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『昔、魔女という存在が不確かだった時、魔女狩りが行われておりました。
それはヨーロッパの小さな集落で人々を病から救いたいという薬学に詳しい老婆が鷲鼻を聞かせて最高で絶妙なスパイスやハーブを調合し、ログハウスの自然の木製の古屋の煙突では月白色の煙が立ち狼煙の如く上がるは勿忘草入色の暁の空から、黒猫だって月影に恥じて身を隠してしまう程、隣に立てば劣勢を感じられずにいられない艶美な三日月に濡羽色の夜のカーテンが燦爛した星屑を揺らして、疾風が吹き飛べば超の鱗粉の如く煌めく姿は観天喜地。
人々は春夏秋冬、忙しなく誰かの為にと薬学を駆使した知識を駆使して人々に日々笑顔と、元気を振り撒く老婆に感謝をしていたが、とある日にそれは地獄へと変わった。
そう、魔女狩りである。
魔女狩りは彼女が人の命を救うならその逆も出来るのではと勘ぐった城の物が捉えに彼女の店まで訪問し、皮肉にも薬を作る為の煙突の下にある鍋釜へと老婆をぶち込んだ。
始まる魔女狩りは何人もの無実な魔女、そして人間物命を奪い、それもあっては人はとある日のトルネードを界に、魔女は全て狩り尽くしたと認識し、何事も無いかの如く、昔の日常へと戻った。
──ただ、一人、私を残してな。』
『流石です!イデア様!!』
『ふふっ、お前を作るのに、成功するのは大変だったが、魔女として、生きるのはやっぱり一人じゃ寂しいからな。…先程、産まれたばかりだが、気分はどうだ?』
『……気分は、寂しいですね。』
『だろうな。嗚呼、お前は今日から、クロウと名付けるよ。お前は鴉と人間のハーフだからね。私がお前を作る為に鍋に何匹物生きた鴉を入れたかは知らない方が良いが……私はね、お前が産まれてくれて凄く嬉しいんだ。魔女狩りでも、親も、友も無くして、独りぼっちで……命からがらで森の奥にある屋敷から、遥々人々に邪魔されぬ様、馬や、狼等が済む山の頂点に引っ越したんだ。…これから、二人、…いや、もっと仲間を増やしてひっそりと…此処では誰にも邪魔されない様に楽しく暮らそう。…でも、一緒に暮らすからには生活は手助けして……お前には最初に授ける魔法とかも、何にしようか……嗚呼、プレゼントだ。渡さねば』
『はい、なんでしょうか?』
室内はどうやら廃墟と化したお城が灰色の煉瓦を積み重ねて作られた食堂に、絢爛華麗なシャンデリアの上にはピクシーが飛び交っており、魔女イデアは漆黒のとんがり帽子に、サラついた素材のパーカーローブに、スリット入りのローブを着た状態にて、長い木製テーブルにソファが向かい合わせに設置されてる片側に腰を掛けていたが、クロウがいる反対側へと足を寄せて、跪いてクロウの首に掛けるはエメラルドの宝石がついたネックレスにて。
『この碧のネックレスはお前を何からも守ってくれる。魔法等最初は使えないだろうから、私からの細やかなプレゼントだ。』
『イデア様……有難うございます。大切に…致します』
『ふふっ。…それじゃ、先ずは部屋の掃除から、一緒に薬草を摘んだり、薬を作ったり…やる事は山積みだ』
それから、イデアは自分が作った鴉と人間のハーフのクロウと行動を共にする事になった。
クロウは普段は人間の姿で、銀色のセミロングの髪にエメラルドの瞳に、誰もが羨む様な陶器の様に白い肌の12歳ぐらいの男の子である。
ワイシャツに赤ワインのネクタイにエメラルドのネックレスを揺らし、漆黒のベストに半ズボン、膝下の靴下にローファーを履いて、城の彼方へ此方へと雛鳥が親の背をおうかの如く、箒と塵取りを持ちながら白中を歩いた。
城は全てで4階と地下室まであり、クロウとイデアは一階から4階まで埃を取り、ふと、クロウは気になった事を口にした。
『イデア様は……声に深みがある割に見た目がお若いのですね』
『……ふふっ、若さか。こう見えて664歳だって言ったら信じるか?』
『……う?!嘘ですよね?』
『本当さ。若さの秘訣でも、教えようか?』
『………本当ならば』
すると、イデアは指を弾いた刹那、玲瓏なる華燭の光が広がった後、腕にはバケツを持ち花弁いっぱいに薔薇を持つなり、クロウを手招きしては風呂場へと向かい、お湯一面に薔薇の花弁を巻く。
『若さとやらは薔薇の花弁を常に身に纏う事。花筏に身を浸かり、湯を嗜んだ後は寝る前は季節に因んだ華のエキスのみを身に纏い、床につき、朝は摘み取ったばかりの木の実やハーブから口にし、常に美しい言葉を口にするんだ。』
『はい……。常に…』
『そう難しくは無い。試しに花筏につかるか?』
クロウは頷き、脱衣所にて裸体になれば風呂場の薔薇に敷き詰められた花筏を身をつかる。
『お前の白い肌に花弁はとてもよく似合う。………嗚呼、なんて愛しいのか』
そう口にすればイデアはクロウの額に我が子の如く口付けを灯す。
此の幸せがずっと続く様に。永遠の甘い呪いを掛けながら、双眸を瞑ると、クロウはイデアに花咲む。
戦争紛いな魔女狩りから唯一の友はイデアにとってはクロウ故、たった一回の微笑みも幸せも全て囲いこのままを永遠に過ごしたい物である。
湯を掛け、暫くしてクロウは堪能しきったか風呂から出て薔薇のエキスを首に纏い、イデアと共にベッドにつく。
彼等の御伽噺がどうなるかは、ピクシーの乱舞も、歴史の教科書も、今はまだプリエから、ダンジュへと足先が向かった程の静かな物故、これから先の羽ペンは貴方達に委ねてもらおう。