テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#不倫
#離婚
お義父さんは、静かにコーヒーを飲みながら
「私は知らないことだね」
と言った。私は、インターホンを鳴らす時よりも緊張を感じていた。だって、お義父さんは【知らないから知りたい】のか【知らないことはどうでもいい】のか分からない。お義父さんが見つめる私のコーヒーカップに指をかけてそっと持ち上げる。そして
「家中に、カメラも設置されているんです……防犯だと言われていますけど、お料理にこう……注文を付けるみたいなことに使われていたりして……」
言葉を選んで伝えた。得体の知れない人を前に、言葉を選んでしまった。
「聖子は正しい。あの人の言う通りにしていれば間違いない」
「……ぇ……」
―― あの人……
「こんなことを言うのもちょっと……でも……お義母さんは俊介さんのお仕事にも口を出しているみたいで……」
実際には、手を出しているのだけれど。
「任せておけばいい」
「少し……おかしくないですか?」
お義父さんはゆっくりと視線を上げて、私と目を合わせた。
「梓さんは、聖子が今日、どこに行っているか知っているのかな?」
「はい。○○会館だと、メッセージが家族SNSにありました」
「何をしているかは?」
「いえ……」
「市内の小中学校のPTA代表集会の来賓として出掛けている」
「PTA?」
「そう。あの人は俊介を教育……教え育てながら、ずっと学校や地域の役員をしてきた。今では教育系のNPO理事もしているし、一部では教育インフルエンサーという肩書もある。子どもを持たない梓さんは知らないだろうが、正しい人なんだ、あの人は」
お義母さんの外の顔は知らなかった。でも、私の悩みは別物でしょ?
「社会貢献についてと、私の言っていることは違うかと……監視されるのは家族でもおかしいと思……」
「柏木家の伝統だ。波風を立てるな」
「……伝統?ここにもカメラが……?」
「そうは言っていない。とにかく、波風を立てるな」
もう一度そう言ったお義父さんが硬く口を閉じた。
―― ああ……ダメだった
お義父さんに逃げ場も救済も期待できない。
コメント
3件
義父も監視と教育そして洗脳されてる? 波風じゃなくて暴風を巻き散らそうよ!!
あぁ…ダメだった… 『あの人』 この呼び方で全てを物語ってるね… ママの肩書き😳インフルエンサーまで! 波風立てるな、か… 立てようよ!!!立ててやろうよ!!! もちろん心配事だらけだけど…

お義父さんも監視されているの❓