上位存在やってるymが見たかっただけですすみません
文才なんかありません。
案の定駄文。駄文。
cpはどこかに記載してます。
主はにわかです。解釈違いがあると思います。
※ご本人様には関係ありません。
暴力・流血表現有り
吸血鬼ym×狼男ty
暗い夜道の先。血を引き摺って出来た赤い道の突き当たり。路地裏に潜む一つの気配に、赤と黒を纏う影が近づいた。
ギロリ。血を彷彿とさせる朱殷の瞳が影を睨みつける。それにも億さず彼に迫ったそれは、おぞましい影の中の、これまた綺麗な柘榴石を細めると、心底愉快そうに嗤った。
「あら、そんなんになっちゃって可哀想に。先週あんなに警告しておいたってのに、素直に頷かないから痛い目に遭うんだよ」
嘲笑混じりに口にすると、ぎりりと苛立たしげに歯を食いしばる彼を見て、肩を震わせながらくつくつと笑う。
「…今更何の用ですか。ただ僕を嘲笑うために来たのであれば、今すぐ失せろ。心底不愉快だ」
影が渦巻き、ぼやけた輪郭がより鮮明になっていく。辺りを照らす柔い月光が、それの肌の白さをより際立たせていた。やがて若い男の形をとったそれは、しゃがみこみ、未だ警戒心を解こうとしない彼の頬に手をそえた。
「つれないなぁ。そんな事言わないでよ、剣持さん」
剣持さん、と呼ばれた彼は、狼のような尻尾を逆立たせ、その鋭い歯を剥き出しにして唸る。
「あはっ、怖い怖い」
ぱっと手を離すと、男は頬を緩める。開いた口からは、赤い舌と尖った牙が見えていた。
依然として軽薄な態度を崩さない男に、剣持は不快感を顕にしながら後退る。腐れ縁とはいえ、そこそこ付き合いの長いはずの剣持でも、この男の考えていることを正確に読み取れたことは一度だってなかった。
男の名を夢追翔。ふらりと目の前に現れては、心にも無い同情を吐き、蔑み嗤い、過度に触れてきたかと思えば、神経を逆撫でするような愚弄を贈って、また唐突に目の前から消える。そんな奴だ。
今だって、後退った分の距離を詰め、不思議そうに剣持の身体を凝視したかと思えば、また不気味に笑みを深めていた。
「剣持さんって、ほんと可愛いよね」
「…..は?」
「え、何その顔。そのまんまの意味だよ?」
やはりこいつのことは分からない。
背筋に嫌なものを感じ、剣持は再び後退る。否、後退ろうとした。とん、と背中に軽い衝撃。背後を壁に阻まれて、これ以上距離をとることが出来ない。
しくじった、と剣持は顔を顰めた。
「あーあー、またそうやって逃げようとしちゃってさぁ」
先程とは打って変わってつまらなそうな、不満気な顔をすると、夢追は立ち上がって剣持を見下ろした。
「哀れだねぇ、希少種と謳われる狼男もそんなもん?こうなるんだったら…」
腰を曲げて顔を近づけると、剣持の顎を掴み、無理矢理目を合わせる。
「早めに鎖で繋いでおくべきかな」
ぞわっと悪寒がはしる感覚に、剣持は鞘に収めていた刀身を抜き、目にも止まらぬ速さで夢追に斬り掛かる。が、その一太刀を事も無げに交わした夢追は、剣持を見て不思議そうに首を傾げた。
「…..わかんないんだよね、ずっと。
強いやつの下につくのってそんなに嫌?弱くて愚かな人間が僕らの眷属になりたがるのと同じもんじゃないの?」
憤りを隠すこともなく、目を剥く剣持は、低い声色で言葉を放った。
「…まるで、僕が愚かな弱者だとでも言いたげですね」
「え、だってそうじゃん?」
剣持の言葉をものともせず、夢追はからからと無垢に笑った。
「この場において、強者と弱者の区別もつかないほど、剣持さんも馬鹿じゃないでしょうに」
それを聞き、剣持はぐっと言葉に詰まる。言い返したくない訳では無い。ただ、今の状況は露骨な程に剣持と夢追の実力差を示していた。
ふい、と顔を逸らした剣持は、意趣返しのように小さく呟いた。
「お前だって、繋がれる側だったくせに」
しんとした、一瞬の静寂。たった一瞬のそれの中に、次の瞬間には聞くに絶えないノイズが混じって、場を支配した。
唐突な腹部への衝撃と、皮膚を焼かれるような痛みに、利口な剣持はすぐに悟ってしまう。
本当の意味でしくじったのだ。
剣持よりも高い位置にある夢追の顔。そこに綺麗に収まっている切れ長の目は見開かれ、爛々と輝く柘榴石の瞳は、瞳孔が開ききっている。
落ち着く暇もなく鈍い音を立てて、また腹を蹴られる。何度も。何度も。何度も。
後ろは壁だ。吹き飛ぶことの出来ない剣持の体は、直にそれを受け止めるしかない。
体内からせり上がってきたものを堪える間もなく吐き出せば、地面と服が真っ赤に汚れた。かくかくと震えてやまない体は、もうとっくに言うことを聞かなくなっている。
それがどれほど続いた後か、どれほど時間が経ったのか。前後不覚になるほど弱りきった剣持を見て、夢追は漸く動きを止めた。
