ヤモリ 様より、拷問される日帝
※少しグロ描写、自殺描写を含みます
「く…そ…」
時は1940年代。
太平洋戦争真っ只中のこの場所で、1人の男が地べたを這いつくばっていた。
男の名は大日本帝国、米国と戦争をしている張本人だ。
運悪く地雷を踏み、吹っ飛んでしまったらしい。
頑丈な国の化身であるため、幸いなことに手足を損失することにはならなかったが、それでも身体へのダメージは相当なものである。
吹っ飛ばされた衝撃で目の前がチカチカとして、脳の指示を身体が受け付けない。
早く立たねば、立って鬼畜米帝をこの手で下さねば。
こんな端っこでも、戦場であることに変わりはないのだから。
自分の使命は、もはや米帝を倒すことの他にないのだから。
ここまで国を巻き込んでしまったのなら、もう自らの手で終わらせなくてはならないのに。
そう思いながら唸っていたところ、ふと影が落ちた。
嫌な予感がしながらも、視線を上へ。
「Oh!ah…えーと、お前JEの化身だな?俺は日本語苦手だから伝わってるか知らないけど、捕虜にさせてもらうぞ!」
そこにいたのは米国の化身。
英語訛りな、確かに下手くそな日本語でそう伝えてきた。
「…私の命運も、ここまでか…」
動かぬ身体を恨めしく思いながら、自身が縄に拘束されていく様を見る。
舌を噛み切ろうと思ったが、麻痺しているだけで身体は健康そのもの。
完全に回復した時、文字通り内側から米国を追い詰めてやろう。
日帝は頭の回転が早かった。
今にも噛み切らんとしていた口元をゆるりと微笑ませ、大人しく米国に担がれる。
捕虜と言っていたので、こいつの日本語力がそこまで残念でないのなら殺されないはず。
米軍基地までの道を覚えられないためか、目隠しをされた。
ザクザク、ザクザク
枯葉を踏む足音を聞きながら、日帝はなおも黙って運ばれる。
「ふぅ…Hey!you guys, tie him up and take him to the basement. I’ll interrogate him later.」
「「Roger that!」」
そのうち米軍基地に着いたのか、日帝は目隠しをされたまま床に転がされ、米国が何かを指示する声が聞こえた。
昔、英国に少し教えてもらったので、日帝は僅かばかり英語がわかる。
内容としては「後で尋問をするから、拘束して地下に閉じ込めろ」というようなものだろうか。
米国の英語は日帝にとって些か聞き取りにくかったが、流れとしても間違っていないはずだ。
カツカツといくつかの足音が聞こえたのち、また日帝の体が浮く。
ドンッ!と首に大きな衝撃が走り、そのまま意識を落とした。
次に目が覚めると、自分はいかにもという感じの木製の椅子に固定されている。
口は布で塞がれており、これから起こることが容易に想像できた。
ガチャリ。
視線だけ動かせば、頑丈そうな扉から米国が入ってくる様子が見える。
「Hello J.E,調子はどうだい?」
当然答えられないので、黙って無視をした。
「唸るくらいしろよな〜。さて、と。お前、今から自分がどうなるのかくらいわかるよな?」
今度は無視をせず、日帝はこくりと頷く。
「ならいい。その布は外してやろう、さっさと吐けよ。聞きたいのは軍の配備、基地の場所、物資の量とか。まあその辺だ」
「…ふん。私は大日本帝国様だぞ?貴様のように下劣な輩如きに話すことなどない」
「話したら話したでそれか?やっぱり猿は躾がなってねえようだ。トクベツに俺が躾けてやるよ」
ニヤリと口端を上げ、米国はグッと拳を握る。
「ッ…!!」
1発。
骨と骨がぶつかるような音がして、頬に鋭い痛みが走った。
「今ならまだ許してやるぞ?さっさと吐いた方がお前も楽だろ」
「ふっ…この程度、蚊に刺されるよりなんともない。米帝の力は所詮そんなものか。これなら、私がいなくとも勝てそうだ」
「減らず口叩きやがって…今に後悔させてやる」
アメリカは鞭を手に取り、先ほど日帝を殴った拳に巻きつける。
そのまま米国は日帝を殴り、少しばかり声が漏れた。
