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最高です、、!!✨️ 再開の場面でめちゃくちゃ泣きました😭✨️
とても 面白かったです 。 最終的には 物語から 目が 離せなくなってました 笑 .
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stxxx . nmmn . 本人様関係無し
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『 また、笑える日が僕に 』
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僕には、双子の兄がいると母から聞いた
その兄は今、どこで何をしているのか
分からないとも言っていた
未熟児で生まれた僕の兄は通常より成長が早く
体の大きさは小さくても、四歳の時には
その倍以上の知能を持っていたらしく
その頭脳を羨ましく思った科学者や研究者が
僕の兄を誘拐し、研究したらしい
その研究によって、兄は生きているか
死んでいるかすら分からないし
亡くなっていたとしても遺骨すら貰えない
母と父はそんな科学者や研究者達に
講義をしたが跳ね返されてしまったと聞いた
そんな話を聞いたのが十四歳
今言ったこと以外は何を思ったかなんて
もう覚えていないほどに僕な大人になった
当時十四歳で現在は二十歳で
六年もの時が経った
僕は兄に追いつけるほどではないくらいに
秀才でも優秀でも無くて、逆に頭は悪い方
だけど音楽だけはのめり込むほどに大好きで
ピアノも習って音大に進んだ
その他にも静かな場所が好きだから
市内の図書館のアルバイトもしている
本の整理も楽しいし、本を借りに来た
子供たちとのお喋りだって楽しい
大学に行きながら、バイトをして
充実した日々を送っていた
そんな日だった
図書館のカウンター当番をしていて
その時間は人が少なかったから
カウンターで新聞を読んでいた時、
その新聞に乗っていた人の顔に見覚えがあった
僕の顔と瓜二つの人がいた
その人の名前を見てみると、
よく本を借りに来ている人と同じ名前だ
僕の働いている図書館では図書カードがあって
そこには名前も記載する決まりがある
でも図書カードが無くたって
借りることは出来るから
作ってる人はそこまで多くない
だから図書カードを作ってる人は
かなりの頻度で本を借りに来てくれる人だから
カードを作ってる人の顔と名前は全て覚えてる
その中の一人の名前だった
その人の名前は[ 海龍 青 ]さん
青:なんの記事見てるんですか?
この人が海龍さん
でもいつも帽子とマスクとメガネを
つけてるから顔はよく見えない
黄:海龍さんと同姓同名の方が新聞に載っていたので少し驚いてて笑
少し戸惑いながらも
長年の対人スキルで身に付いた
笑顔を見せながら新聞を閉じようとした時
青:えー僕も見たいです!笑
僕は少し迷いながらも
さっき見ていたページを開き直して
海龍さんに手渡した
黄:僕も詳しく読んでないんですけど、どんな記事なんですか?
そう、顔と名前につられて
僕は詳しく記事の詳細を読んでいない
だから何となく聞いてみることにした
青:…科学者が新種の菌を発見したから、日本の医療レベルが格段に上がると同時に治せる病気も多くなるみたいですよ
黄:それは凄いことですね…
僕は記事の内容に圧倒されていたけれど
海龍は別の意味で驚いているような顔だった
まるで、人生の中で知られたくないものを
一番知られたくない人に知られたような
そんな顔だった
驚きと同時に恐怖や悲しみも
混じっていたように思える顔だった
けど、その奥底の感情だけは読み取れなくて
自分自身でも謎に思うほどに身震いがした
知ったらいけないものを知った気がして、
会いたかった人なのに会ったらダメな気がして
僕は何かに怯えていた
青:…あ、ごめんなさい笑
この記事面白くて読み込んじゃいました笑
黄:い、いえ…っ!大丈夫ですよ笑
怖くてもスイッチさえ入ってしまえば
嫌でも笑顔が作れるようになった
今だけは役に立ったけどね
僕には双子の弟がいた
僕は未熟児で生まれてきたのに
知能に関わる障害は全く無く
逆に知能は平均よりも遥かに高いとされた
そんな僕は当然、研究の対象となった
当時四歳の僕は既に少し難しい会話が可能で
言われたことは直ぐに覚えられるから
ギフテッドと診断された
その他にも通常はあるはずの幼児期健忘が無く
母のお腹から出たあとの記憶は全てある
けれど、同時に強いトラウマを
植え付けられているから
僕は時たま強い発作を起こす
その発作は脳が割れるような強い痛みと
死にたくなるほどの強い不安が襲ってくる
