コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ん……」
「!ロゼ、!」
僕は死んだはず。
なのに、どうして?
どうしてここに居る?
どうして王宮で、居られる?
神様は僕が悪魔だから、思うようにさせてくれない。
それにしても、なんでシュヴァリエが?
分からない、
「シュヴァリエ、どうして僕は、生きてるの?」
「オレが悪魔と契約した。」
そう言われ、急いで“在庫”を確認した。
……2人足りない。
一般市民は契約するために“在庫”を使う書類が発行される。
だが、それも含めて、『2人足りない』。
王宮に住まう者だとしても、書類は発行されないが、履歴を登録する“義務”がある。
なのに、僕の記憶では最後の使用者、‘トウヤ’の上には、“シュヴァリエ”の名が1つあるだけ。
それ以上でも以下でもない。
命1つで願い事1つ。
それがどんな奴の命であろうと。
だが、虫や動物などの命は適用されず、“人の命”だけが契約の「命」である。
昔興味があり、父さんに教えてくれた「悪魔の掟」。
それは悪魔の父さんから聞いたので、絶対に間違いは無いはずだ。
父さんは全ての悪魔を支配下に置いているとでも過言では無い、強力な悪魔だった。
だから尚更、間違いは無い。
じゃあ、何故『2人足りない』?
どんな悪魔であろうとも、「悪魔の掟」を破ることはそれ即ち[悪魔であることを絶つ]。
掟は、そういう物だと教えてもらった。
「……どうして、どうして2人足りない?願った物は『ロゼの生還』のはず!!」
「……他に、私用の願い事があっただけだ。」
牢獄は完全に僕の管理下に置かれている。
だが、他人の契約内容を聞くことは厳禁なので、音声は聞こえない。
なので、“本人”から聞くしかないのだ。
「……シュヴァリエ、牢獄から“あいつ”を持ってきて。」
「はい」
ロゼという立ち位置に居るので、王族以外は位が下なのだ。
……権力を乱用したことは、許して欲しい…
史上最悪で最低な罪人。
その名は、『マフユ』。
国民であるにも関わらず、王を殺した。
王だけでなく、その当時のロゼも、使用人も、王宮にいる者全て。
全ては『頼まれたからやった』としか言わず、表情は死んでいて、長い紫の髪を一つに括っている。
挙句、内戦を起こすまでに至った『マフユ』を止めたのは、「カナデ」。
死に至っても、『マフユ』を止めようとして、言葉を投げかけ続けた。
この物語は、代々受け継がれている。
その『マフユ』は、悪魔と契約する“生贄”に捧げられても、何をされても死なないという謎に包まれていた。
「……シュヴァリエ。僕と契約して」
これでも僕は悪魔の端くれ。
人と契約したり位は出来る。
でも、僕の場合は特殊だ。
『交換条件』。
僕は“月に踊らされる一族を捧げられる事で、交換条件として願いを叶えながらも、願いが叶うだろう”。その“月に踊らされる一族”は、僕は『朝比奈家』だと思っている。
『朝比奈家』が愚行を犯すのは、『夜』。
それも、『雲一つない満月の深夜1時』で、『春』。
『マフユ』がやったのも、『春の雲一つない満月の深夜1時』。
『朝比奈家』は『月に踊らされる一族』と言えるだろう。
『マフユ』も、家系の運命で、『月に踊らされる一族』で、あんな事を犯してしまったのだろう。
つまり。
『マフユ』を捧げられ、契約したら。
僕とシュヴァリエの願いが、叶う。
でも、その願いは“一致しないといけない”。
僕の願いは___________
到底、叶うはずも無いのだ。
だから、僕とシュヴァリエの願いは叶わない。
僕が未熟故、叶わない。
だとしても。
僕なりの『シュヴァリエへの告白』を。
かつてない、勝手な告白を。
叶わないなら別にシュヴァリエが傷付くことも無い。
もし。叶えばシュヴァリエも僕も……
こんな勝手なことをするのを、1夜限り許して欲しいな。
𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩♡930