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Chapter21.ありがとう
ミナは檻に向けて手を伸ばしたまま、 呼吸が荒くなり、膝が震え始める。
「……はぁ……っ…… ちょっと……使いすぎた……かも……」
「ミナ!!無理すんなって言うたやろ!!」
「ミナ、もう光を止めて!! 身体が……限界だ!!」
「……大丈夫…… みんなが……守ってくれたから……」
その言葉と同時に—— ミナの光がふっと消えた。
光が消えた瞬間、 ミナの身体が力を失い、前のめりに倒れる。
地面に触れる前に—— セラが全力で駆け寄り、 ミナの身体を抱きとめた。
「ミナ!! ミナ、しっかりして!! ねぇ……目を開けて……!」
ミナの顔は青白く、 呼吸は浅い。
でもその表情は、 どこか安心したように穏やかだった。
「……どうして…… どうしていつも……自分のことより……!」
ミナはかすかに微笑む。
「……セラちゃん…… 抱きしめてくれて……ありがとう……」
そのまま、 ミナの意識は静かに沈んでいく。
「ミナ…… あなたが守った光は…… 今度は私が守るから…… だから……戻ってきて……」
白金色の光が、 ミナの胸の奥でかすかに揺れた。
鳥のさえずりが、 窓の外から聞こえてくる。
やわらかな日差しが差し込む部屋の中、 ふかふかの布団の中で、 ミナがゆっくりと目を開ける。
「……ん……あれ……?」
見慣れた天井。 聞き慣れた風の音。 そして——
「ミナ……! よかった……!目が覚めた……!」
ベッドの横に座っていたセラが、 ミナの目が開いたのを見て、 ぱっと顔を輝かせる。
その日の朝、 みんなが集まっていた。
ないこは台所で卵を焼きながら、 やたらと焦がしている。
「くっそ、また焦げた……! ミナがいないと朝ごはんがまともにできん!」
ゆうが笑いながら回復魔法で焦げを消す。
「もう、ないこくんったら〜。 でもミナちゃん、目覚めてよかったぁ!」
ARKHEはミナの脈拍を測りながら、 真顔で言う。
「異常なし。 ただし、魔力の回復には時間がかかる。 無理は厳禁。」
外では子どもたちの笑い声が響き、 市場には活気が戻り、 空はどこまでも青い。
戦いは終わった。 封印も、光も、闇も—— 今は静かに、心の奥で眠っている。
「……ねぇ、朝ごはん…… まだある?」
「あるけど焦げてる!!」
ないこが振り返って叫ぶ。
みんなが笑う。
セラも、ミナも、 その笑いに包まれて——
“いつもの日常”が、 静かに、でも確かに戻ってきた。