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な「…なんか、もぅ、無理だ」
夜中の25時、社長室でそう呟く。
理由は分からないけどどうしようも無くしんどくて、心も身体も重くて。
何か弱音を吐かないとやっていけない。そんな感じ。
俺は昔から弱音を吐く事が苦手で、気付けばもう爆発してしまっていた。
自分の中ではまだ平気なのに、まだやりたいのに、ぷつりと何かの糸が切れてしまって身体が動かなくなる感覚。
最近はその頻度が多くてとにかく辛い。
な「…たすけてよ、だれか」
な「助けて」
誰にも届かない声。
無性に言わないといけない気がするのに、誰に言えばいいか分からない。
メンタルが強い、耐久力がある。
その言葉は嘘じゃない。普段はずっとそう。
今の俺がおかしいだけなんだ。
泣きたいのに泣けない。
歌いたいのに歌うと苦しくなる。
仕事も満足に出来ない。
今の俺に何が出来る?何が出来ている?
そう自分に問う日々。
な「俺って何なんだろ、笑」
言いながら薬を飲む。
シーシャや市販薬の大量摂取は俺の支え。
決して楽しい訳じゃない。寧ろ嫌いだ。
だからこそ何も出来ない自分への戒めとして、
最初は5錠だったのが10錠、20錠、30錠…
自分の苦しさに比例するかのように増えていく。
VOISINGで何かあれば勿論全て俺の責任。
他メンバーが傷付くくらいなら俺が傷付けばいい。その考えは活動を始めた初期から今も、ずっと変わっていない。
な「ぃつまで、続くのかなあ、笑」
頭がバカになって、そう自嘲する。
な「かーえろ、笑」
そう言って、会社を出た。
ほ「え!?ねえねえ初兎ちゃん」
初「なんや?どしたん笑」
ほ「あれってないちゃんじゃない!?」
初「え?あれってどれやねん笑笑笑」
ほ「あれだってば!!!!ほら!!あれ!!」
初「んーー???……あれか!ほんまや!」
ほ「話しかけに行こ!!!」
ほ「おーい!!ないちゃーーー……ん、?」
さっきまでノリノリだったいむくんが急に真剣な顔になる。
ないちゃんはいむくんのばかデカい声にも気付かず、ふらふらと歩いている。
初「……、ないちゃん?おーい」
ほ「……………、わあっ!!!」
いむくんがないちゃんの目の前に立って驚かせる。
な「、ぅお、、ぇ、あ………、笑」
な「ぃ、いむしょー、やん…ハァ……笑」
いむくんに気付いたないちゃんは一瞬少しだけ戸惑って、直ぐにそう言って微笑んだ。
暗くて顔色等はあまり分からないけど、きっと体調があまり優れていないのだと理解するまで時間は掛からなかった。
その瞬間いむくんと顔を合わせ、頷く。
初「ない、」
ないちゃん体調悪いん?大丈夫?
と声を掛けようとしたとき、
な「ふ、っ、は、むり、あは、っけほっ」
息苦しそうにしながら急にないちゃんがしゃがんで、膝に顔を埋める。
な「、ぅむり、ふっ、は、ヒューっ、ハッ」
初 「ぇ、え…?ないちゃん?」
今のないちゃんには僕の声もいむくんの声も届いていない。
ほ「…ないちゃん、ないちゃん。」
真剣な声で、苦しそうな呼吸音を出している彼に話しかける。
ほ「ねぇないちゃん、とにかく息吐いてみて」
ほ「大丈夫だから、ね?ゆっくりゆっくり」
普段の彼からは想像も付かないような声と仕草。けれど、彼の背中を摩る手は震えていて。
な「ハッ、ハッ、ひゅーっ、う、ふーっ、は、」
ゆっくり、少しずつ少しずつ呼吸音が正常なものに戻っていくのを僕は眺めていることしか出来なかった。
ほ「上手、上手だよ。大丈夫だからね。」
な「はっ、ハーッ、ふー、ふー、ふは、、」
ほ「ないちゃん、聞こえる?大丈夫?」
な「はぁ…ゲホッ、ぅ、んー…ぅん、ごめん」
大丈夫?という問いに対して、「ごめん」と答えるのには、なにか意味があるのだろうか。
初「…、ここじゃ寒いし、取り敢えずないちゃんのお家にでも行こうか」
初「立てる?ないちゃん」
手を差し出すと、彼が僕の手を繋いでくれる。
君が、気を遣わないように。
君が苦しまないように。
僕らの願い事は、たったそれだけ。