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「春はあけぼの?」
なにそれ。と目の前で首を傾げるピンク髪を、俺は呆れたような目で見た。
「そんなんでよく高校入れたね…」
「それが入れちったんだよー」
それはどーでもいーから、早く古文やっちゃお。とシャーペンを握る。
やる気はあっても、内容を知らなきゃどうしようもない。
「まず、枕草子は知ってる?」
「…あー、聞いたことあるよーな、ないよーな…」
「だめだ。諦めて」
「俺の成績ー!!!」
自分の課題に目を移すと、泣いて縋ってきた。
「まじで大学いけなくなっちゃう!!」
ため息をつきながら前を向くと、すぐ傍に顔があった。
大粒の涙を浮かべた目を見つめる。
やっぱり、顔が整ってるなあ。なんて、思うわけで。
ちょっと、ドキッとした。
「亮平、」
ほとんど呼ばれたことのない名前を呼ばれて、もっとドキッとした。
「お願い、手伝って」
ちょっと、ズルいなあ。
そう想いながらも、微笑みを浮かべて、
「…しょうがないなあ」
「まじ!?やった!!」
やっぱり、笑ってるほうが好きだな。
そう想ったのを伝えるのは、もうちょっと先の、告白をするときのお話。