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紬、作文を読み終える。
(紬)「(原稿用紙を見つめて)·····」
思い立ったように立ち上がる。
想、改札を出て、駅の外へ歩いて行く。
紬、想と入れ違いに駅に着き、周りを気にしながらうろうろする。
(紬)「(小さな声で)·····佐倉くん·····」
想、なんとなく足を止め、振り返る。
(想)「·····」
誰かいるわけでもなく。
「気のせいかな」と思い、また歩き出す。
紬、改札前の壁にもたれかかり、過ぎ行く人々を見送る。
(紬 M)「あの時から、あの声がずっと耳の奥にいて、あの名前が忘れられなくて」
ぼんやりと過去を思い返す。
2014年 4月
新学期。
騒がしい教室。
紬、前から二列目の自分の席に座り、教室を見渡してソワソワしている。
(紬 M)「クラス替えの名簿から、自分の名前の次に、その名前を探した」
イヤホンを付けて教室に入ってくる想。
(紬)「·····」
紬、「あの子だ」と思って想を目で追う。
黒板に貼られた座席表を見ている想の元へやってくる湊斗。
二人楽しげに話し出す。
紬、二人を見ていて、湊斗と目が合う。
(湊斗)「ん?」
(紬)「あ、ううん(と首を横に振る)」
(湊斗)「·····」
湊斗、紬が想を見ていたと察して、
(湊斗)「(想に)青羽」
(想)「·····あ、佐倉です」
(紬)「·····あ、青羽です」
間があって、
(湊斗)「(笑って)何これ。あ、戸川です」
ぎこちなく笑う紬と想。
2014年 7月
紬、湊斗の前に座って、
(紬)「ね、戸川くん」
(湊斗)「ん? 想? 彼女いないよ。今は」
(紬)「(聞こうと思っていたことで)·····」
(湊斗)「青羽って彼氏いるの?」
(紬)「え?」
(湊斗)「って、聞かれた。想に。つい最近」
(紬)「·····え、なんて言ったの?」
(湊斗)「知らないって。自分で確認すればって」
(紬)「いないよ。彼氏いない。一人もいない。全然いない」
(湊斗)「うん。それ想に言ってやって」
想、イヤホンを付けて教室に入ってくる。
湊斗。紬に目配せして。
(紬)「·····」