そのまま英語で侮辱すれば、米国はキレて殴るに飽き足らず、長い足で日帝を蹴る。
固定されていた椅子ごと吹き飛び、頭を打った。
くらくらと視界に星が回り、次の瞬間にはまた痛みが走っていく。
確か、英国は米国を虐待していたそうだ。
英国から教えてもらったので、アクセントや言葉遣いに何かを思い出したのだろうか。
なんにしろ、怒り狂った米国を見ているのは気分が良い。
「…クソが!!!! 」
「ッ!?!?ごぷっ…おぇ゛ぇッ…!! 」
突如として腹を殴られ、深く入った拳は胃を抉り、日帝は我慢しきれずに吐いた。
大して食べられていないので、胃酸がほとんどだ。
「チッ…汚ねえな。俺を散々ナメくさってたくせに、その様か」
イライラを隠しもせず、米国はまだ息が整わない日帝を椅子から外し、首根っこを掴んでどこかへ連れていく。
「はぁー…ッはぁー…ッき、さ゛まぁ…何を…」
「汚ねえから洗ってやるんだよ。こうやってな!!」
「んぐッ!?」
水が張られた浴槽らしきところに、思い切り頭を突っ込まれた。
あまりに急で息を全て吐いてしまい、日帝は暴れながら溺れる。
首根っこを掴まれているため、顔を上げようにも上げられず、殴られたり吐いたりしたせいで体力も消耗していた。
「ごぼッ…がッ…」
コポコポ、と水面に泡が少し浮いて、日帝は抵抗しなくなる。
意識が飛ぶ、というところで、アメリカは勢い良く顔を上げさせた。
「…ッ!!げほっ!!ごほッ!!はぁ…はぁ…ッ」
「惨めだなぁ、落ち着こうとしてんじゃねーよ!」
必死に息を整えていたが、アメリカは再び日帝の頭を冷たい水に漬け込んだ。
学習しないというかなんというか、またしても日帝は息を吐いてしまい、微かな抵抗をする。
体力の消耗が著しく、抵抗はすぐに無くなった。
「何か言う気になったか?それとも、まだ沈みてえか?」
溺死する寸前で引き上げられ、軽く頭を揺すられる。
酸素の足りない頭はガンガンと痛み、その揺れでさえ激痛だった。
「はーッ…はーッ…だれが、言うものか…! ぁ…」
精一杯の強がりを返すと、また視界が白に染まる。
泡が弾ける前に、息苦しさで前が見えなくなってきた。
水責めは簡単で誰にでもできるが、その効果は折り紙つき。
日帝がいくら不屈の軍人だとしても、この拷問は非常に厳しいものだ。
今にも命が消える、というところで生に引き戻され、また命が消えかけるまで水に沈められる。
防衛本能から体は勝手に暴れるが、相手の方が優位に決まっているため息を吸えることはない。
むしろ、暴れれば暴れるだけ体力は消耗し、空気だって早くなくなる。
大人しくしていたくても、相手に屈服させられることになるのだ。
富士山のように高いプライドを持つ日帝にとって、それは国を裏切るほどの大罪にも思えた。
1時間もそんなことを続ければ、当然反抗する気力など尽きるわけで。
情報を吐くことは断じてないが、吐いて楽になりたいとは思った。
「しぶといやつだ、まだ吐かねえのか?」
もはや口を開くことも億劫で、日帝は虚ろな目を閉じて無視をする。
「濡れたままじゃ風邪引くし、乾かしてやるよ」
まだやるのか、と思うものの、もはやされるがままの日帝は黙るばかり。
ズルズルと引き摺られる中、次は何をされるか緩く頭を回す。
乾かすと言っていたから、ドライヤーで感電でもさせるのか、暑い部屋に閉じ込めて蒸し焼くのか、タオルで首でも締めるのか。
もはや考えることにも疲れてきて、日帝は限りなく大人しい状態で引きずられていった。
ついた部屋は特に暑くなく、蒸し焼きにはならないらしい。
「手っ取り早く乾かすには、やっぱり火に当てないとな!」
「…は…?」
アメリカは日帝の手足を縄で拘束した後、見せつけるようにマッチを取り出し、箱の側面で擦って火をつけた。
小さくも轟々と燃える赤い火は2人を照らし、アメリカは片腕で日帝を押さえつけ、濡れた頭に赤を近づける。
「おい、やめろ…!」
「やめて欲しかったら、情報を吐くんだな。そうすりゃイタイコトなんかしねえよ?」
