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コメント
2件
私、この店員ですわ。2人を見る目が同じすぎる笑 もう、この2人の雰囲気、たまらなく好きです💖 ❤️くんの目に恋が…のところが、特にグッと来ました😍 普段、不思議な雰囲気を纏った謎めいた人が、💛ちゃんに向ける視線だけがシンプルに恋してる眼だなんて、もう最高じゃないですか! それで言うと、カラオケは何年も行けてません🥲そして今は咳が止まらず病院も閉まっていて詰んでます笑 歌いた〜い🎤
とある喫茶店でのお話。
昼時には遅く、間食をするには早い時間に男はやって来た。1人だ。背は男にしては小さく、童顔で20代前半に見える。が、帯びた雰囲気が軽く100年は生きているような、そんな近寄り難い感じで。
男は店の奥の死角になるテーブル席に腰掛ける。生憎店内にはその男と店員の2人だけ。あまり関わりたくないと思いつつ渋々店員が水を持ちメニューを聞く。長い襟足と片方に寄せた前髪は今話題のあの人を彷彿とさせた。すると男はちらりと店員を見てアイスコーヒー2つで、とだけ呟く。誰か来るのだろうか。店員が引っ込むと持っていた鞄からノートパソコンを取り出しイヤホンを付けて作業を始めた。ときたま、アイスコーヒーに口をつけながら。
彼のコップが残り半分になった時、もう一人男がやってくる。童顔の男より背が高く、タレ目で歳上そうな長髪の男は打って変わって人懐こそうな雰囲気だった。それだからか、店内の空気がふわりと軽くなる。彼も作業を止めて手招きをする。店員は見逃さなかった。童顔の男は特に表情の変化は見えないが、一瞬嬉しさからか目に恋のような色が写ったことに。
タレ目の男が着席すると早速アイスコーヒーをずいと差し出しイヤホンを付けさせた。男は軽く困ったように、でも慣れた風で耳を傾ける。聞き始めてから時に驚き、時に喜びながら数分経ってゆっくりとイヤホンを外した。
「今回はバラードなんだね。でもなんか、重過ぎず鼻歌みたいな雰囲気で身構えなくても聞きやすい。歌詞はやっぱり芯が通ってて凄く素敵。褒め言葉として合ってるか分からないけど元貴らしくて好きだなぁ」
途端に童顔の男の纏う硬い空気が消え去る。声のボリュームは抑えていつつも、静かな店内にはどうしても響き渡る訳で。それが曲の感想なことはじっくり聞き耳を立てなくても分かった。思わず興味深く店員は裏で皿洗いの手を止める。それで?なんで呼び出したのは僕だけなの?とあざとさが全く無く、タレ目の男が重ねた手に顎を乗せる。
「今回は前みたいに涼ちゃんに管楽器のアレンジを作って欲しいのよ。ほら、ここのサビ前とか」
明らかにテンションが上がっている童顔の男。意気揚々と冊子を取りだし机に額がくっつく勢いで所々メモする。その時、どれどれとタレ目の男が覗き込んだから2人の顔の距離が物凄く近くなる。顔を少し上げた男と目が合うと、気がついたタレ目の男が、ばっと顔を赤くして飛び退くように背筋を伸ばした。
それに気付いた童顔の男は、妖艶な笑みを浮かべる。
店員はふと、「両片思い」なんて甘酸っぱく片付けられない程複雑なものの、彼らの関係にそれに似たものを感じた。きっと、どちらも簡単に思いを伝えられるような状況に置かれていないんだろう。
だから、たまに会う二人の時間でお互いはっきり言わずとも確かめ合う。決して、踏み入らないまま。
店員は、名前も知らない青年たちが少し切なくなった。2人とも、本当に幸せそうな表情をしていたから。
「すいませーん、注文良いですか」
柔らかい声で呼び出される。タレ目の男はオリジナルパフェを、童顔の男はパンケーキと追加のアイスコーヒーを頼んだ。
店員は少しトッピングをオマケしよう。彼らの思いが通じ合う事に何ら意味がなくても。そう、裏に引っ込みながら考える。
2人の笑い声が、いつまでも耳に響いていた。
◻︎◻︎◻︎
読んで下さりありがとうございます!
またも寄り道をしてしまいました。申し訳ないです。
それで言うと、今後3、4日ほど私用で作品を上げられません。コメントして頂いてもしばらく返信できませんが感想はお待ちしています。ご理解頂ればと思います。
関係ないですが先日カラオケでダーリンで91点取れました。歌うの苦手なので嬉しいです笑皆さんは良く何を歌いますか?
次も是非読んで頂けると嬉しいです。