「…….覚えておいた方がいいよ。自分がどれくらい愚かで弱いのかくらいは」
何も分からないままに殺されたくはないだろ。
夢追は、先程の暴力の雨で脱力しきった剣持にそう投げかける。剣持はその意味こそ理解すれど、言葉を返す程の体力を持ち合わせてはいなかった。
「ねえ、聞いてんの?」
「…ぁ…、ぎ、ぃ…っ、!?」
それが不満だったのだろう。ぐり、と夢追の靴が、剣持の脚を踏みつける。
そこからじわじわと血が滲む様子を見るに、夢追に会う前に脚に怪我をしていたらしかった。
だが、それですら関係も興味もないと言いたげに、夢追はその一点をぐりぐりと踏みつけ、虐め続ける。
「ゎ、か…っ”た…ぃ”、わかっ、た…..から…..っ”」
痛みに悶える剣持の必死な声に、夢追はようやっと溜飲を下げたようだった。
「うんうん、そうよね。剣持さんなら分かってくれるって夢追は信じてたよ」
ぱあっと顔を明るくすると、夢追は剣持を優しく抱きしめる。先程の行為が嘘だったかのように、頭を撫で、背中をさすり、額にキスを送った。
ぶわりと逆立つ剣持の尻尾を見て見ぬフリしながら、愉しそうな声をあげると、剣持を横抱きにして持ち上げる。
「っなに、して」
「今からホテル行くんだけど?」
「…は?正気か?」
「うん。えっちしよ」
それだけ言うと、さも当たり前であるかのように、剣持を抱えたまま夢追は歩き出す。
…正気か?こいつは。
剣持はそう思考しかけて、やめた。もとより夢追がまともな発言をしたことなんてないのだ。その発言の倫理観やら、それが常識的かなんて考えるだけ無駄である。
考えるよりも先に体を動かし、どうにか夢追の腕から抜け出せないかと、打開策を模索する。ただただ無抵抗にその身を暴かれ、汚されるなど、許容できるはずもなかった。
「剣持さんはさぁ、何色が好き?」
「…は?」
細い体躯のどこにそんな力があるのか、ビクともしない夢追に剣持が苦戦していれば、唐突に頭上から声が降ってくる。
「いや、俺的には黒とかいいなーって思うんだけど、どう?」
「どうって…何の話を…」
「あ、でもやっぱり赤かな。だってほら」
前を向いていた夢追の顔が、剣持に向けられる。細められた赤い瞳は剣持の瞳、ではなく。それよりも下。その視線は、剣持の首へと注がれていた。嫌な予感が背を伝い。
「赤い首輪、剣持さんの白い首によく似合いそうでしょ?」
する、と剣持の背中を支えていた夢追の手が首をなぞる。
ひゅ、と息が詰まった。心臓は早鐘を打ち、生存本能は体を震わせる。
剣持は、そんなこと許すはずもない。受け入れるはずもない。だが、目の前の男にとっては、剣持の意志などどうだっていいのだ。そして、実際に剣持の抵抗を軽くいなせる程の力だってある。本気になれば、いつでも…。
「んふふっ」
剣持の胸の内が読めたのか、夢追は愛おしげに笑い声を零す。
「冗談、冗談。安心して?」
泣き続ける赤子をあやす様に、剣持の体を優しく揺らした夢追は、やはり優しげな声で剣持に語りかけた。
「今はしないよ。あたしとしては自由奔放な剣持さんも好きだし。だから、剣持さんがその気になってくれたら、ね。俺もそう望んでもらえるように頑張るから、期待してて?」
優しい声色で、剣持を奈落に突き落とす。
何をどう頑張るのかが不透明な分、どうにも安心などできず、先程と同じ感情を感じざるを得ない。そうして剣持は固く拳を握りしめた。何が首輪だ、何が期待だ。舐め腐りやがって。
全てこいつの掌の上。それがどうにも屈辱的で、顔を顰めることしか出来ない。
ふと、甘ったるい香りが鼻腔をくすぐった。
何処か嗅いだことのあるような香り。何だろうか、そう疑問に思ってもう一度息を吸うと、ほのかに酔いのような、頭がくらくらとした感覚。
これはまずい、そう気づいた時には既に手遅れで。段々と体に力が入らなくなり、ぐわりと視界が揺らいだ。
「…ああ、抵抗せず寝てなよ。ちゃんと運んであげるからさ。ほら、出血しすぎて眠いでしょ?」
この眠気はお前のせいだろう、と声を荒らげたくなったが、生憎抵抗力が落ちている上、夢追の魔術にかかりかけている剣持にそうするだけの体力も気力も残ってはいない。
落ちかけの意識を繋ぎ止めて最後にどうにか、がりっ、と夢追の腕に鋭い爪を立てて微かな傷を付けると、耐えきれずにその瞼を落とした。
ブラックアウト寸前の視界に、憎たらしい笑みを浮かべたそいつしか映っていなかったことを心底嫌悪しながら。
コメント
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強いやつがキレるところ書きたかっただけなので、その後の文章は若干蛇足。切るか迷った、