なるほど。あの情報は嘘やったか。ただ、魔力が弱いってだけやから一応魔法は使えるやろうけど……いうてそんなに発動時間は長くないやろ。」
「はぁ……。はいはい。」
パリンッ!!
「ミリー、ありがとう!」
「黙ってて、バレる。」
破壊魔法で窓を割り、ヒューゴと共にその場を去った。
「クソ…!あー…またかよ!」
「キレててもしゃーないやろ…。また追いかけるしかないやろ!」
「念の為……。」
ミリーは、心の中で唱えると爆音と共に宿屋が破壊されたのだ。
「…これも魔法か?すげぇや…。」
「うん。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夜明けの駅
2人は、人気がない古い駅に来ていた。
「なぁ…ミリー。どこに行くんだよ…駅なんか来て。」
ぐーっと背伸びをしながら、ミリーに聞く。
「逃げるため。」
ミリーはそう言ってキョロキョロと周りを見渡した。
「何してるんだ?」
「駅員さん居ない…切符の買い方分からないし。」
ヒューゴもミリーと同じように周りを見渡すと、窓口のようなものが見えた。そこには、中年ぐらいの男性が新聞紙を見ながら座って居たのだ。
ヒューゴはミリーの肩をトントンする。
「ミリー。あそこの窓口に人が居たから聞いて来る。お前はここで待っておけ。」
「私も切符買える…。」
「そうじゃないだろ。お前は今、あの組織から命を狙われてるんだ。」
そう耳打ちをされて、ヒューゴは窓口へと行ってしまった。
(そうだ…私。命狙われてるんだ。)
ギュッと頭のフードで顔を隠す。
コツコツ
「おじさん!おはよう。ここから遠い街に行きたいんだ。切符二枚あるか?」
窓口の男性は、ヒューゴを睨みバサっと新聞を置く。
「二枚あるよ。」
切符をバン!と出され、片手を前に出される。
(まずい…急いで出てきたせいでお金持ってないんだった。)
ポケットを両手で叩いて、焦っていると…
「まいど〜。」
顔を上げると、男性の手にはお金が置かれていた。
(ミリー…!)
ミリーの方をチラッと向くと、彼女はそっぽを向いてしまった。
「あ。そうだ、 兄ちゃんこの新聞捨てておいてよ。近くにゴミ箱あるでしょ?」
新聞紙を渡され、早く行けと言わんばかりにシッシッと手を払われる。
「分かった!ありがとう!」
新聞紙をゴミ箱に捨てようとすると、ふとある文が目に入った。
〜スズラン村村人殺害事件〜
⚪︎月⚪︎日にスズラン村に住んでいた魔法使い一家が暴走し、村人達を何十人も殺害させる事件が起きました。これまでにも魔法使い(魔女)は、数多くの犠牲者を出してきました。そして、現在魔女狩り部隊が今回の事件の生き残りの魔女を確保・調査に全力を尽くしております。
その文章の下にミリーの名前と顔写真が大きく書かれていた。
「そんなの全部嘘だろ!」
咄嗟に出た声に慌てて口を押さえる。