僕、佐藤タケル。
登録者12人の弱小YouTuber。
悲しい事実:登録者のうち10人は親戚。
横で寝ているのは黒猫の こげぱん。
名前の由来:背中の模様が“焦げたパンの底”みたいだから。
ある夜—
僕が編集しながら寝落ちした時、
「カタ…カタ…」
とパソコンの音が。
薄目を開けると……
こげぱんが椅子に座り、
僕のPCに顔を近付けて顔認証でロック解除していた。
お前、どうやった。
翌朝。
スマホが通知まみれで震えている。
YouTube Studio:視聴回数 420,000 回
僕「誰!? 何が!? え!?」
動画を開くと…
タイトル:『飼い主の人生より僕の毛づくろいのほうが需要ある説』
再生数:42万
編集:プロ並み
字幕:煽りまくり
字幕『飼い主は今ごろ夢の中です』
(煽るな!)
内容はただの “毛づくろいの動画”。
なのに爆伸び。
コメント欄が大喜利状態。
「猫のくせに編集のセンス神」
「これ絶対人間が勝てないタイプの才能w」
「チャンネル乗っ取られてて草」
登録者:12人 → 4.8万人。
僕が何年も頑張った時間……
こげぱんの毛づくろい37秒に全敗。
そこから毎日のように新作動画が投稿され続けた。
もちろん僕は投稿してない。
こげぱんがキーボードを歩き回りながら敵をバンバン倒す。
最後の字幕:
『飼い主は初心者です』
やめて刺さる。
キャットフードを食べながら、
「星2。味が単調」
と字幕で辛口評価。
企業さん泣くぞ。
僕が仕事で怒られて帰ってくる →
こげぱんが勝手にライブ配信開始し、
カメラの前で膝に乗りながらゴロゴロする。
視聴者がコメントで荒ぶる。
「こんな可愛い猫に慰められるとかズルい!」
「タケルさんの部長出てこい!!」
僕、部長より視聴者に守られてる。
ある日届いたメール。
件名:
『こげぱん様へ 高級キャットフード案件のご依頼』
宛先:こげぱん。
芸能人かお前は。
ギャラ:
1本 150万円。
僕の月収:19万円。
差:131万円。
こげぱん、ドヤ顔でパソコンの前に座ってる。
案件資料を読んでる風。
どう見てもビジネス猫。
僕「こげぱん…僕にも…その…編集手伝わせて…」
こげぱん「ニャ(“まず履歴書をどうぞ” のポーズ)」
雇われる側だった。
ある夜、こげぱんがライブを開始。
視聴者8万人以上。
コメント欄が祭り。
「こげぱーーーーん!!」
「今日も人間より働いてる猫」
「猫界のYouTuber頂点」
こげぱん「ニャッ」
字幕『今日は大事な発表があります』
僕(まさか引退とか!?)
こげぱん:
『僕の専属編集マンとして、飼い主のタケルさんを正式に雇います』
視聴者:
「逆じゃないのwwww」
「猫が雇う時代きた」
「飼い主、ついに社員扱い」
そしてこげぱんは僕の膝に乗り、
さらに字幕を出した。
『タケルさん、いつも頑張ってるの知ってるよ。これからも一緒に動画作ろ?』
…………
泣く。
猫に雇われて生きる人生。
悪くない。
いやむしろ最高だ。
コメント
7件
初コメ失礼します!( . .)" 可愛いお話で、でも何処かくすっと笑ってしますようなお話でした!✨️ 飼い主さんが雇われる側なんですね、笑 これは人間の手も借りたいと言うのでしょうか、🤔💭 可愛いお話また待ってます!
かわいすぎるっっっ!!!! 初コメ失礼します!!! かわいすぎてにやけまくりました!!! ありがとうございますッッッッッッ!!!!! フォローありがとうございますっ!