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「ルフィ、さっきの変な奴、知り合いか?」
「ん? ああ、キャベツか」
「あの顔でキャベツって名前のわけないだろ…」
「コロシアムで会ったんだ。あいつ以外にも変な奴いっぱいいたぞ」
「へえ~」
そんな雑談をしていると、また海賊が俺たちに向かってくる。この程度なら別に苦労はしないがいかんせんキリがねえ。
さっさと王宮へ向かおうとすると、なんかまた血気盛んな奴らが現れる。ルフィの反応を見るに、あれもコロッセオで会ったやつなんだろうな…。ローを抱いたままルフィの後に続いていると、デカイおっさんが俺たちの横スレスレを突っ込んできた。
「び、びっくりした…」
「ひやホホ、勘違いするなガープの孫。おのれの一族への恨みなどとうに消えておる」
「ほ、ほんとか?」
「俺たちはもともと、この国にドフラミンゴの商売を潰しに来たんだ。賞金なんか知ったことか! あれしきの金じゃおれたちは動かねえやい」
「わしはおのれのみならず、おのれの仲間、ゴッド・ウソップにも救われた」
「ウソップに?」
「いかにも。ひいてはドフラミンゴをブチのめすことでおのれとゴッド・ウソップに恩返しをすることにした」
「はあ? やめろよ! ドフラミンゴはおれがぶっ飛ばすんだ!」
「今、何と言った?」
「だからやめろって言ってんだ! おれがやる!」
「なんだと人の厚意を無にするつもりか!」
次から次へルフィの元へ現れ、全員がドフラミンゴを討つことでルフィに恩を返そうとしていたりと、俺たち狙いではないが、ドフラミンゴを狙っているらしい。どうせやるなら幹部たちをどうにかしてほしいんだが。
「ルフィ、俺が言うのもなんだけどな、あんまりあっちこっちで適当な関係作るのよくねえぞ…。というかこの状況はどうする?」
「こういうのはどうだ。ドフラミンゴは俺たちが倒す。お前らはおれたちの援護に回ってくれ」
「「バカ言え! 俺がドフラミンゴを倒す!」」
「そうやって揉めて今時間食うのが一番生産性がねえだろうが。恩を返す返すって言ってるわりにはルフィの言うこともきかねえし、恩の押しつけは迷惑だってのがなんで揃いも揃ってわかんねえんだ!」
「なんだと!?」
「人の胸倉掴んでる暇あったら俺たち受刑者を狙う恩知らずの海賊たちの10人や100人の胸倉掴んでどうにかしろって言ってんだ」
俺の言葉に男たちはハッとしたように顔を見合わせてから、俺たちを狙う奴らをボコしに行った。いやあ、ちょっと焚き付けたらこれだもんな、操縦はしづらいけど乗りこなせないわけじゃなくてよかったよかった。
「あっ、ウーシー!」
「次は何を見つけたんだ?」
ルフィが呑気に歩いていた牛、もとい闘牛ウーシーに乗る。俺たちも遠慮なく乗らせていただいた。意外と安定感があって乗り心地もいい。そのまま王宮まで突っ込んでいこうと思ったのだが、さっきの打倒ドフラミンゴのアホどもが後ろからついてきた。
「ルフィ、どうすんだこいつら?」
「お前らついてくんな! ドフラミンゴはおれがぶっ飛ばすんだ!」
「ついてくんなでついてこなかったらどれだけ楽か……」
あ~あ、ピーカも動き出したな。今度はピーカを誰が仕留めるかで揉め始めた。誰でもいいからピーカをブチのめしてくれ。
「お前ら好き勝手言いやがって!」
というピーカの声に笑い始める。俺は今回は耐えたぞ。
つーかあのおっさんたち強すぎだろ……。町みてえなピーカの手の平破壊しやがった。振動が腕まで登り、腕が崩れていく。
「行け! ウーシー! 王宮へ!」
「ロー、大丈夫か? 揺れとか傷に響いてないか?」
「大丈夫だ」
「ツラくなったらすぐ言えよ」
「ああ」
「にしても……」
俺は後ろを向く。結構海賊とか蹴散らしてくれてるな、あいつら。俺の通る道にいるんじゃねえ! って感じだと思うけど。
あとキャベツ、あ、キャベンディッシュだっけ? どっちでもいいけどうるせえなこいつ。強いのはいいけどナルシストはそこそこにしていただきたい。
「元気だなあ、こいつら」
俺は呑気にそう呟いた。
ピーカが再び動き始めると、ウーシーはピーカの腕を登り始める。すげえなこいつ…。でもウーシー、ルフィに頼られて嬉しそうだ。
「このまま王宮まで行くぞ~!」
「「行け行け~!」」
「行け行けじゃねえよおめえら!」
「はい?」
「降りろよ! ウーシーが重いだろ!」
「あ、はい。申し遅れました。俺はジェット。そして後ろにいる大きい方が…」
「アブドーラです」
「誰も名乗れなんて言ってないんだよな」
「「まあまあ」」
「いいじゃないっすか、へへへ……うわっ、おい!」
「麦わらさんっ! 前、前!」
わあ、ピーカとすごい目が合った。死ぬんかな? さっき破壊した腕もなんか再生してるし。
すると、ルフィが飛び出して武装色で硬化した両腕でピーカを粉々にする。やっぱ武装色効くんだな。
頭部が吹っ飛んだピーカは動かなくなる。でもこれで終わりとは正直思えねえんだが……。
「どう思う、ゾロ。俺は終わりだとは思ってねえんだが」
「……あぁ。ルフィ! 今お前が砕いた頭はただの石だ! 今俺たちが乗っている場所もただの石像」
「まーたいなくなっちまったのかよ」
俺、武装色はギリギリ使えるけど、見聞色に関してはまだまだ使えねえからな……。
そう思っていると、ピーカの本体が出てくる。今までの石像ではなく、人らしい姿。
ウーシーが止まり切れず、慌てていたが、ルフィが持ち上げることによって回避。からのゾロがウーシーから降りて剣を抜いた。
「ゾロ、頼んだぞ。おれはミンゴをぶっ倒してくる」
「了解、船長」
そこで一度ゾロとは離れることになる。
ウーシーのおかげでかなり早く進めているが、割とスムーズに行けているのがだんだん怖くなってくる。いや、ピーカのことを考えれば決してスムーズというわけではないのだが。確実に今ピーカはゾロにつきっきりだ。