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月日は流れ、私は三歳を迎えた。
相変わらず毎日は賑やかで、静かな時間の方が少ないくらいだ。
そんなある日、ノクティス家全員が王宮へと招かれた。
目的は、ただ一つ。
――私の、光属性について。
広間には、王と王妃、そしてレオンハルト王子の姿もある。
大人たちは難しい顔をして向かい合い、真剣な話し合いを始めていた。
(うぅ……空気が重い……)
とはいえ、私はその輪の中心には入れない。
代わりに――
「ルクシア、こっちおいで」
そう言って手を差し出してくるのは、兄――ユリウス・ノクティス。
「だめだよ。ルクシアはボクのとなり」
すぐさま割って入るのは、レオンハルト王子だった。
(……始まった)
大人たちの話し合いが白熱する一方で、
こちらでは別の意味で静かな戦いが始まっていた。
「ルクシアは俺の妹なんだから、俺と手をつなぐに決まってるだろ」
ユリウスは胸を張ってそう言う。
「ちがうよ。ルクシアは将来、ボクのおよめさんになるんだ。だから、ボクがつなぐ」
レオンハルト王子も、まったく引く気がない。
(ちょっと待って!? 将来って何!?)
私は二人の間に立たされ、左右から手を引かれていた。
「いたっ……」
「ほら、ルクシア、こっち来いって」
「だめ。ルクシア、こっち」
(いや、私は物じゃないんですが……!)
三歳児の頭では、情報量が多すぎる。
「……二人とも」
低く、よく通る声が割って入った。
その瞬間、空気が変わる。
そこに立っていたのは、騎士団長――アルベルト・グランツ。
(……うわ)
条件反射で身構えた私とは裏腹に、
彼は困ったように小さくため息をついた。
「ルクシア様が困っておられますよ」
「……あ、ごめんねルクシア。お兄ちゃんが悪かった」
「……ごめんね。ルクシア」
二人は、驚くほど素直に手を離した。
(効き目すご……)
アルベルトはそのまま、私に視線を落とす。
「……」
じっと見つめられる。
(え、なに、処刑フラグ……?)
――と思った次の瞬間。
「……本当に、可愛らしいですね」
(……はい?)
思わず瞬きをする。
その視線は冷たさとは程遠く、
どこか柔らかく、穏やかだった。
やがて話し合いが終わり、父と母に呼ばれる。
「ルクシア。こっちへおいで。王様からお話があるそうだよ」
王様は、優しく微笑んで私を見下ろした。
「君がルクシアだね。噂は聞いているよ。
君は光属性という、特別な存在だ。何かあったら、すぐにこの王である私に言いなさい」
「あいっ!!」
元気よく返事をすると、周囲から小さな笑いが漏れた。
――私は今日も、確かに守られていた。