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オレンジ色の雲。色を失いかけたアヤソフィアの窓、柱、アーチ、瓦。
「そうだな」青年は眉と眉の距離を縮め、あごに指をあてた「僕だったら、車を一台買ってきて、まずバラバラにしてみるだろうね」
「どうして？」と青年。
「どうしてって、どうやってできてるか、まず調べなきゃならないじゃないか」と旅人。
「それで、そのあとどうする？」と青年。
「そりゃ、元の通りに組み立てなおすさ」と旅人。
「どうして？」と青年。
旅人は笑った。
「だって、元に戻さなきゃ、ただの部品の集まりじゃないか」
「どうやって元に戻す？」と青年。
「どうやって、どうやってって。そりゃ、分解しながらメモ取って、それ見ながら組み立てるだろうよ」と旅人。
青年は目を閉じ、組み立てをイメージした。かなり試行錯誤しそうだった。今までの論文もそうだった。瞼の裏で、手や作業着が真っ黒になっていく。
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