多分だけどPTSD(心的外傷後ストレス障害)
昔から医者になりたくて、研究所を抜け出して
大学に入るって決めた時から
医学部に入るって決めていた
だから色んなことを調べて
色んなことを学んだ結果の自己診断がこれ
そんな時の頼りが、たった一人の弟だった
僕の弟は未熟児でなく、普通に生まれてきて
四歳までは一緒に過ごした
けれど四歳からは一緒に過ごせなくなって
もしあの子も幼児期健忘が無かったとしたら
僕以上に強いトラウマを植え付けられている
けれど幼児期健忘が無い子供は稀だから
双子の両方に無いのは確率的にありえない
けれど心配になってしまうのが
やはり兄なのだろうか
ご飯を食べる時も、眠る瞬間も、運動中でも
研究所での訓練中も
ずっと弟のことを考えていた
「 嫌われてたら 」
「 怖がってないか 」
「 怯えてないか 」
「 泣いてないか 」
なんてことも考えたけど
「 ご飯食べてるかな 」
「 病気とか患ってないかな 」
「 怪我とかしてないかな 」
「 眠れてるのかな 」
なんてくだらないことを
考えてることの方が多かった
僕がいなくなって、きっと母さんは泣いてる
父さんだって心配しただろうな
僕があの日、もっと注意深く行動してたら
もっと周りをしっかり見ていたら
なんて後悔がずっと張り付いていて
今でも僕を離さない重りになっている
僕は誕生日を迎え、成人してからも
研究者たちに縛られ、監視され続けた
そんな中、僕は一瞬の隙を見つけけて
研究施設から抜け出して約十六年ぶりに
塀と堀の外に出た
体に当たる空気はとても気持ちよくて
笑顔は出なかったけれど、涙が出た
僕の感情は施設に縛られたせいで
通常よりも鈍くなっている
最後に笑ったのは弟と迎えた誕生日だけだ
僕はその誕生日の日に弟と散歩していて
母と父が少しだけ目を離した隙に誘拐された
その時、僕の弟は僕と繋いでいた手を
無理やり離されて、その後に突き飛ばされた
その時に抱いた感情は
この世の何よりも大切な弟を
物のように突き飛ばされたことによる怒り
けど頭は冴えていても僕の小さい体では
どうしようもなくて必死にもがいて
母や父に助けを求めても僕は捕まった
その時、僕の弟の表情は恐怖で満ち満ちていた
だから僕なそんな弟の顔を見て
『 早く逃げろ 』って叫びたかった
その叫びは弟には届かなかったけど
僕は必死に資金を貯めて大学入試を受けて
見事に一発合格
研究施設では海外の各名門大学の模試も
週二でやってたから日本の模試は楽勝だった
やっぱりアルバイトして資金を稼ぐのが
いちばん大変だった
幼少期から人と話していなかったから
正直話し方を忘れていたのもある
僕は確かに頭や運動神経は良いと思うけど
代わりに他のことが人一倍苦手だったりする
たとえば音痴とまではいかなくても
音楽は得意な方じゃないしリズム感は皆無
家事全般も苦手だから
食器は割るわ料理は焦がすわで
施設から抜け出して初めて一人暮らしした時は
本当に生きていけるか不安だった
そんな時の支えも弟だったんだ
抜け出した理由の一つは
弟と再会することだったのを思い出した
抜け出した後は色々な手続きで戸惑ったり
さっきも言った家事に追われて
考える時間がなかったけど、今はちゃんとある
だから僕は昔住んでいた地域に足を運び
昔家があった場所まで行ったけど
その家は売り家になっていて
引っ越したんだ、と分かった
それに僕らは双子だから同い歳
あっちも大学生だろうから僕と同じように
一人暮らししててもおかしくない
でも同様にアルバイトをしててもおかしくない
と思い昔の記憶を掘り起こして
どんな人だったかを思い出した
けど四歳児なんて今の雰囲気と
全然違うだろうから宛にならない
けど何となく、
落ち着いてる人間になってると直感的に思った
双子の勘、に近いものだろうか
だから静かな場所を沢山回った
場所の目安すらつかないまま
静かな場所を片っ端から回っていった
そして僕と同じ顔の人を見つけた
僕がよく本を借りに行っていた
市内の図書館だった
まさに灯台もと暗しだ
初めて見つけた時、本当に嬉しくて
死角となる場所からガン見してしまった
そんな時だった
大学で研究をしていたら新種の菌を発見して
新聞に僕の顔写真が載った
その記事を図書館で読んでいたのが僕の弟で
顔が似ていたから驚いた顔をしていた
僕も、まさか見られると思ってなくて
下手したらバレて弟に
危害が及ぶ可能性が出てきて
嫌な思い出を思い出させてしまうようで
ものすごく怖くて、久しぶりに動揺が顔に出た
その動揺の顔は明らかにバレた
だから僕は一人で悩まずに
たった一人の親友に相談することにした
青:…ってことがあってさ〜、どうしたらいいと思う?
