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「……ロー?」
ローが目を閉じているのに気づき、声をかけると目を開く。そしてルフィの方を向いた。
「おい、麦わら屋」
「ん?」
「もうやるしか生きる道がねえのはわかってる。おれも腹を決めた。おれがお前らに持ちかけた作戦は遠回りにドフラミンゴを潰す手段だった。だが本当はおれも……あいつに直接一矢報いたい。さっきは負けたが、今度こそ」
ローは一呼吸置いてから言う。
「13年前、おれは大好きだった人を、ドフラミンゴに殺されたんだ」
「えっ?」
「彼の名はコラソン。元ドンキホーテファミリー最高幹部」
「え、あいつの仲間なのか?」
「そうだ。おれに命をくれた恩人で、ドフラミンゴの……実の弟だ」
「えっ……」
兄弟や仲間を大事にするルフィにとってその言葉はかなり衝撃的だったようだ。丸い瞳をいつも以上に丸くして驚いていた。
「あ、ルフィ、もうそろそろ一段目だ。それに俺たちが一番乗りみたいだぞ」
「っ、本当だ! すげえぞウーシー! そのまま突っ込め!」
「モ~!」
前にいたドフラミンゴの部下たちをルフィが軒並みぶっ飛ばしていく。ジェットとアブドーラはずっとウーシーに乗ってるし、もうこいつらに限ってはドフラミンゴを討つ、っていうよりはルフィの後ろにいたいだけじゃないんだろうか。
彼らはルフィには敵わないと悟り、俺たちの足であるウーシーを止めようとするが、ウーシーはただの闘牛ではなく、コロシアムの死神と呼ばれる闘牛。並の人間じゃ敵わない。
「あ…? あそこにいるの、キャベンディッシュじゃねえか?」
「あっ! ああっ! 本当だ!」
「フッ…先に行かせてもらうぞ、麦わら!」
「くそ~近道したと思ったのに、もっともっと突っ走れ、ウーシー」
「ブモッ、モ~!」
「結構みんな追いついて来てるな…。まさか下にいた海軍やらをぜんぶどうにかしたってのか? 素直にすげえって思うわ…」
「やべえな、先越される」
ウーシーが跳ねながら進む。ローが落ちるかもしれねえ。俺はローを今一度落ちないようにギュッと抱きしめる。
「痛くないか? 大丈夫か?」
ローがコクリと頷く。
そんなやり取りをしていると、また新顔が出てくる。こっちはドフラミンゴを討つ! っていう我の強いタイプじゃなくて俺たちに協力したいタイプだ。そうそうこういうの、こういうのでいいんだよ。
「…おい、麦わら屋。おれの手錠はどこで外れる? 海楼石の手枷がついたままじゃドフラミンゴに殺されに行くようなもんだ」
「あっ……ん~、まあ何とかなる。とにかく行こう」
「なんの自信だ? じゃあさっきの台地に戻れ」
「あっ? なんで?」
「鍵を探す! 勝負は勝つか死ぬかだぞ!」
「おい、こっちだ!」
先ほど出てきた新顔、ケリー・ファンクが坑道のような道を指差す。
「さあ入ってくれ、麦わら。入口は俺たちが守る」
「おう、ありがとう」
入口をくぐろうとした時、ウーシーの上で立っていたジェットとアブドーラが入り口に頭をぶつけて落ちた。
「うそだろ…マヌケすぎる…」
「何だったんだ? あいつら…」
「よし、気にせず進め、ウーシー! ひまわり畑へ直行だ」
――プルプルプル…プルプルプル…
「ん、お前の電伝虫」
「ジェディ」
「はいよ」
ローの懐から電伝虫を取り出して出る。
「もしもし、ジェイデンだ」
『ジェイデンね、私よ』
「ロビンか?」
「そうみたいだ」
『こちら、さっきあなたたちがいた台地にいるわ。そっちは?』
「今1段目の山で、ひまわり畑ってところに向かっている途中だ」
『ひまわり畑は4段目よ』
『ヴィオラがトラ男くんの錠の鍵を見つけたの』
「本当か! だってよ、ロー、ルフィ!」
「ニコ屋、すぐによこせ。どうしたらいい?」
俺が言う前にロビンと会話していたローが言う。
『こんにちは、トンタッタ族のレオれす。今からレベッカ様とニワトリ大人間、そしてロビランドをそちらに超特急でお連れするれす』
「わかった。落ち合い場所がひまわり畑ってことでいいな?」
『ええ』
「ま、待て。お前らどうやってこっちに追いつくんだ?」
「…あ、確かに」
『説明はあとれす。とにかく、ひまわり畑で!』
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