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kn→「」kz→『』
最近の叶は、忙しそうだった。
コラボ、企画、イベント準備――そのどれもに全力で、いつも楽しそうで。
でもそこに、葛葉の居場所はなかった。
配信の合間にふと見かけた切り抜きで、葛葉は決定的に“誤解”してしまう。
《叶くん、◯◯ちゃんとの絡み、めっちゃ良かったです!》
《あの距離感、見ててドキドキした〜》
《ふたりの相性ほんとに最高……!》
(……あんなふうに、俺のときには言われねぇ)
(叶も、楽しそうだったな。……俺より)
その夜、叶の家に呼ばれても、葛葉の態度はどこかよそよそしかった。
「ねえ、葛葉。なんかあった?」
『……別に』
「……嘘。目、合わせてくれないし、声もちょっと強い。何かあったなら、ちゃんと話してよ」
しばらく沈黙が続いて、やがて葛葉がぽつりと口を開いた。
『……俺以外のときの方が、楽しそうだった』
叶は一瞬だけきょとんとした後、すぐに悟った。
「……切り抜き、見たんだね?」
『っ……いや、別に、そんなつもりじゃ――』
「ごめん、言わせちゃったね。でも、僕はあの場に葛葉がいたら、絶対そっちを見てた」
葛葉がぎゅっと拳を握る。
『でも……俺、叶の一番に見えなくて、……怖かった』
その言葉に、叶はゆっくりと葛葉に近づき、膝をついて目線を合わせた。
「……葛葉、好きだよ。誰とどんな絡みがあっても、僕が“本気で愛してる”のは葛葉だけだよ」
『……じゃあ、なんであんな楽しそうに……!』
「君が見てたのは“仕事中の僕”だよ。大事なのは、今ここにいる“僕”じゃないの?」
葛葉の目に、じわりと涙が浮かんだ。
『……だって、俺、そんなふうに言ってもらえる自信なかった』
「そんなことない。葛葉は、僕のいちばんだよ」
叶がそっと、葛葉を抱きしめた。
震える肩を、あたたかく包み込むように。
「信じて、って、簡単には言えないけど……これからもちゃんと、何度でも伝えるよ」
『……俺、叶のこと、めちゃくちゃ好きなんだぞ』
「知ってる。でも、もっと教えて?」
ふたりの間にあった勘違いは、
ほんの少しの言葉で、ちゃんと溶けていった。
そしてそれ以上に、強く、深く――想いを確かめ合っていく夜になった。
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てぇてぇΣb( `・ω・´)グッ