テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
※本人様とは一切関係ありません
※Dom/Subユニバースの設定をお借りしています
※なんでも許せる方向け
※mn愛されです。
※続く……かも……?
Dom/Sub分布(レベル順)
◼️dz…Dom(いちばん強い、Glareは負け無し)
◼️qn…Dom(強い、S級Command)
◼️bn…Switch(Dom寄り、メンタル持っていかれた時のみSubに変わる)
◼️or…Switch(Sub寄り、気分で変わる)
◼️mn…Sub(滅多にdropしないし、Glareにも比較的対抗できるが、一度落ちると深い)
⬛︎nk…natural(第二の性を持たない)
『やっべぇ〜〜……』
めんside
遡ること一時間前。
抑制剤を受け取りに行くのが面倒で先延ばしにした結果、昨日飲んだものが最後だと空になった箱が無情にも教えてくれた。
『……流石に行きますかねぇ』
自分の性格上、誰かに自分からCommandを頼む事ができずいつも薬に頼っているのだ。
ドズル社のメンバーには自分がSubであると言い出せず、また問題が起こったこともなかったため今更申し出ることでもないかと思っている。
今日は全員で集まっての収録だ。鬼畜かチートか、実写系かな〜と携帯を付けた。
【すみません!スタジオの都合で30分早い集合をお願いします!】
まじか。
時計を見る。新しい集合時間の30分前。
急げば間に合う、しかし薬局に寄るほどの余裕は無い。
思案した後、収録終わりに買えばいいかと荷物をまとめて家を出た。
そして冒頭に戻る。
収録が長引き、終わったのは日が落ちた頃。
ありがたいご時世の為薬局は24時間開いているが、如何せん一日以上抑制剤を開けたことの無い身体は、与えられたことの無いCommandを限りなく欲していた。
ドズル社のメンバーに頼むか?
確か、ドズさんとおんりーはDomで、ぼんさんとおらふくんはSwitchだったはず。猫おじはNaturalだったような。
きっと皆、事情を説明すれば偏見もなく接してくれるだろう。
ただ何となく、
【守られる立場になりたくない】
【みんなと対等でありたい】
そんな気持ちが邪魔をする。
とりあえず早く帰ろう、そう思いスタジオを後にしようとした。
〈〜〜!!〉
誰かが言い争いをしている声に意識がそちらへ向かう。
次の瞬間。
『ぐぁ、』
(……ッ!?おい、嘘だろ!?)
強烈な力。立っていられないほどの威圧感にその場にへたりこんでしまう。
本来Glareは対象の相手に与えるものだ。
しかし今回はタイミングも距離感も悪かった。
当てられた身体からは力が抜け、心臓は嫌な音を立て続ける。
「……めん?」
最悪とは重なるもので。
あれだけバレないようにと動いていたのに、見つかる時はあっという間、唐突なのである。
『……っぁ、ぉ、んりー、?』
震える指先を隠そうと手を握る。
冷や汗の止まらないそれはぐっしょりと濡れて気持ち悪い。
引き攣った顔に道の真ん中でへたり込む俺。
どう見たって異常事態だ、隠すとか言うレベルじゃない。
喧嘩中のGlareを感じ取ったのか、おんりーはそちらを一瞥すると、彼らから壁になるように俺の前へ回りこみスマフォを取り出す。
「……あ、もしもしドズさん?スタジオの中でGlare出してるバカいるんだけど。どうにかしてよ」
一言二言告げたあと電話を切りこちらを見る。
『……なんだよ』
「めん、Subだったんだ」
この場に似つかわしくない笑顔を湛えたおんりーがそこに居た。
なんやかんやあって元凶が回収されて行ったあと、その場にはいつものメンバーが残された。
