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ヘリコニア(もう少し…もう少し!)

数時間前。ルディアが星を見ていた頃と同時刻の深夜…

セルタウンの住宅内…天井にぶら下がって盗みを働こうとしているヘリコニアがいる。

が、緑色の小さいものに足をつつかれ、落ちてしまう。

ヘリコニア「ンゲッ!?」

大きい物音を立てて落下し、その家の住民がこちらへ確認してくる足音が聞こえる。

ヘリコニア(ヤベッ!!撤収!!)

窓から勢いよく飛び出し、駆け出す。


住民(結構でかい物音がしたのに、聞き間違いか…?)


ヘリコニアは夜道を歩く。

ヘリコニア(くそっ!俺の足をつついたミニミニ野郎…『ジガルデセル』のせいでもうセルタウンではコソ泥なんて無理だ!予想はしてたが…)

(やっぱここは無理だな、地続きだしタナバタ地方行くか…?)

その時…後ろから声をかけられた。

???「そのプレート、ちょうだい」

背の低く不衛生な、車椅子に乗った男の子だ。

ヘリコニアの腰に挟んでいるがんせきプレートを指さす。

ヘリコニア「あ?」

???「ちょうだい」

ヘリコニア「まず、お前は誰だよ?」

???「ちょうだい」

ヘリコニア「…なんで欲しいんだ、この板っきれが?」

???「ちょうだい」

ヘリコニア「…」

その時、男の子の後ろから毒々しい髪色をした女が歩いてくる…

????「渡したほうがいいよ、旦那。あんま拒否ってると、殺されるから。」

ヘリコニア「は!?殺される!?はっ、どうして!?それだけで!?」

???「ちょうだい」

????「この子の邪魔すんなら、この子が殺す前にアタシが殺すから。」

ヘリコニア「…」

(まあ、買ったとはいえこれは俺にチョー必要ある訳でもねえし…仕方ない、くれてやるか。)

がんせきプレートが男の子の手に渡る。

????「それ、プレートじゃん!まさか貴重なものだって覚えてたの、マツバ?」

マツバ「ほめて」

????「あ〜よくやったね!よしよし…」

マツバと呼ばれた男の子の頭を撫でている。

ヘリコニア「んでお前ら、誰だよ?」

????「あぁら。一般人なんてホントどうでもいいんだけど、プレートの礼だし教えたげる。」

ヘリコニア「一般人!?この悪党であるオレ様に一般人なんて…」

????「アタシはコデマリ。この子はマツバ。私たち『ダーティアライアンス』ってわる〜いとこの幹部なの。」

ヘリコニア(ダーティアライアンス!?悪名を聞いたことがあるぞ…裏社会の金字塔レベルじゃなかったか?)

コデマリ「ねえ、今悪党って言ったよね?あんたどんな奴?」

ヘリコニア「まぁ、泥棒とか…」

コデマリ「ショボ。」

ヘリコニア「何をう!?」

コデマリ「そーだ、せーっかくプレートくれたんだし、アタシの推薦で『ダーティアライアンス』に入れてあげるよ。」

ヘリコニア(は?俺が…あのダーティアライアンスに!?)


第5話

ポケモンとの共生


ルディア「はっ!ふん!」

大剣でカカシのようなものを切りつけている。

コブシ「おぉ〜、キレッキレだ。」

デュランタ「悪くない。」

ルディア「へへっ、本番はここからだよ!」

デュランタ「?」

ルディア「世界に──光を!」

そう唱えると、一番星の大剣に光が纏う──!

デュランタ「!?」

ルディア「ふん!」

光によって大剣がかなりの速度で振れるようになり、×型にカカシを切り付け…切断する。断面は光による焼け跡がある。

そして隣にあるカカシから距離を取り、大剣を上に掲げると、光が増し…縦に大きくなる。

ルディア「でぇい!」

そのまま剣を振り下ろすと、光が全て放たれ…『飛ぶ斬撃』となり、カカシに命中する。

コブシ「へぇっ、すご〜い…」

デュランタ「ありえない…それは”特性”なのか?」

ルディア「まずトクセーってのがなんなのか教えてよ!」

デュランタ「…それもそうだな。」

「ダーティ災害が蔓延し、以前まで頼っていたポケモンは信用ならざるものと化してしまった。そこで人類のダーティ災害…凶暴なポケモンへの対抗策という名目で『人間の象徴』が追加した理だ」

ルディア「人間の象徴?」

デュランタ「…本当に教育を受けているのか?名前の通り人間を司る象徴だ。他のポケモンと違って容姿が限りなく人間に近い。かなり胡散臭いやつだよ、セントラル島で生活してるけど何故かあいつの身辺は全く世間に流れないしね。あの自己中野郎がなんで”特性”を造ったか、僕にもさっぱりだ」

「話を戻す、特性の授かり方は人間の象徴の柄の魔法陣を書いて、中央に髪やらのDNAが入ったものを置くんだ」

「そして言い放つ、『人間の象徴よ、我に力を授けよ』とね。」

ルディア「うえ…そんなイタい人みたいなことしなくちゃなんないの?」

デュランタ「仕方ないだろう。そうしたら特性(ちから)を授かる…特性の内容は本人の深層心理を元に構築されるため人によって違い、一度授かれば変える術は無い。」

「たとえば僕の場合はこれだ…」

懐から本を取り出し、貼り付けられている青い氷に触れると…

デュランタの足元から氷が舞い上がり、手のひらの上に球状の吹雪が作り出される!

