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第1話 強制には勝てない
md side
王都から少し離れた地に1つの小さな家が建っている。これが僕の住んでいる家だ。七大魔術師になる前からこの家にはたまに訪れていたが、今となってはここが僕の家になっている。あまり人が多いところは苦手なので、 この場所は最適な場所といえる。
md
「………よし、こんなもんかな」
今僕は羊皮紙に魔法陣を書いている。これがあれば基本的に誰でも使用できる。もちろん発動には魔力を込める必要はあるが、極力最小限に留められるようになっている。今は特に仕事などもないので自分の好きな事に時間を費やせるこのひとときが最高だ。
md
「そういや両親から手紙が来てたな…まだ中身見てないや」
資料や本の山ずみの中から小さな手紙を取り出すのは大変だったがなんとか取り出すことができた。さて中身はなんだろうか。
元気にしてますか。どうせ部屋に籠って作業をしていることでしょう。適度に外に出たりして体がなまらないようにしてください。
さて本題です。もうすぐ王都で建国祭が行われますね。貴方は七つの王冠の一員であるので他の方から聞いてるかもしれませんが、王城で行われる式典には必ず出席するのですよ。くれぐれも恥なき行動をとるように。
また侯爵家のミドリ・ヴォル・カルクハイトとしても参加するように。
md
「………………」
そういや来てたな、招集………。よくよく思い返して見れば、次の招集もこの建国祭と同じ日だ。招集は特別な事情さえなければ強制だもんな………。特別な事情を作ろうにも無理だな。ウン。
招集は仕方ないとしても侯爵家としても参加しないといけないのはダルいな…。キラキラした場所苦手だし、人多いし……。まともに会話もできないし。はぁ………。どうせ両親のことだ。僕に結婚相手を探させる気だろうな。少し前にも両親の紹介で婚約者候補に会いに行ったが相手が悪かった。あんなにキラキラしてる子とか苦手だから、せめて落ち着きのある子とか、話を理解できる子とかの方がまだいいのに。これも貴族の役目であるから仕方ないといえば仕方ないのだが、別に必要ないと思ってる。どうしたものか…。
とりあえず僕はクローゼットにしまってあるスーツ等を引っ張りながら、どうしたら目立たずに建国祭を乗り切れるか考えることにした。
そして建国祭の日はやってきた。正直行きたくない気持ちの方が圧倒的に強いが、招集を断れないので怠惰な体を動かして準備することにした。一応式典に参加するのでちゃんとした格好の方がいいと思い、白のワイシャツに茶色のズボンにカーキーのブーツ。あとはその上に自分より一回りくらい大きなフード付きの白ローブを身につける。顔を見られたくないのだ。何人か服装に文句を言いそうな奴を思い浮かべるが強行突破すればいいだろう。とりあえずワープで王城の裏まで飛び、そそくさと王城に入ろう…なんて上手くいくはずがなかった。
「王城に入るために招待状を見せてもらおうか」
普通に兵士に止められた。まぁ当然なのだが。懐から七つの王冠専用の招待状を見せる。すると兵士はその場で敬礼した。
「はっ!七つの王冠の1人、”ガイスト”様ですね!」
「どうぞ中にお入りください!」
急にかしこまった感じでそう言われる。とりあえず軽く兵士に会釈をして王城の中に入る。何回か入ったことはあるが、やはり王城は大きい。マイゴニナリソウ……。
とりあえず僕は指定された招集場所に向かうことにした。
*To Be Continued………*