「くっ…」
ギリ、と歯を食いしばったその時、段々と近づいてきていた熱が肌に触れた。
「ッッ…!!!!」
火はジュッと水が蒸発させ、そうして無理矢理乾かされた皮膚を炙る。
歯が欠けそうなほどに強く食いしばり、極端な熱さを耐え忍ぶ。
「日帝の丸焼き〜、なんちゃって」
肌が熱い。
きっと炎を当てられた箇所は赤くなり、痛々しいまでに変色しているだろう。
だというのに、そんなちっとも笑えないジョークを言えるアメリカに恐怖した。
「ぁ…が…ぅ゛…」
「Hahaha!真っ赤になっちまった、これじゃあクソ連みてえだ!」
ジリジリと己が焼かれる。
熱くて痛くて仕方がないのに、抵抗できない。
しようがない。
日帝は濡れている箇所を焼かれ、乾かされた。
大きな火傷を特に冷やしもしないまま最初の場所に戻ると、今日はもう終わりらしい。
アメリカはご機嫌で硬いベッドに日帝を放り、嫌な笑みでニヤリと笑って帰って行った。
「…痛い…冷やさず帰りやがって…風邪どころか、感染症になるぞ…」
空気に触れるだけでも痛いその傷は、ベッドで寝ることを妨げる。
ジクジクとまた別の熱を持ち、日帝は痛みに呻きながら夜を明かしていく。
ただでさえ疲れている中、日帝にはまともに眠る時間すらなくなったのである。
朝とアメリカが来れば、また拷問が続いた。
また水責めを受け、時に感電、時に焼かれ、鞭打ち、逆さ吊り、不眠、暴力…
様々な拷問が日々なされ、国際条約などないに等しい扱いをされる。
捕虜虐待だと訴えても、「さっさと話せばこんなことはしない」の一点張りで話にならなかった。
今日は、何をされるのだろうか。
相変わらずご機嫌な米国は、太い縄を持っていた。
あぁ、首を絞めるのかと思ったと同時に縄が巻かれ、ざらりとした触感に痛みと不快感を覚える。
「今話せば許してやるけど?」
「………」
クマの濃くなった目で睨みつけてやれば、米国はため息をついて縄に力を込める。
「ッッ!!!」
ギュウッ!と音を立てるように首が締まり、酸素の通り道が潰された。
首の火傷跡はまだ痛んでおり、縄がきつくなるたび痛みと苦しさが増していく。
「ほら…早く、話せよっ!」
拘束されているので縄を外そうともがくことすらできず、ただ大人しく首を絞められるのみ。
顔が赤くなって、白目を剥き始めた頃、ようやく力が緩められた。
「はぁ…まだ話さねえつもりか?いい加減にしろよ!」
「…はぁ…はぁ…人の顔を、焼くような、頭の…おかしい、やつに…話すこと、など…ない… 」
息も絶え絶え、きっと死ぬその時までこの反抗心は無くなるまい。
足がなくなろうと、腕がなくなろうと、臓器を引き摺り出されようと、頭だけになったとしても。
今も戦場で体を張る仲間のため、お慕いする天皇陛下のため。
なんとしてでも話すわけにはいかなかった。
しかし痛みで眠れず、酸素も足りず、日帝にはまともな思考力など残っていない。
話すことは論外だが、早くこの生活から解放されたいと願う日帝に選択肢は一つ。
「…このまま、生きているより…」
死んだほうがマシだ!!!!
むしろ、これが一番初めにすべきことだったのだろう。
体力の尽きた軍人に、この場所にいる米軍や米国を全て殺すことは不可能。
それならば、情報を吐く前に死ねば良い。
ぐっ、と歯に己の舌を合わせ、大口を開ける。
そのまま思い切り舌を噛み切れば、激痛と共に息ができなくなった。
慣れてしまった感覚に意識がふわふわしてくる。
大量出血で苦い錆鉄に塗れ、日帝は息を引き取った。
深夜3時、丑三つ時のことだった。
コメント
10件
ただ拷問され続ける誇り高き日帝さん良過ぎる、、、!そして何気日帝に感情移入してイライラするアメリカも大分性癖だった、、、
ありがとうございます!! 神ですか?
あの初見で一気に全部見たんですが、どれも最高過ぎて本当に凄かったです!! リクエストって可能でしょうか? もし良かったら広島×宮城を書いてくれませんか??推しカプ何です! 出来ないならそれでも大丈夫ですが