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後半に進むにつれて雑。
なあ、お前らはさ。
宇宙って飲めると思うか?
小柳side
「ッ!おい星導無理すんな!」
とある日、本部から星導と二人で任務を任された。
街から少し離れた森でKOZAKAーCが現れた、と。
個体数は二十と少し、と聞いていたのに、どうやら本部は一桁間違ったらしい。
「なんだこの量、二人じゃ捌き切れねぇ!」
一桁というのは悪い方で、ざっと二百程うようよしている。
これで一個体が弱かったら良いのだが、運は敵に舵を切り、まあまあな堅さをしている。
「小柳君大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫、お前は?」
「ふッ……もうお腹いっぱいだし、結構きついです」
クソ、帰ったら伊波たちに愚痴ってやろう。
「分かった、星導は彼奴等を出来る限り捕まえろ、俺が切る」
「了解です!」
作戦の内容を伝えた後、俺が前に出て星導を後ろに下がらせる。
「自分の身は自分で守ってくださいね!」
と言われた後、俺の背後から八本の禍々しい触手が前にいる敵に伸びていった。
恐らく、「八本の触手をフルで敵に使うから、俺のことは守れない」と伝えたかったのだろう。
「ああ、分かってる」
言ったと同時に触手に捕まった敵に向かって一直線に突っ込む。
捕まえられているから首が幾分か切りやすそうだ。
「抜刀。」
十近くのKOZAKAーCの首を刎ねていく。
触手も少し切ってしまったようだが、効率がさっきに比べて良くなった。
「痛った、ちょっと!出来るだけ切らないようにしてよ!?」
「善処するッ!」
星導が捕まえ、俺が切る、捕まえて、切る、捕まえて、切る。
何度繰り返しただろうか。
応援も呼ぼうとしたが、そんな時間は無く。
傷は増えど、敵が減ることはなかった。
「はあ、一体どれだけ、…ッ星導!」
互いに集中も体力も無くなった頃。
俺も星導も前しか見えてなく、背後から迫っていたKOZAKAーCが星導に襲いかかっていた。
「えっ、ぅあッ!」
背後からパックリ切られた星導。
「星導ッッ!!」
白狼の能力をフルに使い、背後から来ていたKOZAKAーCを蹴り飛ばした。
「はッ、星導!」
破片と触手の粘液だらけの星導に近寄る。
後ろから切られた傷は胴を貫通しており、そこから幻想的な宇宙が見えた。
周りには星導の皮膚の役割を果たしていた破片が散らばっており、口からは血では無い何かどす黒いものがたらりと垂れ、言わずもがなの戦闘不能だった。
本能が言う、このままだと星導は死ぬと。
すぐに星導を抱き抱え見つからないような木陰に隠れた。
「うっ、ゆ、だん…しまし、た……あと、たの……。」
言葉が途切れたと同時に変身も解けた。最悪なケースが頭をよぎったが、星導の微弱な呼吸音を白狼の耳が拾った。
「頼んだ…か。」
まだまだ大勢のKOZAKAーCを見る。
「……クソッ」
その時、後ろから気配を感じ、刀を向ける。
「ん?星導の、オ…トモ?」
ふよふよと浮きながら自分の主人の方に進んで行く。
何をするのかと見ていたら、胴の大きな傷跡に近づき、傷跡から宇宙を引っ張り出していた。
「は!?お前、なにして」
どんどん集まっていき、最終的にテニスボール程の球体となった。
そして、それを自らの目の前に浮かせ、俺の方に寄ってきていた。
そのまま上に浮上し、俺の口の目の前に持ってきた。
「?」
一人困惑していると、球体の宇宙がどんどん口に近づいて来て、もう残り1cmぐらいのところまで来ていた。
これ、まさか。
「…食えって言うのか?」
食う、というよりも飲む、と言った方がいいだろうか。
俺の問いかけに対して縦に動くもんだから、やはりそういうことなんだと理解してしまった。
ここで冒頭の問いかけに戻る。
なあ、お前らはさ。
宇宙って飲めると思うか?
