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彩寧さんは街なかの広い公園に僕を連れて行った。広い公園というより小さな森。僕らは森の中を歩きながら話を続けた。気兼ねなく話ができるように、彩寧さんは人があまりいない方へと歩を進めていく。
僕は彼女とのこれまでの交際について話し、彩寧さんは僕の話に驚き、私と交際しないとしても彼女とは別れた方がいいと真顔でアドバイスした。彩寧さんが印象深い話をしてくれた。映山紅さんの僕に対する振る舞いは葛城陸に対する復讐だったのではないか、と。
「陸たちに好き放題にされたのがよほど悔しかったんじゃないかな。でもあいつらに復讐する勇気はないから、夏梅君に好き放題することで憂さ晴らししたんだと思うよ」
「そうだとしたら許せないな」
「私は夏梅君を絶対に傷つけない。傷ついた君を照らす星になりたい」
彼女が僕に優しい言葉を全然かけてくれなかったから、僕を気遣う言葉にあふれた彩寧さんとの会話は楽しかった。そして、この言葉がトドメとなって、僕は彩寧さんの恋人になりたいと心の底から願うようになった。ネックは彼女と別れるなら高校を退学させて精神病院に入院させると両親に脅されていること。でもその辺も彩寧さんと二人で説得すればなんとかなるはずだ。