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家を飛び出した後、どうやって家に帰ったのかわからない。
気づいたら朝が来て、学校に向かっていた。不良仲間からのLINEにも返信する気はなかった。
私には母がいるのに。父が知らない女と再婚するとか。相手は不倫してたりしないのか。
醜い心を持った私への当然の報いなのだろう。でも、このネガティブな心から解放される糸口すらない。
そもそもグレて、先生を困らせて、みんなに嫌な思いをさせている私が悪いのだから仕方がないだろう。でも、もうちょっと良い環境に生まれたらな。そんなことを思ってしまう自分が大っ嫌い。なんで周りのせいにしちゃうんだろ。
そもそも父がキャバ通いして酔っ払ったりしなければ、、
私がもう少し普通の家庭に生まれていれば、、
なんとなくスマホに目を向ける。「今日もタバコ買いに行こうぜ」そういう内容が目に入ってくる。言葉は理解できるのに、頭に入ってこない。
本音と建前の争い。
もう嫌だよこんな環境。いっそ生まれ変われたら
紬ってヤンキーで強いんじゃなかったの?
でもそんなこと
いいんだ。私は強いから。
こんなこと考えているなんて私、情けない情けない情けない情けない、、!苦しい、、!
憂鬱な気分で電車を降りようとしたその時、私は見てしまった。
背が高くて、グレーのかかった綺麗なショートヘア。爽やかな雰囲気。全てを包み込んでくれそうな優しい笑顔。顔のパーツひとつひとつが整っていて、綺麗な顔立ちをしている。ああこれが、モテるイケメンなんだ。そう思った。もしこの人と付き合えたら、、なんて一瞬思ったけどすぐに諦めた。確かに彼みたいな人と付き合えたら私の人生は変わるかもしれない。普通の女子高生になれるかもしれない。でも_______私なんかと釣り合うわけがない。こんな素敵な人。
複雑な感情で歩き始めたら後ろから声がした。
「どうやって学校に行くんだっけ?」
チャンスだ。って思った。彼と目を合わせて、何も言わずに視線でついてこい、と伝えた。前をつかつかと歩いていく私と後ろについてくる彼。話そうと思っても話せない。
私って天邪鬼な性格だ。
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▶︎栖衣part