桃:知るかよ。頑張れしか言えね
青:えー桃ちゃん冷たいな〜…
桃:[ 桃ちゃん ]言うな
この、[ 桃 ]という人間は
僕が大学に入った時に出来た
唯一の親友で友達だ
僕の過去は既に話してあるから
家族のことで話す時は桃くんに話している
桃:でも、お前の弟は青に気づいてないんだろ?
青:たぶんね
桃:なら、そんままでいいじゃんか。それが嫌なら自分から打ち明けることだな
青:…それしか、ないよねぇ…
桃:何でそんなにバレたくないんだよ。小さい頃の記憶なんて無いって
もし知ってたとしても親から聞いただけで、お前から引き離される瞬間を覚えてないだろ
青:だって僕がこんなんだから、もしかしたら覚えてるかもじゃん
桃:…なら、ソイツの大学調べて
青:え、何する気…
桃:もちろん、周辺から情報を探る。それが一番手っ取り早いじゃん?
青:もー僕の頭がいいからってさ、探偵みたいなことさせないでよ……
桃:尾行だったら俺でも出来るから頭の良さは関係ないと思うぞ
青:…まぁ調べてみるよ
最近、海龍さんが図書館に来ない
でもそろそろ返却期間すぎそうだから、
電話をすることにした
電話番号は図書カードを発行する時と、
発行しなくても本を貸す時に書く決まりがある
だから電話番号は知ってる
でもなんか、変に緊張する
黄:…あ、もしもし?
青:『 はい、どうしたんですか? 』
黄:もうすぐ本の返却期限がすぎるので電話させて頂きました!
返却期間を過ぎると五百円の罰金ですよ
青:『 あれ、もうそんなに経ってたんですか… 』
『 わかりました。来週返しに行きます 』
黄:わかりました。お待ちしております笑
では、失礼します
青:『 …あの、明日バイトが終わってからでもいいので、僕とお茶でもしませんか? 』
その声色は、珍しく緊張しているようだった
僕が初めてのバイトの時にも海龍さんはいた。
けどその時も緊張はしていなかったし、
にこやかだった
今までもそうだったのに、なんで急に
青:『 あの、…ダメ…ですかね、笑 』
黄:い、いえ!別に構いませんけど…五時は過ぎますけど大丈夫ですか…?
青:『 時間のことなら僕は大丈夫です! 』
『 大学も明日は休みなので 』
黄:では、明日の五時過ぎ頃に…どこに集まりますか?
青:僕は図書館近くの公園で本読んでますので終わったらそちらに来てください
黄:わかりました、笑
青:『 それでは 』
黄:それでは〜笑
こんな会話をして電話は終わったけど
今日の海龍さん、何となく変だった気がする
黄:…どうしたのかな…
次の日も僕は普通に仕事をしていた
いつも通り、返された本を元の場所に戻して
本が傷ついていないかなどの確認と
傷ついていたら修復できる分は修復する
今日も、海龍さんは来なかった
けどバイトが終わったら必ず会う
僕は少しだけ楽しみになって
仕事をしていた
そしてバイト終わり、集合場所の公園に行った
公園のベンチに座って本を読む様は
めちゃくちゃ頭が良さそうに見える
もしかして新種の菌を発見したの
海龍さんだったりして、なんて
青:…あ、こんばんは笑
黄:こんばんは、笑
今日はまた難しそうな本を読んでますね笑
読んでいた本は難しすぎて
僕には、どんな本かが分からないけど
何か大切そうに読んでいた
青:…これは、僕の将来の夢に関わる本です笑
黄:将来の夢、ですか…
僕の母から聞いたこと。
それは、僕の双子の兄の将来の夢
僕の兄は、幼少期に病弱だった僕を
少しでも治せるように…と言って
幼稚園児ながら医者になることを決めたらしい
将来のことも考えていた、なんて事も言ってた
でもただの幼稚園児に
そこまでの知能があったとは思えない
けど、僕の兄ならきっと
そんなことも考えていただろうな
青:…黄さん、?
