テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「よっしゃ今日は夜までMV撮るぞー」
元貴がいつも以上に気合いを入れてる。
長丁場だからね。俺も頑張らなきゃ。
若井は?ふと気になってチラッと見てみた。
別に、あれから意識してる訳じゃないし、違うし。ほらまだ、分からないから。
「んえっ」
なぜか若井もこっち見てて間抜けな声が出てしまった。
「ふふ…なぁに涼ちゃん」
え、えと、ど、どうしよ。
そんな優しく微笑まないで欲しい。
「あ、え、と…がんばろ、ね」
とんでもなくぎこちなくなってしまった。
元貴はまぁ案の定笑ってる。いや助けてよ。
「あははっ!ほーんと可愛いね涼ちゃん。頑張ろーね」
は、恥ずかしい!!!!多分今俺の顔は真っ赤。若井は凄い嬉しそう。元貴はもう爆笑してる。
「おいイチャイチャすんな!笑」
「ふん、羨ましかろう!」
違う!!してない!!!!!
2人とも嬉しそうにしないで!!!
この恥ずかしさを何とか抑えないと…!
1人であわあわしていたら撮影の合図がかかった。
「大森さんお願いしますー!」
元貴から撮影スタートだった。
はーー、俺からじゃなくて良かった。
たまぁに俺と若井、どっちかからもあるから。
スタッフさんありがとうと心から思う。
「はーいー!
2人ともイチャイチャしてないで俺見とけよちゃんと」
元貴が手をヒラヒラさせながらセットに向かっていく。
だから、イチャイチャしてないよ。
「分かってますよー、ねー涼ちゃん」
若井が俺の顔を覗き込むように言ってくる。
いやだからその顔が照れるんだって。
「うーーー」
もう自分が本当に30代なのか疑問に思ってくる。こんなの自分じゃない。
気持ち切り替えろ。撮影に集中。
頬をメイクが取れない程度に弱く叩く。
「耐える。頑張る。」
いつもの事ながら口に出てた。
若井は口元を抑えてる。
「あーー撫でたい…涼ちゃん可愛い」
若井がボソッと言ったのが聞こえてしまった。
うわーー元貴…!助けて…!
そんな事思っていたら元貴にウインクされた。
今日、心臓もろもろ、持ちそうにない。
「若井さーん!お願いします!」
なんとか元貴の番を耐えて、次は若井の番。
ちょっと安心できるかな。
そんなことを思っていたら若井がはーい!と答えて俺の方を見た。
俺は思わず身構える。
「涼ちゃん、俺の事、見ててね。元貴のこと見ちゃダメ。俺を見て。」
なんでこんな真っ直ぐ俺を見れるの。
照れとか、ないの。
せっかく落ち着いたのにまた真っ赤になりそう。
「わ、分かった」
なんとか返事をして正気を保つ。
満足気に若井はセットに向かった。
でもまぁ見ていたい。若井のこと。
あれ、いつもこんな気持ちで若井を見てたっけ。こんなにも見たいって思ってたっけ。
若井を真っ直ぐ見てたせいで気づかなかったけど隣に戻ってきた元貴が静かに、いつものにやけで俺を見守っていた。
「スタート!」
監督の合図で若井のシーンが始まった。
ど、どうしよう。かっこいい。綺麗。
なんでこんなに彼に惹き込まれるのか。
なぜか目が彼から離せない。離したくない。
「カット!いいんじゃない!」
監督の大きめの声にハッとする。
そんなに時間は経っていないはずなのに。
自分がここまで真剣に誰かを魅入るとは。
少しボーッとしていたら隣から熱い視線を感じたので視線をそちらに移す。
「な、なによ…」
個人シーン撮影が終わった元貴が某青いタヌキちゃんの映画みたく暖かい目で見ている。
「んーーふっふ。これが恋じゃなぁ〜」
何そのキャラ。初めて見たよ。
え、これ恋なの??これが?ほんとに?
「ね、いま、ドキドキする?」
元貴にピンポイントに指摘され思わずピクっとしてしまった。
だって今すごく、ものすごくドキドキしている。
俺の意見を聞く前に更に質問を続ける。
「例えば、今見た若井に撫でられたり、名前を呼ばれたり、手繋いだり。その先、ハッキリ言うとキス、したいと涼ちゃんは思う?」
直球すぎない。俺、キャパオーバーだよ。
でも、もうそうなのかも。
あれだけ分からない、 気持ちなんて所詮は大事なメンバーで、変わらないと思ってたのに。
俺はもう、若井に随分と惹かれている。
緊張で震えている声で元貴に答えた。
「し、したい……若井の事…好きなんだ…俺…」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!