「飲みたくねぇ、けど…」
飲んだところで何が起こるか分からない。
何があってもいいように今のうちに救護班を呼ぶ。
自分がどうなるかも分からないけど、
後のことは後で考えよう。
腹を括れ、小柳ロウ。
「ッッ……」
口を大きく開け、宇宙を飲み込む。
「うぇ…」
味なんてなかった、噛みもしなかったから食感もない。
…なんだこれクソ不味い。
なんて呑気なことを考えていると、自身の心臓が大きく波打った。
ドクン。
「はッ、はッ、」
体が熱い、心臓の音がうるさい、頭が痛い、手も足も震える。
「おぇ、うっ」
気持ち悪い、吐きたい。
なんとか動かした手で口を覆った、だからだろうか。とうとう立っていられなくなり、その場にしゃがみ込む。
「…死んだら呪ってやる」
そのまま瞼を閉じ、視界が暗転した。
そこから記憶はない。
目覚めた時に一番に目についたのは、視界中心にある白い天井とカーテンを引いている金属。
そして視界右側にある白と緑混じりの黒だ。
清潔な消毒液の匂い、薬の独特な匂い。お見舞いの花の匂い、味の薄い病院食の匂い、どれよりも強い血液の匂い。
白狼の力を使いすぎたせいか、いつもより匂いが鼻にくる。
「…ロウ?」
伊波が目を擦りながら尋ねてきた。
目の下には隈があって俺のことを長い時間見てくれていたんだな、と思ったら。
「…悪りぃ、心配かけたな」
そう言って笑いかける。
「…えっ!?ロウ!?カゲツナースコール押して!」
カゲツを揺さぶる伊波。
「んぅ…なんやぁ?」
手を口に持っていきながら欠伸をするカゲツ。
「おはよう、カゲツ」
「くぁ…おはよ……って狼!?ちょっ伊波ナースコール!」
「押した!押したから落ち着いて!」
「お前ら慌てすぎ」
一時はどうなるかと思ったけれど、この二人の慌て様を見ていたらようやく日常に戻ったような気がした。
にしても驚きすぎじゃないか、まるで喋る蛸を見つけたような驚き様をしていた。
そういえば俺の仲間に喋る蛸がいたような…。
「そうだ星導は!?」
横にしていた体をがばっと起こし周りを見渡す。
だがすぐに後悔した。
「あっ…くぅ……」
全身に激痛が走った。主に背中と下半身部分。
「そんなすぐ起き上がったらダメでしょ!?」
伊波が俺の肩を持ち、カゲツが背中を支えてベットに戻される。
「…で、星導は?」
「……」
俺の問いかけに対して無言を決め込む二人。
なんとなくそうなんだなって感じてしまった。
「そうか…」
気まずい空気の中、カゲツが口を開けた。
「あのな、狼。めっちゃ言いづらいんやけど…」
「俺はこっちにいますよ!」
「うわっ!?」
俺から見て左側から聞いたことのある声が聞こえて来た。
「ちょっと、勝手に殺さないでください!」
と笑い混じりに言われたので、こちらもすまんと笑いながら返した。
「あっはは!」
伊波がツボにハマったのか笑い続ける。
「ちょっ、ふふ、ごめん、隣にいるのに気づかないの面白すぎて、ははっ!」
「仕方ねぇだろ、見えてなかったんだから」
しばらく談笑していたら、さっき呼んだ看護師さんが歩いて来た。
「小柳さん、体調いかがですか?」
「あー…まぁ…ぼちぼちっすかね。」
「そうですか……では、今から診察、検査をしますので私について来てください。」
言われたので、ゆっくり、ゆぅっくり体をあげ、のろのろ着いていく。
「狼大丈夫そうか?」
「めっちゃゆっくり歩いてる、ふふ」
「多分もうおじいちゃんなんですよ……しくしく」
「おい星導聞こえてんぞ」
小声で話していたらしいのだが、白狼の聴覚で全て拾ってしまった。
検査が終わり、元いた病室に戻った。
体調は良好らしく、体が痛いのは単なる筋肉痛らしい。
気になって俺の眠っていた日数を尋ねたら、なんと驚き一週間だと。
病室を見渡すと、伊波とカゲツが帰っていた、恐らく任務だろう。
俺らの分が溜まってるからな…退院したらあいつらの分もやってやるか。
にしても一週間。そりゃ体も鈍るわなと思いながら瞼を閉じた。
取り敢えず細かな問題は大丈夫だとして、あれだ。
俺宇宙飲み込んだんだよな?
