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穴倉に入ってから、まずは入れ替わったメンバーの中身の確認をしようと思ったのだが、その前にまずはルフィの後ろにケンタウロスの如くくっついていた侍の下半身を侍に返還した。
俺の足まろ…足…などとほざきよるルフィを慰めるべく肩をぽんっとすると、ルフィは顔をぱあっと明るくさせた。
「ジェイデン!!」
ぎゅむ~っと抱きつかれる。ルフィの頭を撫でる。
俺が最後に見たルフィはボロボロで、今にも壊れてしまいそうなルフィだったから、元気そうで本当に良かった。ほんとに……。
「…ぐす」
じわ、と目頭が熱くなる。ルフィが不思議そうに首を傾げた。俺は思い切りルフィを抱きしめた。
「元気そうで、ぐす、よかったぁ゛~…………うう……」
「ジ、ジェイデン?」
「2年前に助けた時のお前、すごくボロボロで、俺の事も見えてなくて……でも俺、お前を元気にさせる言葉思いつかなくて……」
涙声になっているのが自分でもわかる。だって、ずっと心配してたんだ。
俺は再びルフィの頭を撫で、ルフィのおでこにそっとキスを落とした。
「お前が幸せでいられて、笑顔を絶やさずにいられて何よりだ」
そう言うと、ルフィがぽかんとしてからいつものようににぱっと笑った。それから中身が入れ替わったメンバーの確認をしてから物事の整理に入る。
「つまり、初めから解明していくと――こいつが例のワノ国の侍なんだ。俺たちが拾った救難信号は、ボスと呼ばれるあのワニタウロスへ部下から送られた信号だった。この侍がケンタウロスたちを斬りまくったことがすべての元凶だったんだ」
「しかし、拙者は行方知れずの息子、モモの助を救うべく邪魔するものを斬ったまで、現に…見ろ。これだけの子供らがあの施設に閉じ込められていた。きっとモモの助もまだ中に!」
「うん、ここにいるのは全員じゃないよ」
「新しい子たちはまだ名前も覚えてないし…」
子供たちが不安そうにそう言った。
「だが問題は信号の後だ。何が起きた?」
「さっきの男でござる。周りの者たちが〝七武海〟と囃し立てていた」
「えーーーーっ!!! トラ男が? あいつ、七武海になったのか?」
「大体1年くらい前にな」
「拙者、あっという間に3つに斬られ……頭は施設へ、胴は置き去り、足は何やら猛獣の餌になるところ。気配を頼りに逃げ回っていると、何かにくっついたようで……」
「それがドラゴンの後頭部だよ」
「そういやあんとき、『七武海め』とか言ってたよな」
「え? 下半身でしょう? なんで喋るの?」
「うん? それもそうだな」
「ああ、あれは、屁でござる。元々拙者の特技でござる」
「子供たちの前で下品なことすんなシバくぞ」
と言いながら俺は侍をぶん殴る。
「言いながら殴るなでござる……」
侍は倒れて小さく呻いていた。
「ヨホホホホッ! しかし、頭と足の人なんて滑稽ですね。逆に私は先ほど胴だけの人にお会いしましてね」
「それ、どう考えてもコイツの胴だろう」
「えっ? あっホントだ!」
「見たのかお主! どこだ! 一体どこで拙者の胴体を!」
「研究所の前の方で……」
ブルックがそう言うと、侍は一目散に出ていてしまった。アホオブアホ。まあいいや。
そんなやり取りのよそでは、ウソップが入れ替わったメンバーのお面を作って中身に準じた面を額に貼っていった。わかりやすくなったな。