体調でも悪いんですか?
黄:いえ、笑
仕事終わりは少しぼーっとしてしまう癖みたいなのがあって笑
青:もし体調が優れなかったら言ってくださいね
そう言って心配する様子は、
まるで兄のようだった
青:…行きましょうか、笑
黄:あ、はいっ!
海龍さんは、僕の手を引いた
その手は体温的には冷たかったのに
懐かしさを感じて、暖かかった
僕は海龍さんに手を触れられたのは初めてで
懐かしさなんて無いはずなのに
なんで懐かしさなんて感じるのか不思議だった
まるで、この手を握っているのが
当たり前みたいな感覚だったから
青:ここです
僕、ここのカフェオレ好きなんですよ笑
海龍さんはふわっとした笑顔で笑う
僕は兄の写真を見た事があるけど
同じようにふわっと笑ってた
まさか、ね
黄:カフェオレって美味しいですよね笑
青:ここのは絶品ですよ?笑
バイト終わりでお腹も空いてませんか?
黄:若干、笑
青:ならよかった。
ここ、サンドイッチもめちゃくちゃ美味しいんです笑
黄:そんなに紹介するのやめてください、笑
かなりお腹すいていっぱい食べちゃいそうなので笑
青:料金は僕が持つので、好きなだけ食べたりしてください笑
黄:えぇ、っ?!
青:さっ、入りますよ!
僕が「 払いますよ 」なんて言う前に
手を引いてお店に入る
まさに強行突破
青:…どうですか?笑
ここのサンドイッチとカフェオレ、美味しいでしょう?笑
黄:美味しすぎていくらでも食べられそうです、笑
本当に、ここのサンドイッチもカフェオレも
絶品すぎて全然お腹いっぱいにならない
ちゃんと昼ごはんも食べたし、
元々たくさん食べる方じゃないはずなのに…
本当に不思議。
青:そんなに喜んでもらえたなら、紹介した甲斐がありました、笑
ここ、僕の友達が経営してるお店で「まだ開店したばっかりだから、お客さん連れてきて」って言われてたんですけど、気に入って頂けましたか?笑
黄:めちゃくちゃ気に入りました、笑
今度、僕の友達にも紹介してみます!笑
青:それはここの経営者も喜ぶでしょうね笑
あ、こんなに呑気に会話してるけど
海龍さんは僕に話があるんだっけ
なんか、聞きたいような聞きなくないような
曖昧で中途半端で複雑な気持ち
僕は、知りたい…のかな。
黄:…あの、…
僕は思いきって
僕の方から聞いてみることにした
このまま「 また今度話します 」とか
そんなの絶対嫌だから
なんで嫌なのかは、
自分自身でも分かんないけど。
青:はい、?どうしました?
黄:…っ、今日の…用件って…?
青:…今日の用事は、僕と黄さんの年齢って近そうなので普通にお友達になりたくて笑
だからカフェを宣伝するついでに、誘ってみたんです笑
海龍さんはいつも通り笑って話すのに
どこか胡散臭いというか、建前な気がして
胸からざわめきが途切れず
ノイズのようなものが送られてくる
踏み込みたいけど、踏み込む勇気なんて
僕にあるわけない
こんなとき、母さんから聞いた
僕の兄さんならきっと踏み込むんだろうな
双子でも兄よりも劣ってる劣等生
でも母さんと父さんは僕のことを愛してくれて
いなくなった兄さんのことをずっと探し続けて
僕の兄さんの写真を玄関に飾って
毎日その写真の前で手を合わせて願って
そんな母さんと父さんの姿が
とても優しくて強い人に見えて。
そんな二人の血を受け継いだ兄さんだから
踏み込むことが出来るんだろうな、なんて
そんなくだらないことを思ってる
僕はそんな強い兄さんの弟。
だから踏み込む勇気を
無理やり引き出してみせる
黄:…っ、確証は…ないんですけど、…
さっきの話、…事実も混じってますけど…嘘を混じってますよね…?
