テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
善は急げと、高間さんも協力してくれて、私と父の三人で新作ケーキ作りに取り掛かる。
高間さんは自分の仕事が終わってからうちのお店に通ってくれて、父と二人、あれこれアイデアを出し合いながら話題性の出るケーキを考えて試作にも付き合ってくれていた。
何十回もの失敗を重ねつつも出来上がったのは、【ルミエール】という、“光”をテーマにしたケーキ。
ルミエールはフランス語で光のことで、今の暗い状況でも光を見つけたい、という想いを込めて父が考案した。
透明感のある柑橘のグラサージュが宝石のように光輝き、トップには細いホワイトチョコの光の筋、中心には淡い黄色に輝くコンフィチュールの層がまるで光を纏うような見た目で、これならばSNS映えにも繋がると確信した。
「……これできっと、店を立て直せるよね」
「ああ、そうだといいね」
「大丈夫ですよ、こんなに素敵なケーキなら、お客さんもきっと、来てくれますよ」
「高間さん、本当にありがとう」
「君のおかげだよ、ありがとう」
「いえ、僕はあくまでも、手伝いをしただけですから」
連日仕事の後に試作ケーキを作りを手伝い続けて疲れているはずなのに、高間さんは嫌な顔一つせずに付き合ってくれた。
こんなに一生懸命で人の為に動いてくれる素敵な人、他にはいない。
高間さんとのことを真剣に考えよう、そう思えた瞬間だった。
ようやく完成した新作ケーキの発売日は一週間後。
私はSNSで少しずつ宣伝を始めて、どんな名前のどのような見た目かは伏せつつも、新作のケーキの存在をアピールした。
すると、初めは否定的な意見も多かったけれど、応援してくれるようなコメントも徐々に増えていく。
そして、発売日当日の朝、予約投稿していた新作ケーキの画像付き投稿を見た人々の反応はどんなものだろう? 興味を持ってもらえると嬉しいなと思いながら、お店の準備を進めていく。
そんな中、エプロンのポケットに入れていたスマートフォンの通知が鳴り響く。
しかも、次々と。
投稿を見て興味を持って貰えた、手応えあったんだと嬉しくなりながら準備の手を止めてスマートフォンを見てみると、
【これって盗作じゃないんですか?】
【大手の限定ケーキと同じなんだけど?】
【後出しで同じケーキ出すとか最悪、有り得ないんだけど】
というメッセージや返信が相次いで届いてきた。
何が何だか分からず、震える手で一件のメッセージを開くとそこにはURLが添付されていて、それを開くと、
「何、これ……」
Roseで、【ルミエール】とまったく同じ構成のケーキが販売開始されていた。
それは、見た目や名前こそ違えど、レシピをほぼ盗まれたとしか思えないほど似ていて、状況的にうちのお店がRoseの真似をして出したとしか思えず、私はただ、スマートフォンを見つめることしか出来なかった。