怒りの表情のドズさんに猫おじ、こちらを心配そうに見つめるぼんさんにおらふくん、そして俺の身体に引っ付いて離れないおんりー。
俺はいつ選択を間違ったんだろう。恐らく面倒くさがって薬を貰いに行かないという判断を下した過去の俺だ。
顔を見られず視線を斜め下の床へと落としていれば、二つのバカデカため息が聞こえ思わず肩が震える。
「あのね。今回はおんりーが居たから良かったけど、もし取り返しのつかない事になってたらどうするつもりだったの?」
「ほんとにそう。なんで黙ってたの」
ドズさんと猫おじに詰められる。
猫おじはまだしも、ドズさんはかなり強いDomだ。Glareに当てられた後の身体には少々堪える。
「ドズさん、めん怖がってるよ」
震えに気づいたのかおんりーが言う。
ぼんさんもおらふくんも、言葉には出さないがドズさん達と同じことを思っているんだろう。
見守る視線が突き刺さる。
『……すんません』
何とか発した一言に、空気が少し軽くなる。
「……まぁ、言える雰囲気を作れなかった俺たちにも責任はあるかもね」
ドズさんが自嘲気味に呟いた一言に、思わず違います!と反射で言ってしまった。
驚いた表情を浮かべるメンバーに、ええいままよと本音を打ち明けた。
『俺、今までSubで良かったこととかなくて。みんなにも迷惑かけたくなくて』
『……何より、対等でありたくて。』
守ってもらいたくない。
みんなの隣に立ちたい。
最後の方は震えて発音できていたかも怪しい。
そんな俺に近づく気配がした。
ドズさんだ。
「……ねぇめん、めんはCommandが嫌いなの?」
『や、そういう訳じゃ、ないんす、けど、』
優しく問いかけられたそれに首を降れば、じゃあ今言ってもいい?なんて聞かれて思わず頷いた。
「〈Good boy〉。よく言ってくれたね」
頬を撫でられ、ずっと欲しかったものが手に入った時のような高揚感と幸福感に身体が沸き立つ。
そしてその奥にある微かな快感を拾った瞬間、ぶわりと全身に熱が広がった。
『っぁ、ドズさ、』
熱に浮かされたような上擦った声にこれは一体誰の声なのかと思考がよぎるが、与えられる快感にそれも霧散する。
「めん」
ずっと横にくっついていたおんりーが俺の名前を呼ぶ。
「俺はさ、めんがDomだろうがSubだろうが他のやつに傷つけられるのは嫌だ」
真剣な眼差しでこちらを見つめる彼に、俺は返す言葉を失う。
「守らせてよ。めんがいっぱい俺達のこと守ってくれたようにさ」
ダイナミクス関係なく、一人の人間として支えあおうと優しく微笑むおんりーに、俺はとんだ勘違いをしていたのだと気づく。
誰より対等でありたいと思いながら、誰よりも自分を下に見ていた。
隣に立ちたいと願いながら、自分の立ち位置を見失っていた。
「めんはさ、いっぱい一人で抱えすぎなんよ」
「そーそー、もっと周りを頼んなさいな。そんな頼りない?俺達」
ぼんさんがそれ言う?
どういう意味よそれぇ!
段々といつもの雰囲気に戻っていく様子に、ふわりふわりと心が軽くなっていく。
思わず吹き出せば、やっとめんが帰ってきた!とおらふくんが叫ぶ。
「それじゃー、親睦会も含めて焼肉でも行きますかぁ!」
ドズさんゴチでーす!
盛り上がるみんなを眺めながら目を細める。
「ほらなにしてんの、めんも行くよ」
早く早くと急かすおんりーに、薬が切れたことを思い出した俺は薬局に寄らせてくれと頼むと、キョトンとした顔で爆弾を投下した。
「これからは俺たちが居るんだから抑制剤とか要らないよね?」
俺も幸せ、めんも幸せ。
WinWinだねと笑うおんりーに俺は引き攣った笑みを返すしか無かった。
変化する日常と、変わらない俺たち。
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