ルディア「おお〜!?」

デュランタ「これが僕の特性…『十八変化の白本(てきおうりょく)』だ。」

「触れたものに20秒間『適応』し、そのタイプの力をコピーできる。その20秒間他のものに適応することはできない」

「この空気に触れれば飛行タイプに適応し、地面に触れれば地面に適応できる。もちろん草や岩や水だって自然にはある。僕はこの特性を、攻守と機動性、応用力ともに優れた最強の能力だと認識している」

ルディア「すご〜い!」

デュランタ「でだ。君のその光を放つ力は…特性なのか?」

ルディア「え?魔法陣とか髪の毛とかのめんどくさいことはしてないし、そもそもあの光は大剣の力なんだー。」

デュランタ「大剣の?」

ルディア「うん!」

デュランタ「聞いたことがないな…前例は0というほどではないだろうが、話が本当ならとんでもなく貴重な力だ…」

「とりあえず動きもいい、その光の力がなくとも象徴選抜の参加難易度はちゃんとクリアしているだろう。光の力を加味すればオーバーなくらいだ。」

ルディア「やった〜!」

ガッツポーズをしてジャンプする。

コブシ「でも不思議だよね〜、そんな大剣があるなんて。」

ルディア「そういえばコブシも参加するんだよね?コブシって強いの?」

コブシ「まぁあんまり強くないけど、人手不足だしね。」

デュランタ「コブシをみくびらない方がいい、僕が『適応』で作った岩など簡単に破壊してしまうんだから。」

ルディア「えーっ!やっぱ強いんじゃん!?」

コブシ「大したことないんだって!」

デュランタ「ともかくこれで僕のやりたいことは終わった。家の中に戻ろう」




家に戻ったと同時に、家の扉がノックされる。皆が扉の方を向く。

コブシ「アタシが出るね!」

デュランタ「助かる。」

ドアが開き、村長ウェングの姿が見える。

会話は詳しくは聞こえない。

コブシ「はい…いえとんでもないです…ええ、そうですけど…何ですか?」

コブシ「えっ…象徴選抜が中止!?」

ルディア「!?」

デュランタ「何だって!?」

二人が焦って一斉に玄関の方に駆け寄る。

ウェング「賊が出たのです…妖の森の方に。通行路も封じられてしまい…」

デュランタ「賊…?こんな辺鄙なところにか?」

コブシ(ええー、へんぴって…まあそうなんだけど…)

ウェング「彼らから手紙が届いています…」


『悲劇ヲ生ミ出ス悪魔ドモメ

恨ミヲ返シテヤル』


ルディア「ええ…?なにこれ?仕返しってこと?この集落は悪い事をしたの?」

デュランタ「…おそらく、ダーティ災害の影響だろう」

「もともとテキオリョク部族はポケモンとの共生を大切にしていたんだ…しかし、ポケモンが居るとダーティ災害で被害が生まれると発覚した後は、集落からポケモンという存在が消え去ってしまった。いや、消し去った。」

「村長の決断なんだ。どれだけポケモンを愛していた民でも…ポケモンを逃す他なかった。こうやって不満が募るのは必然だった…」

ウェング「そうでもしなければ、暴走したポケモンに集落中を破壊されてしまう…仕方のないことじゃ。」

ルディア「…」

デュランタ「ポケモンを逃がされた人らに同情はするが、こんな事をするのは違うだろう…ポケモンと共にいても叱られない所でひっそりと暮らすなりすればいい。ダーティ災害に巻き込まれて死ぬかもしれないがな、それを覚悟できていたらこんな暴動など起こさないだろう。」

コブシ「象徴選抜、中止じゃなくて延期じゃダメなの…?」

ウェング「きっと執念の深い賊どもは長くの間粘り続けることじゃろう…来年や再来年まで象徴選抜の邪魔をされてしまうかもしれませぬ」

コブシ「そんな…」

「今は一連の騒動が起きて大変な時期なのに…妖の象徴は、きっと『天変地異』の前の伝承みたいにみんなを救ってくれるはずなのに…」

「こんなことが許されていいわけないよ…みんなの希望を奪うなんて許せない!」

デュランタ「…」

ルディア「なら、話は単純でしょ?」

「たむろしてる奴ら…全員ぶっ飛ばす!そうだよね!」

3人が「あ、やっぱそういうこと言い出すか…」という目で見つめる。

デュランタ「僕は野蛮人にはなりたくなかったが…あいにく、賛成だ。」

コブシ「そうだね、許しちゃおかない!」

ウェング「…特別に、許可を出しまする。ただし命までは奪わぬように」

デュランタ「ああ。4時間後に行く予定だったが…あいにく怒りが湧いている。今から出発するというのは…どうだ?」

ルディア「私もそうしようと思ってた!」

コブシ「賛成!」

デュランタ「よし…出発するとしようか。行動中は奇襲と敵の攻撃に気をつけること。僕が守ってやるが、完全な保証はできない」

ルディア「今朝もそんなこと言ってたね、オーケーだよ。」

デュランタ「そして、象徴選抜…今度こそ成功させたい。コブシの言った通り今は大変な時期なんだ、象徴選抜の成功のニュースを持って帰ってくれば…輩も減るかもしれないしな。」

「これは個人的な理由になるが、テキオリョクの民としてそう何度も失敗続きにさせるわけにはいかない。二百数回の失敗は去年で終いにしよう。」

コブシ「うん、絶対成功させよう!」

ルディア「よーし、象徴選抜アンド悪者ぶっ飛ばし隊…出撃!」

コブシ「オー!!」

デュランタ「…」


こうしてルディア・コブシ・デュランタの3名による、『象徴選抜』が幕を開ける──

第5話、ポケモンとの共生──END。

ザ・ファーストスターライト

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