こげぱん、突然「企業研修」を始める
その日の朝。
僕がリビングへ行くと、
こげぱんがテーブルの上にどっしり座っていた。
その前には——
なぜか 小さなホワイトボード がある。
僕「……こげぱん、何してるの?」
こげぱん「ニャ(準備完了です)」
字幕:
『本日、企業研修を行います。人間は黙って受けてください』
僕「企業……研修……?」
こげぱんは 静かにうなずく――かと思いきや、
なぜかめちゃくちゃドヤ顔で頷いた。
まるで「人間よ、見よ。これが知性の頂点」と言わんばかり。
そしてゆっくりと前足を上げ、
ホワイトボードを “ポフッ” と指し示す。
こげぱん「ニャ(こちらをご覧ください)」
直後に出る字幕:
『ドヤァァァァァァ(理由は不明)』
『猫がホワイトボード使う時点で勝負がついている』
僕「ドヤるポイントどこ!?」
こげぱんはさらに胸を張り、
“フフン”と言いたげな顔でホワイトボードをもう一度指差す。
字幕:
『理解できなくても問題なし。猫が正しいので』
僕「人間の立場がどんどん弱くなってる!!」
ボードにはこう書かれていた。
『猫式あいさつ:目を細める → 信頼』
こげぱんが実演する。
とろん、と優しく目を細める。
僕「かわいい……」
こげぱん「ニャ(どうぞ)」
僕「え、なんかすごくかわいいんだけど、これが正しい挨拶?」
こげぱん「ニャ(うざっ)」
僕「今、うざって言ったよね!?」
こげぱんは何事もなかったかのように目を細め続け、
あくまで堂々と。
こげぱん「ニャ(別に、正しいんだからね)」
字幕:
『できないしもべには、簡単な挨拶すらできないのです』
僕「何が簡単なんだよ!!」
こげぱんは再びドヤ顔で僕を見つめる。
こげぱん「ニャ(しもべ、反応が遅いな)」
字幕:
『ほんと、カメより遅い』
ホワイトボード2枚目。
『報告:すぐに』
『連絡:忘れないこと』
『相談:猫にするのは無意味』
僕「最後の一文さぁ!!」
こげぱんはていねいにしっぽを振る。
こげぱん「ニャ(お気持ちはわかりますが)」
字幕:
『相談されても寝て終わる可能性が高いです』
僕「自己申告えらいな!?」
こげぱんがテーブルにちょこんと座り、
ホワイトボード3枚目を指す。
『猫の前を通るときは“すみません”と言う』
『猫の仕事を邪魔しないこと』
『猫が膝に乗ったらその時間が休憩』
僕「え、全部現場ルール……?」
こげぱん「ニャ(大事なことです)」
字幕:
『順守できない場合、減点(即日)』
僕「減点制度が厳しすぎる!」
こげぱんは突然、
僕のノートPCの前に座った。
こげぱん「ニャ(ここから実践です)」
字幕:
『猫社長のためにお茶を用意してください。味はラテ味で』
僕「猫にラテ味は無理だよ!!」
お湯だけの安全な“白湯”を用意して置く。
するとこげぱんは匂いをくんくんして——
こげぱん「ニャ」
字幕:
『評価:60点。毒ではないので可』
僕「評価基準が雑!!」
こげぱんは白湯を飲むふりだけして、
さらに字幕を出した。
『たまには褒めておきます。頑張りましたね』
……褒められ慣れてないから、
これだけで胸が熱くなる。
こげぱんはホワイトボードの前に戻り、
ちょこんと座った。
こげぱん「ニャ(本日の研修は以上です)」
字幕:
**『総合評価:人間にしては頑張った』
コメント
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まさかの続編キター!!! ありがとうございますッッッ!!! この世界観...たまらねぇ!!!! 大好きです!!!!((