mtk side
フードを深く被って重いリュックを背負って夜道を歩く。
早く家に帰ってお風呂に入りたい。
もしかしたらこのパーカーも替え時なのかな…。
靴はだいぶ染まっているけど、まだバレない範囲だろう。
そして大きな家の前を通った時に小さなガラスの割れる音が聞こえてそちらに目を向けた。
…空き巣かな。
あの人も全身黒くて大きなカバンを持っている。
大きな窓が割れているから確定かな。
m「こんばんは、まだ朝と夜は寒いですよね」
h「…そうですね」
警戒されているな…。
僕も君と同じ“犯罪者”だってことを共有しなきゃね。
そう思い知らない誰かの敷地内へと入っていく。
そんな僕の行動にさぞ驚いたんだろう。
目で逃げ道を確認しながら後退りしている。
夜中だしバレてはいけない存在なのだからあまり大きな声は出せない。
だから最小限、声を抑えて伝える。
m「僕は今さっき人を殺してきた。…このリュックに凶器があるし、あ。現場戻る?笑」
そう笑って見せるとちょっと顔が歪む。
…空き巣より殺人の方がよっぽど良いだろうに。
生きている間に大切なものが盗まれるより、大切な人と死ぬ方がマシだろう。
m「…残念ながら君とはご縁がなかったようだね…それじゃ、また会えると良いね。」
初めて同業者と会ったが、まぁ二人より一人の方が動きやすいしどうでもいいか。
それに顔だってお互い見えていない…
いや、僕の方へ月明かりが当たっていたから相手は見えていたのかもしれないな。
好きなアイドルの歌を鼻歌で歌いながら家へ帰った。
そうだ、今度のライブはこっちへ来るんだっけ?
一般チケットは明後日開始かぁ。
初めてだけど、一人で行ってみようかな?
ポケットから鍵を出して家の中へ入った。
hlt side
この前、初めて殺人犯に会った。
なんて言うか、顔は綺麗なのに発言が怖くてこれが殺人犯の本性なのかなって思った。
ニュースを見ていると近所で殺人事件があったみたいだ。
もしかして、昨日会った人とか…?
可能性はゼロではない。
そうだ、この間あまり稼げなかったからまた家に入ろうかな…。
今度はアパートでも狙ってみるか。
深夜3時。
いろいろあって出るのが遅れてしまった。
黒いパーカーに大きめの鞄を持って。
適当にほっつき歩いて電気がついていない、一室を狙って歩く。
すると結構、高そうなアパートを見つけた。
どの部屋も電気はついていない。
そして一つ一つの部屋のドアノブ手に取り引く。
ガチャン、と大きな音を立てて数秒待つ。
それでも出てこなかったら狙いを定める。
普通怖くて出てこないことが大半だが、大抵何かしら中から音が聞こえる。
有難いことに、俺は地獄耳だから小さな音でも聞こえてしまう。
そして全部回って唯一 音のしなかった203号室。
階段を降り、裏に回って小さな鉄格子のついた窓へと登る。
そして、一度窓を開けようと手をかけた瞬間にその窓は開かれた。
しまった、と思い後ろへ身を引くと2階から落ちそうになる。
すると家主が手を引っ張ってくれて二人で家の中へ倒れ込む。
ドン、と大きな音を立てて家主は背中を強く打ってしまった。
いやそれより早く逃げなければ、と助けてくれたことも忘れて玄関まで向かった。
ドアノブを回す。
開かない。
鍵を開けようと手をかけた瞬間、上から家主の手が重ねられて扉へと体を縫い付けられる。
あれ、どこかで見たことあるような…。
m「空き巣?悪い子だねぇ…君の大切な人は?」
間違いない。
この声、この顔、完全に月明かりに照らされたあいつと一致する。
それと同時に恐怖心が来て動けないし喋らないでいるとどこから出したのか、血がついたナイフを出してきた。
m「早く答えなよ。このままじゃ独りで死ぬことになるよ」
h「っ…あの日の、殺人鬼さんですよねっ…?」
震える声で問いかける。
答えなきゃ殺させるかもしれないのに。
m「ごめんね、昔のことはあまり覚えていなくって」
h「俺が空き巣で出てきた時に、声をかけてきた…」
m「あー…もしかして、君なの?笑」
血つきのナイフを下ろして、俺への拘束は解かれる。
その凶器じみた笑顔が心底からの恐怖を教えてくれる。
m「…また、会えたね。お互いをテレビで見なくて済んだんだ…」
m「きっとこれも一つの運命なんじゃ?ならさ一緒に住もうよ、共同作業ではないよ?お互い好きな時間を過ごすだけの部屋。」
そして、俺は答える間もなく気づけば俺の家に着いていた。
いや正しく言えば怖くて住所を教えて連れていってくれたってところか。
そして数日は俺の家でお互い過ごして、不動産屋で家を見つけて引っ越した。
数日間、お互い殺人も空き巣もしていなかったからだいぶ手こずっていた。
いつもなら俺は2時間、あいつは4時間くらいで終わるのに俺は3時間であいつは6時間。
お互い一つの仕事が大きすぎてリビングで雑魚寝していた。
せっかく買ったベッドがもったいないな。
m「今度、ライブ行くことになった。だから2日いないからバレないようによろしくね」
h「はいはい、今更警察が来るわけないでしょ」
数週間共にしたこいつの名前も知らなければ、ライブを見にいくアーティストも分からない。
そう言えば、あいつの部屋って一回も行ったことがないな。
俺の部屋は何度か入ってきているから。
この際、入ってしまおうか。
そして、数ヶ月後にあいつが家を出ていった時にあいつの部屋に入ってみた。
するとそこにはたくさんの…
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飽きっぽい性格なので新しいの作ってしまった。
気が向いたら続き出すかもだし、終わりかもしれないし。
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