大丈夫なのかそれは、まあ星導が大丈夫なのだからひとまずは…大丈夫だろう。恐らく多分。
「あ、そういえば小柳くん。」
「え、あ、なんだ?」
「ありがとうございました。」
飲み込んだことについて言及されるかと思ったが違うようだ。
「…何が?」
「何って…俺のこと助けてくれたじゃないですか。」
「そういえばそうだったな」
正直後半は記憶が飛んでるから分からないが、俺が木陰に運んだから助けた認定でいいだろう。
「あ、そうだ。お前無理しすぎなんだよ」
「うっ……でもそれは小柳君だって一緒でしょ、俺が倒れてからあの数を一人で…どんな無理したの」
「さぁな。記憶が飛んでるから知らね」
「多分とんでもないことしてますよ」
そんな会話をしていると、日が暮れて、眠りについた。
ようやく退院だ。
退院祝いにと、伊波から飯に誘われたが断った。
それよりもすべき事がある。
足早に自宅へと帰宅した。
しばらく歩いて、自宅が見え始めた。ポケットの中から鍵を取り出しドアを開ける。
ガチャリ。
「ただいま」
二週間ぶりの我が家。
さて、と一息ついて手を洗い、オトモを寝かせる。
そして、家にある一番大きな鏡の前に立った。
「マジであの変な宇宙大丈夫なのか?」
自分に何か起きていないかのチェックだ。
取り敢えず鏡の前で一周。外見、服、異常なしだ。
次に上半身に纏っているものをめんどくさいので妖術で脱がし、確認する。上半身、異常なし。
よし、大丈夫。目に見える異変はない。
となると…もう宇宙は抜けたのか、それとも目に見えないだけか。
やはり隅から隅まで確認する必要がある。
「はぁ…っと」
白狼としての視覚を使い、もう一度隅から隅まで自分の体を観察していく。
ここまでくると自分キメェな、と思いながら、何かあったら星導に全て押し付けたら良いと思いながら。
数分時間をかけて観察しているが、矢張り目に見えての異変はない。
「…何も無ぇじゃん…よかった。」
安堵した、がここで一つの可能性に気付いてしまった。
「…何も無ぇよな?」
そう、ヒーロースーツだ。星導って喋る宇宙蛸なんだな、と思わされたのも右目付近が宇宙になったとき、髪がタコの触手になったり、手足は切っても再生するのを見せられたとき。
すべてヒーロースーツに変身した時だ。
何も無いと信じて、デバイスを手に取る。
髪が伸び、服が変わり、頭を覆う程の大きさを持つ、角がついた特徴的な目隠しがかかる。
鏡に写る自分を見る、が外見異変なし、と言いたかったのだが。
「…は?マジ?」
目隠しをとった自分の頭を見ると、夜を写したような髪は紫かがり、髪の所々に水色が入っていた。
そう。間違いなく星導の髪の特徴が俺の髪に現れている。
俺はそこで一つの仮説を建てた。
「…触手使えるんじゃね?」
星導に事情を話して取ってもらおうと思ったが、触手が使えるなら話は別だ。
今の所体に不調は見られないし、もし使えるならヒーロー業にも暗殺業にも役立てる。むしろ効率が良くなるぐらいだ。
同期に話すか…いや、あいつらは心配性だから、効率が良くなると言っても安全性等の理由で俺から取ろうとしてくる。
つまりはあれだ。バレたら終了の強化期間だ。
なら、と早速触手が使えないか試してみる…が、とんとん拍子には進まずかれこれ十分ほど苦戦している。
勿論、仮説の話であって、本当に使えるとは限らない。だが、逆も同じく試さないとわからない。
「…ふぅ、ちょっと休憩するか。」
冷蔵庫の中に水のペットボトルが数分入っていたはずだ。一度喉を潤して冷静になった頭で考えようと思った。
