「皓 / ヒカルくん」
時間が止まってしまったように、私は 佐伯(さえき)から目を逸らすことも、息をすることもできない。
侑(ゆう)をずっと家族みたいだと思っていた。
侑も私のことをそう思っていると思っていた。
だけど侑は違うかもしれないと、私のことを好きかもしれないと思っても、佐伯に言えるはずがない。
だって、私は……。
私は佐伯のことが―――。
苦しさに視界が 滲(にじ)みそうになった。
それより先に、伸びてきた手が私を引き寄せる。
「……もういい。 答えなくていいよ」
腕の中に閉じ込められ、真上から細い呟きが落ちた。
……なんで。
なんで聞いたのはそっちなのに、遮るの。
抱きしめられたのはほんの短い間だった。
彼は回した腕を外し、私から距離を置く。
「……後で行くから、先にみんなのところに行ってて」
海に目を移す横顔は 憂(うれ)い*****
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