恐る恐る聞いた
怒鳴られるのも、
『 もう会わない 』って言われるのも
別に深い関わりは無いはずのに何故か怖くて
何より、この人を傷つけてしまったり
追い詰めてしまうのが怖かった
青:僕の嘘は…通用しないんですか?笑
それとも図書館で働いてるから人を見て、そういう勘が育つんですか?
黄:いえ…僕は鈍感な方なので、これは…なんでしょう。何かの縁の勘、ですかね
海龍さんとは、前にも会ったことがある気がするんです
青:それを使った勘ってわけですか、笑
正直びっくりです…笑
海龍さんは、びっくりもしていたけど
諦めたかのように目を伏せて笑っていた
とても大人に見えると同時に
何処からか子供がかくれんぼをして
見つけてもらったかのように
無邪気に笑っているようにも感じた
まぁ、僕の目がおかしいんだろうけど
青:先程、黄さんが言ったことは事実に変わりありません
僕がさっき話したことは事実でもあり、嘘でもあります
黄:…な、んで…ですか、?
どうして…嘘をつく理由があったんですか…
僕はこんな時に人の顔が見られなくて
俯いて泣きそうな顔で震えた声で問いかけた
さっきは勇気をだして一歩前進したのに
今の言葉で一歩後退したような気がした
本当に情けないとは思ってる
青:…土壇場になって、真実を話すのと訊くのが怖くなってしまったんです
けど、このお店を紹介したかったのは嘘じゃないですから!!
黄:…っ、ふふッ笑
さっきまで怖さと怒りのような感情で
泣きそうなほどぐちゃぐちゃだったのに
あまりの必死さで笑ってしまった
土壇場で怖くなって、嘘ついて誤魔化して
本当のこと話して焦り過ぎて別のこと話し出す
って僕のお父さんみたいで面白い
お母さんは、
「 あの子もきっとその血を受け継いでる 」
って笑ってたっけ
黄:…あれ、…
青:…?
海龍さんと一緒にいると、
いつだって母と父が話してくれた
僕の兄のことを思い出す
もしかして、海龍は僕の兄さんを知ってて
仲良くして癖とかが移って思い出すのかな
それとも、本当に…青さんが?
青:何か、ハッとした顔をしてますね
一時間後に雨が降るのを思い出して洗濯物を取り込むのを忘れちゃいましたか?
黄:天気…?
前にお母さんが
あの子は天気に敏感だったって言ってた
雨なんかはニュースよりも当ててた…って
黄:…青、さんは…今日、どうして僕を…?
青:…言おうか、迷っ…てた、んだけど…
青さんは泣き出した
まだ自分の気持ちに
収拾がつかない子供のように泣き出した
青:…黄、さんには…お兄さんがいた…
そう言い放った青さんの唇や息は震えていた
誰がどう見ても怖がってるようにしか
見えないと思う
というかこの話の振り方はきっと
青さんが僕の兄の何らかの関係者か
本人である可能性が高くなった
黄:…双子の…兄、がいました…
青:…やっぱり、かぁ…笑
さっきまでは怖がるように震わしていた
唇や息が急に止まって
青さん自身が嬉しそうにし始めた
〔 やっと終わったんだ 〕
みたいな感じの表情に見える
青:信じられないかもしれない。なんなら信じなくてもいい
…僕は、黄さ…黄くん、!君の双子の兄だよ
納得した
今まで青さんに着いて穴のあった部分が
埋め合わせられたように
スッキリした気持ちと気分になった
青:僕の本名は〔 海龍 青 〕なんかじゃなくて〔 葉月 青 〕黄くんと同じ苗字のはず
黄:はい。僕と、同じ…苗字、です…
青さんも半泣き状態だけど、
僕も涙が出てきた
僕は兄が恋しかった
強がっていても、周りにどう取り繕っても
内心は兄が恋しくて、連れ去られたことが
悲しくて怖くて仕方なかった
『 お前が怖がってどうするんだ 』
なんて言われるのも怖くて一時期、
[ 兄 ]という存在を忘れようとしたけど
忘れられなくて母も父も兄が好きで
兄の記憶なんてないのに僕は兄が大好きで
忘れることなんて絶対できなくて
青:…よかっ、た…やっぱ黄さんだった…
この安心してる顔を見て、僕も安心して
忘れなくてよかったって心底思えて
この〔 一瞬 〕が無意識のうちに
僕自身がどれほど望んだ未来だったのか
少しだけ自分でもわかった気がした
だって
青:…会えたんだ、ッ゙…ようやく、会えてッ…
この表情を見て感情がぐしゃぐしゃになって
泣き喚きそうになるんだもん