「はぁ…開けんのめんど…」
と愚痴を溢しながら、冷蔵庫を開けようとした。否、冷蔵庫は開けた、だがそれは俺の腕ではなく。
自分の首からガラスのようなものが割れた音がした。
「は?…ふっ、やっぱ使えんじゃん。」
二本の、禍々しい触手だった。
とりあえず水は飲もうと自身の腕を伸ばした、するとその触手も一緒に動き、結局一本の腕と一本の触手でペットボトルを取った。側から見ればかなりの異常者だ。
水を飲み、今の状況を整理した。
まず、俺の中に宇宙は留まっている、今の所体に不調は見当たらない、触手は腕と同じ感覚で動かせる、触手の先は手首をそのまま捻るような感じだ。自ら体験してみると、案外星導は器用なことをしていると思った。
そこから触手が巧く使えるようになるまで練習した。大雑把なことから細かいことまで。星導には劣るが、まあまあ使えるようになった。今ならペットボトルの蓋も触手だけで開ける事ができるだろう。
さあて、一段落ついたし昼寝をしようと寝室に向かった。
ぼふっと飛び込むようにベットに入った。まず思ったのは、我が家のベットの柔らかさ。別に病院のが硬かったわけではなく、自分がベットに少し金をかけただけだ。
自分が思っているより疲労は溜まっていたらしく、すぐに眠りについた。
それから何週間か経った。
最初の方は暗殺業やヒーロー業に触手は大きく貢献してくれた。なんといっても触手は便利で見た目さえどうにかなれば何にでも使える。これであいつらへの負担も減るし……なんて柄にも無いことを考える。孤独を生きる白狼はいつの間にこんな仲間思いになったのだろうか。まあ、とりわけ事実で俺の、あいつらの忙しさや睡眠不足を軽減し、趣味や遊びの時間が増えていった。
「ロウ、最近任務めっちゃ行ってるけど大丈夫?」
拠点の共有スペースでのんびりしていると、伊波から言われた。確かに、俺はディティカに課せられる任務の二分の一位の量を一人でこなしていた。
だが、最近聞く話によると、伊波は任務や機械作りに追われてあまり眠れていないらしい。
整った顔の目の下にある濃くなった隈がそれを物語っていた。
「全然平気、逆にお前の方が大丈夫か?隈、濃くなってるぞ。」
「ああ…、最近作りたいものが出来てさ、あんま寝れてないんだよね。」
最後にへにゃりと笑っていたが、寝不足のせいで空元気なのが伝わってきた。自分もきついのに俺のことを心配するなんて、本当仲間思いなやつだ。
「…ライ、今日は俺が任務肩代わりするから寝とけ」
「え!?いや、それは…って言いたいところだけど、本当に眠いから寝てくる。ありがとう、俺もなんか返すから、あとロウもちゃんと寝てね!」
と言って拠点の仮眠室に行こうとしていた。危なっかしい足取りで、いつ倒れてもおかしく無い。
「ちょっと待て、俺が送るから、お前絶対倒れる。」
「ぇ?ん〜?」
一応聞こえてはいるようだけど意味が分かっていないようだ。流石に不味いと思ったので姫抱きして仮眠室に連れていく。
「よい…しょっと、ライ、寝ても良いからな」
「ん…。」
そう言って瞼を閉じて、少し経ったら寝息が聞こえてきたので、出来るだけ揺れを感じさせないようにして歩く。
すたすた歩く。すたすた。すたすた。
あれ、仮眠室ってどこだっけ。
今どこを歩いているんだ?
ここはどこだ?
あれ。
俺が抱えているのは、だれだっけ?
おれはだれだ?
おかしい。
わからない。あたまがぐるぐるぐるぐる。
あれ。あいつは…。
“ぴょん!”
