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りうらの腕の中で、俺の心が大きく揺れる。
甘く絡みつく鎖のような温もりが、安心を与えてくれるはずなのに…
胸の奥の何かが、強く叫んでいた。
(…..違う、、俺は…)
気づけば震える声で叫んでいた。
『まろっ…!行かないで……っ』
その瞬間、りうらの腕がぎゅっと強まる。
「だめだよ。ないくんはもう俺のものなんだから」
けれどまろは迷わず俺に駆け寄り、力強く抱きしめ返してくれた。
「ごめん、ないこ…そうだよな」
「ないこは俺の恋人だ。…..誰にも渡さない」
りうらの指先が、僅かに震えていた。
だが次の瞬間、彼は静かに息を吐き、少しだけ寂しげに微笑んだ。
「……そう。じゃあ..…大切にしてあげて」
その言葉を残し、りうらはゆっくりと手を離して消えていった。
俺はまろの胸に顔を埋め、堪えていた涙を零す。
『ごめん…っ怖くて、わからなかっただけなの』
「ええよ俺は、何度でもないこを守るから」
まろの声に、胸の奥が熱くなった。
りうらの影がまだ心に残っているのに、それを上書きするようにまろの温もりが広がっていく。
そして、俺は改めて腕の中に戻った
背中を撫でる手は優しくて、壊れそうな心を何度も繋ぎ止めてくれる。
『まろ…本当に、置いていかない?』
掠れる声で問いかけると、少し驚いたように目を見開き、そしてふっと笑った。
「当たり前やろ。俺はないこの恋人なんやずっと隣にいる」
その言葉が、心の奥に染み渡る。
りうらの執着に絡め取られて、見失いかけていたもの
本当に欲しかったのは、この人のまっすぐな想いだった。
『すきだよ。まろ』
「俺も、愛しとる」
まろそう言って、涙で濡れた俺の頬をそっと拭い、優しく唇を重ねてきた。
重なった唇は温かく、甘くて、どこまでも安心を与えてくれる。
その瞬間、心に残っていた不安も恐怖も、すべて溶けていった。
『まろ、ちゃんと俺を守って』
「守るだけやない。幸せにする」
その真っ直ぐな言葉に、俺はもう迷わなかった。