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願いを叶える桜の木4
「ふぅ……ギリギリ間に合ったね」
「そうですな」
息を切らしているフィンと、なんともない顔で教室の前に立っているマッシュ。
(相変わらずだな、マッシュくんは)と、フィンは苦笑いをした。
「教室入ろうか、」
「うん」
教室を開けた瞬間、教室はしん、と静まり返った。
「え…?なに?」
なぜがみんなは自分の方を見ている、なにか悪いことをしてしまったか、と
マッシュは不安になった。
そこでフィンが
「君が髪型を変えたから皆びっくりしたしてるんだと思うよ」
と、そっと耳打ちしてくれた。
「髪型を変えたぐらいで?」
とマッシュは聞き返したが、ほんとにマッシュくんはわかってないねとフィンに苦笑されてしまった。その瞬間だった。
「「「「「「えぇーーー!!?」」」」」」
「いやうるさ」
咄嗟にマッシュは耳を塞いだ。
「おま、嘘だろ!?本当にマッシュか!?」
「まじか……お前もあっち側だったのかよッ!」
「あっちってどっち?」
と、マッシュは荒波に揉まれ質問攻めにされていた。
「こら、皆さん席に座ってください。なんなんですか?入ってくるや否やこの騒ぎは」
先生が来たらしく、またもや静まった。
「あら?あなた、見かけない顔ね。」
「先生、そいつマッシュ・バーンデットです」
1人の生徒が先生に言った。すると、
「へぇ、マッシュ・バーンデット……ん?マッシュ?えぇ!?あなたが???」
「え、あはい」
マッシュはもう慣れてしまっまたのか淡々とした口調で答えた。
授業が終わってからもワイヤワイヤと話を聞かれ、マッシュはぐったりとしていた。
(疲れたな)
マッシュはそう、心の中で思っていた。
「マッシュくん、災難だったね…」
と、フィン君。
「ほんとだよもう寮に戻って寝たい気分だよ…」
こんなことのために髪型を変えたわけじゃないのに…とマッシュは少しむくれた。
「あ、兄様だ。なんでここにいるんだろう…お仕事かな?」
フィンの目線の先にはマッシュが密かに想いを寄せているレインの姿があった。
どくんと、マッシュの心臓が大きく音を立てた。
(声をかけなくちゃ…声をかけてギャップを…)
と、マッシュが考えていた時バチッと目が合った。
「!」
「…お前…マッシュか?」
レインは静かにマッシュに歩み寄り問いかけた。
「…うす」
マッシュは小さく頷いた。
「僕がやってあげたんだ!なんでも、オシャレがしたいって」
フィン君がいて良かったとマッシュは内心思った。
フィンがいなければ地獄の沈黙が続いていたであろう。
「そうか、よく似合っている」
「…!」
マッシュは大きく目を見開いた。
(レインくんが褒めてくれた…!嬉しい、嬉しい…!)
マッシュは心の中でとても喜んだ。
(っ!…そうだお礼…)
「ありがとう、ございます。」
「…おう」
「兄様は仕事でこっちに?」
「ああ、そうだ。校長に呼ばれてな」
そう会話している間もマッシュはボーとしていて幸せオーラを出していた。
「……すまない、もう行く」
「あ、うん。頑張ってね!兄様」
「ああ、…あとマッシュ」
レインは優しくマッシュの名前を呼んだ。
「っ!はい…」
「勉学に励めよ」
そう言ってレインはくるりと振り返り、校長室へと向かっていった。
マッシュはレインの背中をただ熱い瞳で眺めていた。
フィンはそんなレインを捕らえるマッシュの瞳を見逃さなかった。
(マッシュくん…もしかして君は…)
コメント
1件
フィンくん… 気づいちゃったの??