「はッ…え?…あ…れ?」
漸く仮眠室に到着し、行儀は悪いと思ったが足でドアを開けた。特に特徴の無い普通の仮眠室。運良く先客はいなかったので、今のこの状況も足でドアも開けたことに文句を言う人はいない。ドアに一番近いベットに伊波をできるだけ優しく寝かし、そっと布団をかけた。
「おやすみ、ライ。」
そう言ってドアを閉じた。
星導side
「ねぇカゲツ、最近小柳くんおかしくないですか?」
先程の下りを見ていた者一号。星導ショウ。ちょっと韻を踏めたので合格ライン、何の試験かは分からないが。
「そうやなぁ…あんな一生懸命任務行くタイプやったか?狼。」
「いや、自分に与えられたものだけするタイプでした。最近まで。」
カゲツと二人で不審がる。あの快楽主義者はまさにギブアンドテイクという言葉が似合う思考回路をしていた。だがしかし最近となれば、本部から出された任務の半分は小柳くんが受けている。心変わりをしたにしても、あまりに極端では無いか。
「…やっぱ何か隠しとんのか、あのばかおおかみ。」
どんどん表情が暗くなっていき、最終的に俯いてしまったカゲツを横目で見る。
「なぁ蛸、僕らってそんな信用ないんかなぁ…。辛いときは相談して、楽しいときは笑って、それを共有できんのが仲間やないの、?」
最終的に涙目になったカゲツを優しく抱きしめる。嗚呼、カゲツは心が綺麗だな。元々忍者というものは、敵の本拠地に侵入して情報を集め、 変装して正体を隠し、嘘の情報を流して敵を混乱させたりする。そういう者だと某サイトに書いてあった。チームワークはいるが、必要であれば仲間は置いていく。任務に従順で冷徹な集団であるのに、仲間のせいで涙するなんて。
この優しさは天性の才能である、とそう思った。
「大丈夫。小柳くんのことだから、もうちょっとすれば教えてくれます。…小柳くんは、頼ることが苦手なので、俺らで教えちゃいましょう!そうすれば、次はちゃんと頼ってくれますよ。」
カゲツの頭を撫でながら言う。聞こえていた嗚咽が落ち着いてきて、抱きしめていた状態から腕を離す。目を擦りながら、
「…そうや!僕らで教えればいいんや!あと一発ぶん殴る!」
最後の一言でおっと?っとなったが、カゲツらしいなと思い笑った。
3ヶ月後。
小柳side
携帯の無機質なアラームが朝を伝える。
「んぅ…くぁ…はぁ…。」
午前10時ぴったり。俺にとっては超早朝であるこの時間では欠伸がやめられない。
今日はオリエンスとの共同任務だ。だからこんな早朝に起こされた。クソ本部。
東の方で結構な数の強いKOZAKA-Cが発生したらしい。
あれから、かなり触手を扱うのが上手くなった。触手検定があれば準二級ほど。
できればあいつらに無理はしてほしくないし、任務でくたばって欲しくない。
“人間として”天寿を全うしてほしい。究極を言えば、こんな死と隣り合わせなヒーローも辞めてもらいたい……流石に言いすぎか。
歯を磨いて顔を洗う。服をパジャマからいつもの羽織姿に着替えて、簡単な朝食を摂る。デバイスに無線にスマホに財布。あと簡単な医療道具。よし、忘れ物はなし。
さっさと帰って寝たいな。と思いながら家を出た。
AM10:58
今回東の方ということでオリエンスの拠点ににMECHATU-A 8人大集合した。
「はぁ…ッ…はぁッ…、お前、ら、早すぎ…はぁッ…。」
俺たち西のデティカで一番真面目な伊波が最後に到着した。ちなみに一番はカゲツで二番は俺。次が星導。
まあ簡単な話だ、要は体力と種族の関係。カゲツは人間でありながら忍術を使えるし、星導はなんかワープゲートみたいなのを作れる。理屈は知らん。俺は白狼だし、触手もあるし…?と、いうわけで身体的に観れば伊波が一番不利なのだ。
「ライ!久しぶりやなぁ、飲み物注いで来るわ!」
と黄色の髪の毛先に、水色が混じった特徴的な髪を持つコメディアンことマナが言った。
「頼んだ…はぁ…、というか星導!なんで俺もそのゲートで連れてってくんないの!?」
「嗚呼、入りたいならいいですよ、死にますけどね」
一瞬、ガヤガヤしていた室内が静まり返った。
「元々あのゲートは、行きたい場所を線で結んで、その間を瞬間移動するっていうのが理屈です。瞬間移動ってのは光の速さですよ?それに人間が入ったら……まあ、ぐっちゃぐちゃでしょうね。」
と、満面の笑顔で言われた。矢張り此奴サイコパスなのか。
「ひぃえ…絶対お前のゲート入んないわ。」
さっきまで火照っていた顔が少し青ざめていた。
…話す雰囲気になれなくて、静かな空間となってしまったオリエンス拠点に、マナが戻ってくる。
「ライ〜お茶持ってきたで!……なんでこんな空気終わっとんの?」
マナは少しの間固まっていたが、お茶の入ったコップを伊波に手渡して、伊波の隣に座った
「なぁ、マナ。瞬間移動ってしたいか?」
と俺はマナに問いかけた。
「え、出来るもんならしてみたいけどなぁ、便利そうやし。」
飽きが来ました。
出来るだけ一話完結が好きな人なので、二話が書けたらコピペして一話に総合します。
25、5/27、22;00 あげた時刻
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