『 会いたかった 』『 寂しかった 』
『 嬉しい 』『 楽しい 』『 一緒に笑いたい 』
支離滅裂で意味わからない言葉が
ずっと頭の中で回ってる
青:会えてよかった。気づけてよかった。
僕は、黄くんをずっと探してたよ
手を離してしまった、あの時からずっと。
黄:…っ、僕もきっと…青さ、ッ…青、にぃを探して、ッ゙…やっ、と…会えて…あん、まり、…覚えてッ…ないけど、ッ゙…
でもッ゙…!ちゃんと、知ってるよ゙…知っ、て…るッ…
止めたくても止まらない涙を流して
拙い言葉、ままならない呼吸で
必死に僕の思いを伝える
泣いてるし、過呼吸気味で
脳に酸素があんまり回ってないから
頭の中はさっき以上にぐちゃぐちゃだと思う
それでも伝えたいことは沢山あって
黄:…それで、ッ…それ、で…っ…
青:…ありがとう、笑
僕らが最後に会ったのは小さい頃だったから、もう忘れられてると思ってたけど…あんまり覚えてなくても、ちゃんと僕のこと知ってくれてたんだ笑
目じりに溜めた涙を拭いながら笑った
実家の玄関に置いてあった写真と同じように
笑ってるのに笑顔の輝きは
今の方がかなり輝くように笑ってる
その顔を見たら僕も笑顔が出てきて
泣き笑いみたいになってしまった
そんな僕の涙を僕の優しい兄は
青:やっぱり笑った顔が一番似合ってるよ笑
そんなイケメンゼリフを言って微笑みながら
そっと拭ってくれる
でも僕は意地悪だから
黄:…それを言うなら、青…にぃも、笑った方がいいですよ、笑
新聞の顔とかムスッてしてて怖いですし笑
少しだけイジる
青:なぁ、ッ…!仕方ないじゃん!
色々と緊張してたんだから!!
イジった時の反応はお父さんそっくり
黄:ふ、ッ…笑、あははっ笑
だいぶ面白くて笑いが堪えられない
こんな一瞬を後の一生で過ごせるように
神様は一旦僕らを引き離したんだ
そう思いながらまた会う明日を見て
その日は解散した
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色々ありすぎてあんまり寝付けなくて
起きたのは、なんと昼の十二時だった
スマホのロック画面を見ると
心配性の兄から連絡が来ていて
少しだけ笑みがこぼれた
黄:ほんと、心配性なんですから…笑
なんて呟きながら返信していつも通り
午後二時からあるバイトの準備を始めた
あ、でも、いつも通りって訳じゃないかも
まぁでも、今が幸せならなんでもいいや
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いつも暗かった朝が弟の存在が
ちゃんと確認できるだけで
こんなに明るいものだとは思わなかった
ベッドから降りてカーテンを開けると
明るい太陽光が部屋を暖かく包む
前までは『 暖かい 』なんて感じなかったし
こんなので笑みがこぼれたりしなかったのに
今は何をしたって笑顔でいられる気がする
昨日話してても思ったけど、
黄くんは鈴を転がすようによく笑う
鈴のような音の笑い声は可愛くて、優しくて
僕の心の氷を溶かすようだった
僕はもう心から笑える瞬間なんて
無いと思って生活してきてたけど
青:そんなこと無かったな〜っ笑
軽く体を伸ばしながら
独り言にしては少し大きめにつぶやく
だって僕はもう独りじゃない
《 ピコンッ♪ 》
青:あ!黄くんから返事きた!
何よりも大切な弟がいる
それだけで僕の心はあったかいんだ
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『 また、笑える日が僕に 』
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初めてまともなノベルの方で
いっぱい書いたかもしれない
大変だったけど良い経験になりました✌🏻
お気に入りですし、時間もかなりかかったので
沢山読んでもらえると嬉しいです🥺💓
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最後の方は眠気と戦いながら書いたので
誤字脱字とか酷いかもです
すみません🙇🏻♀️🙇🏻♀️
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